【Jリーグ】2017年のJ1リーグをデータでまとめてみました ~個人記録編~
2017年 Jリーグ 最優秀選手賞 小林 悠 選手
【公式】2017Jリーグアウォーズ、最優秀選手賞に輝いた小林悠選手の受賞スピーチです!
はてさて、おかげ様で多くの皆さんにご覧いただけた前エントリに引き続き、データでもって今季J1リーグを振り返っていきたいと思います。
football-data-visualization.hatenablog.com
今回は選手個人にフォーカスして、いくつかデータ(記録)を掘り起こしてまとめ&可視化をしていきたいと思います。
データはご覧の提供でお送りします。
選手個人に焦点を当てようと考えた時、シュート決定率やアシスト数などゴールに紐づく指標で優れている選手をピックアップしようかなぁとも考えたのですが、そうなると下位に終わったチームの選手がどうしても浮かび上がってこないんですよね。
それはそれでデータを基軸とした正しいものの見方なのかもしれませんが、強かったチームもそうでなかったチームも公平に選手を取り上げていこうと考えまして、各評価軸においてチーム毎で一人ずつ取り上げていくこととしました。
では、早速ひとつめから。
【表1】2017シーズン J1リーグ チーム別 最多出場選手
可視化ではなく表でやりますが、チーム別の最多出場選手の一覧。
「最多」としているのは、出場試合数(リーグ戦のみ)でして、先発&途中出場含む合算です。
右端に「先発出場稼働率」として、リーグ戦全34節のうちどのくらい先発として出場したのかの割合を記しました。
カップ戦やACLを含んでいないため、それら他のコンペティションとリーグ戦とをターンオーバーするチーム、しないチーム等の事情があるのかもしれませんが、一応リーグ戦では上記のような選手らが各チームで最多出場を果たしています。
どこもチームの顔と呼べる選手が名を連ねているかと思いますが、いざ抽出する前はほとんどがGKになるのでは?と思っていました。
しかし、GKのポジションで最多出場になったのは、中村航輔選手(柏)、西川周作選手(浦和)、六反勇治選手(清水)の3名のみ。これは意外な結果でした。
最多出場できるということは、監督、コーチ陣からの信頼が厚く起用に応え続けた事はもちろん、シーズン通じて大きな怪我をしなかったこと、累積警告等で出場停止が無かったことなどの条件が合わさってのもの。
怪我をしない、警告を受けないというのは、大きな評価指標だと思います。
【表2】2017シーズン J1リーグ チーム別 最多途中出場選手
今度は途中出場で各チーム最多出場している選手を一覧に。
抽出定義としては、出場ベースの稼働率が5割以上(17節以上出場)且つ、そのチームで途中出場稼働率が最多だった選手。
勿論、表2にある選手が先発で出場した試合もあるわけですが、多くが途中から試合に出場しているということで、攻撃の切り札的存在、または試合を終わらせるクローザー的な存在であろう想像ができるかと思います。
そういう視点で見ていくと、前者の攻撃的な切り札的な選手がほとんど。
クローザー的選手でいうと、札幌の河合選手がこの表における唯一のDF選手。
ぱっと見すると、表1の最多出場選手よりも若い選手が多そうな気もしますが、平均年齢はいずれも28歳でした。
【表3】2017シーズン J1リーグ チーム別 最多被警告数選手
こちらはちょっと残念な一覧。
今シーズンのリーグ戦で各チームもっとも警告を受けた選手を抜粋しました。
「警告」なので、こちらには一発退場(レッドカード)は含んでいません(慈悲)。
ご覧いただくと、各チーム外国籍選手がずらり揃っています。
やはり、自国・または日本以外のリーグと、Jリーグとの判定基準の差に苦労しているということなのでしょうか...
DFの選手が少なく、MF、FWの選手が多いというのも外国籍選手の多さとも関係しているのかどうか。
ちなみに、計算していただければ分かりますが、出場試合数あたりの被警告率が最も高かったのは、柏のキム・ボギョン選手でした...
