【移籍動向を占う】2016シーズン J2リーグをまとめてみました ~選手出場実績編~
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J1に引き続いてJ2のまとめ。
前半は前回を踏襲。後半はJ1&J2 の選手について、年齢、出場実績の分布なぞもちょっと描いてみて、両リーグの特性を比較できればと思いトライしてみました。
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元データはご覧の提供でお送りします。
指標の定義は上記前エントリ参照のこと。。
さて、まずは平均出場時間と稼働率の散布図から。出場/先発各パターンを一気に。
【図1 2016シーズンJ2チーム 所属選手平均稼働率(出場ベース)と平均出場時間】
【図2 2016シーズンJ2チーム 所属選手平均稼働率(先発ベース)と平均出場時間 】
おおまかな布置は出場/先発各ベースで変化はありませんが、、順を追って考察していきます。
まず縦軸、稼働率から。J2はチーム数22故にシーズン全42節ということで、J1の34節より長丁場です。
稼働率上位、選手平均稼働率で唯一6割超えしていたのは愛媛。先発ベースでは岡山と同じ52.4%。愛媛は今季出場した選手数は24人。岡山も25人で42節を戦い抜いたわけですが、ある程度主軸を固めて戦うことができたのだろうな、と。
一方、出場ベースでの稼働率最下位が清水。同先発での稼働率も札幌と並んで最下位。負傷者もいたり、またシーズン途中に期限付き移籍で補強をしたりなど、今季出場選手数は33人で人を入れ替えて戦ったが故の稼働率と言えそうです。
横軸の平均出場時間で見ても清水は徳島の77分に次いで2位の76分。累計で33人もの選手がピッチに立ち、中には途中出場だけでなく主軸の代役として長くピッチに立ち続けたことの示唆かな、と。すなわち、それだけの戦力を確保していたと言えなくもなさそうな。
図1、図2で布置が大きく変わっているチームが、水戸、千葉、熊本です(実は図1、2でスケールが異なります。見やすさ重視で変えてます)。
稼働率が、出場-先発との差にして10%ほどの開きがあります(散布図の布置が出場⇢先発で比べるとけっこう下側に移動していることが分かる)。
それぞれ事情は異なるも、トータルで見れば選手を入れ替えながら戦ったと見ることもできますが、「先発」に限れば稼働率が低いということは主軸を固定して安定的に戦う事ができなかったと見ることもできるかと。
ロアッソ熊本に関してはやはり震災の影響で中断~再開してからチームとして立て直すまでに時間を擁したこと、千葉は慢性的な負傷離脱と監督交代の影響による用兵面での変化、水戸はシーズン途中に三島が松本に移籍するなど、軸となる選手の出入りがあった。
前述の清水も夏場の補強、大前の長期負傷離脱などありながら、シーズン2位で昇格を果たしており、札幌、セレッソ大阪も事情は異なるも軒並み稼働率という面では低い傾向にあるチームが昇格を果たしており、長丁場となるJ2を戦い抜くにはそれなりの戦力を保有して総力戦で戦い抜くことが重要なのかもしれません。
【図3 2016シーズンJ2チーム 所属選手平均年齢と平均稼働率】
続いては、稼働率に年齢を加味した可視化で編成を見てみた図3。
横軸が年齢軸で右に行くほど年齢は高くなります。ちなみにJ2の出場選手平均年齢は27.4歳です。
もっとも平均年齢が高いのは横浜FC。反対に低いのがレノファ山口。それぞれチームでの平均年齢は、29.7歳と24.9歳(横浜FCはキング・カズを除くと北九州に次ぐ位置に変わる)。
J2の場合、多くが26~28歳までのレンジにチームが集まっている印象。年齢構成の高い、低いによって戦績に影響が出る...というわけもなく、ここは予算規模や、チームの編成方針、監督の用兵など様々要因が絡んでいるのだろうと思われます。
既に移籍のリリースが出ているチームについて言及すると、京都サンガは山瀬、佐藤健太郎、矢島(引退)ら30代で準スタメン級選手が軒並み退団に。昇格PO進出もセレッソに敗れたことで来季もJ2残留となり、石丸監督から柏コーチの布部氏へ指揮官交代に踏み切るなど、来季編成が既に活発化しています。
また、昇格POを勝ち抜き来季J1を戦うセレッソ大阪についても既に大熊監督の退任、元鳥栖監督だったクラブOBのユン・ジョンファン監督就任が確定。補強についても田代、玉田、中澤、北野ら30代選手が軒並み退団となり、既に韓国Kリーグ仁川ユナイテッドのクロアチア人DFヨニッチ獲得を発表。
年齢軸の布置で見るとセレッソがやや高齢化していたことから、新指揮官の下でこれら30代の余剰戦力の一掃と新戦力補強が進んでいるのでしょうし、京都については年齢構成というよりも、来季編成の整備改編に着手、、というところでしょうか。
私個人として気になるのは、やはりおらがジェフユナイテッド千葉。
昨季オフの20名超の退団で去年の今頃は痛覚麻痺に陥ってしまいましたが、今オフは今のところ平穏そのもの(ホッ...)。
切り札的起用に応え途中出場メインながら今シーズン6ゴールを挙げ、しかもアディショナルタイムでの劇的ゴールが印象に残るオナイウ阿道が浦和へ完全移籍。身体能力に加え空中戦の強さなどポテンシャルに疑いの余地なく、年齢的にもこれからジェフのエースとして育ってくれるか、という折での個人昇格なのでこれは寂しいものの彼のキャリアを思うと気持ちよく送り出したいなぁ、と。
加入に目を向けると、やはり大きいのは今季は鳥栖から期限付き移籍で加入していたロアッソ熊本の清武功暉の完全移籍加入。熊本では組み立てからアタッキング、フィニッシュとあらゆる場面で大活躍だった「ナンバー10」タイプのMF。
今季、ジェフでは中心的存在だった長澤くんが浦和へレンタル期間満了で復帰濃厚と噂されるので、早期に清武の加入を決められたのは千葉の高橋GMの手腕に依るところ大かな、と。
また、今季やや不安定なパフォーマンスとなってしまったGK佐藤優也と同学年の神戸GK山本海人も完全移籍にて獲得。生え抜きの岡本含めGK陣の年齢構成がやや歪になってしまいますが、GK補強はJ2では重要なポイントなので、期待は否応なく高まります。
ジェフについては、別途エントリ設けないと延々と書き綴りそうなので、ここまでにして。。
前回と今回とで選手の出場実績、年齢からチーム特性を俯瞰してきましたが、そもそもの出場実績、年齢分布について、J1、J2併せてみようということでやってみた可視化が以下2点。
【図3 J1&J2 2016シーズン出場選手 年齢ヒストグラム】
【図4 J1&J2 2016シーズン出場選手 年齢構成比ヒストグラム・出場時間分布】
グラフは左にJ1、右にJ2になっており、縦軸は年齢で上に行くほど年齢が上がります。各年齢毎に人数をカウントしていて、平均年齢は両リーグほぼ27歳。ただ、最頻値(もっとも度数が多い年齢)はJ1が26歳、J2が25歳になります。
図3は実数、図4の棒グラフは各リーグの構成比、折れ線は出場時間(実数:累積)で上側にスケールがあります(J1、J2で異なります)。
図3のグラフで「おや?」と思ったのが、J1の21歳の箇所がポコンと凹んでいること。早生まれの選手は学年同じでもひとつ若い年齢にカウントされているので、誕生月の偏りなのかな、、と思ったり(違うか?)。
図4の可視化では人数(構成比)分布とともに出場時間の折れ線と併せてみることで、なかなかおもしろい事実が見えてきたり。
人数が多いところほど出場時間の山も膨らむのは当然のことながら、例えばJ1の20歳、22歳のところと、J2の21~25歳までのところですが、人数の棒グラフに比して出場時間の折れ線が軒並み下振れているのが分かるかと。
これは、すなわち人数がいる割には出場機会に恵まれているわけではないということの示唆かと。
これと反対にJ1では29~31歳のところで上振れていて、J2でも30歳のところでやや上振れている。すなわち多く出場機会を得ているということ。
各クラブ移籍加入、または退団となった選手がどの年齢で今季どのくらいの出場時間、出場機会があったのか、リーグ全体の分布と比べて機会を得られていた選手なのかそうでないのかなどを見比べてみると、獲得意図なども透けて見えてきそうだなと思います。
今季バリバリの主軸でほぼシーズン通じて稼働していた選手なのか、年齢、リーグの傾向に比してあまり出場機会がなく、新天地ではその出場機会を求めて移ったのか、などなど。。
両リーグに共通しているのは、稼働という視点でみると若手がダブついているのだなぁということ。J1では23歳以下、J2では25歳以下という閾値で人数の割に出場時間が限定的なのが分かるかと。それよりも上の年代で出場機会を得ている先輩選手からポジションを奪うというのはなかなか容易ではないということなのか。
なかなか試合に出られていない若手有望株を他クラブから安く引き抜いて戦力化する、または期限付き移籍で獲得、貸し出す側からしたら武者修行させて鍛えてもらい来季に再び呼び戻すなど、若手の移籍には出す側、入れる側の意図を汲み取れれば来季の活躍を想像して楽しめる気がしますね。
今後もう少し移籍情報のリリースが溜まってきたら、去年やったようなまとめと合わせて、これらデータと絡めることで前年の実績を加味して、各クラブの思惑が考察できるかもしれません。
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年末に向けて各クラブのオフィシャルリリースを眺めながら、そこら辺次回以降のエントリ内容を考えていこうかと思います。
では、また!