【図1】2017シーズン J1リーグ チーム別 最多得点関与選手一覧
表3までは出場試合数にまつわる記録でしたが、図1では今シーズン所属チームにおいて最も多くゴールに絡んだ選手をピックアップ。
自身のゴール数とアシスト数を合算し、チーム総得点に占める割合がもっとも高かった選手を一覧化しました。
左から右へ今季最終順位でソート。
青縦棒がゴール数、オレンジの縦棒がアシスト数です。
グレーの折れ線がチーム総得点に占める当該選手の関与割合、黄色い折れ線が今季の出場稼働率になります。
稼働率は清水の鄭大世選手を除いてほぼ7割以上。長くピッチ上にいてこそ、数多くゴールに絡む仕事ができるというもの。
今シーズンの得点王&MVPとなった小林悠選手は23得点、8アシストで川崎フロンターレにおける今季リーグ戦全得点の43.7%に絡む活躍ぶり。
チーム総得点関与割合で4割を超えているのは、この他には柏のクリスティアーノ選手(12得点・10アシスト)、磐田の川又選手(14得点・7アシスト)とJ1では3選手のみ。
18チームそれぞれ、いずれもエースと呼べる看板選手が名を連ねています。
【図2】チーム別 最多得点関与選手 関与割合 ✕ 1得点関与あたりの所要時間
図1の18名を散布図で可視化。
縦軸にチーム総得点関与割合、横軸に1得点関与あたりに擁した出場時間を取りました。横軸に関しては、左に布置するほど短い出場時間でゴールに絡んだことを表します。
得点王の小林悠選手はおよそ100分に1度はゴールに絡む計算に。
20得点前後に絡む選手の場合、1ゴールあたり150分以内という閾値が引けそうです。
150分内に布置しながら、10ゴールの関与に終わったFC東京のピーター・ウタカ選手、14ゴールに関与した清水の鄭大世選手は、より多く稼働できたらもっと多くのゴールに関与した可能性はあったかと思います。
【図3】チーム別 出場時間あたり得点率最高選手 稼働率 ✕ 1得点関与あたりの所要時間
図3で記した選手は、横軸の1得点関与あたりの時間が各チームでもっとも短かった選手。
つまり、1ゴール擁するのに掛かった時間がもっとも短かった、少ない時間でゴール、またはアシストという結果を残した選手ということ。多くは控え選手やジョーカーのような存在の選手ということになろうかと。
選手名の横のカッコ内の数字が、ゴール数・アシスト数を表します。各チーム、図2と異なる選手は黄色字で記しています。
もっとも効率よく、短い出場時間の中でゴールを奪った選手は川崎の森本貴幸選手。今季出場は11試合ですべて途中出場で、1ゴールあたり69分という短さ。エース小林悠選手の陰に隠れながらも、少ない出場時間できっちり仕事を果たした格好に。
シーズン途中で札幌に加入したジェイ選手が1ゴールあたり80分でした。14試合出場で先発は10試合。後半戦における攻撃の主軸を担ったわけですが、非常に効果的な仕事を果たした選手だったと言えそうです。
唯一、アシスト数がゴール数を上回っているのが、広島の稲垣祥選手。攻撃の流れやリズムを変えられるチャンス・クリエイター的な選手だったのかな、と。
今季、そこまで多くは彼のプレーを見ていなかったので、来季注目して見てみたい選手です。
簡単にではありあますが、個人記録に焦点を当てて抜粋&可視化をしてみました。
そのチームのエースと呼ばれる選手は、文字通りゴールという分かりやすい数字を残すが故に注目を集め、メディアに取り上げられることも多くなるかと思います。
逆に言えば、ゴール数やアシスト数、出場時間のようなスタッツを除いて、個人に紐づくスタッツが少ないのがJリーグの現状です。
走行距離、スプリント回数のようなトラッキングデータも個人に紐づいて公開されるようになりましたが、今回あえて取り上げなかったのは、それだけではあまり評価に値するデータとは言い難いと感じるからです。
プレー分析やデータ収集の技術が飛躍的に向上している昨今。
選手個人に紐づくデュエル勝率やパス成功率、そしてスプリント回数といったデータそのものは勿論、それら指標をプレー局面毎に抽出することで、今まで注目されてこなかった選手が取り上げられたり評価されるようになれば、サッカー、そしてJリーグがより一層おもしろい競技として多くの人々に観られるようになっていくと感じます。
(オープンに出せる範囲で...)
次回はJ2編をお届けします。
では、また!