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【移籍動向を占う】2016シーズン J1リーグをまとめてみました ~選手出場実績編~

   移籍情報 2016-2017 | Jリーグの移籍情報ならJ's GOAL

 

 2016シーズンのJ1リーグは、ホーム&アウェー方式でのチャンピオンシップ決勝で浦和レッズを下した鹿島アントラーズによる下克上優勝で幕を閉じました。

 2ステージ制とチャンピオンシップによってJ1リーグ内外が様々翻弄されたこの2シーズンでしたが、来季2017シーズンからは1ステージ制のもとで再びリーグ戦を戦うことになっています。この2シーズンの2ステージ制が大東前チェアマン下で決断されたことは、忘れてはならない事実かと(レッ◯サポたち、村井さんにヤジ飛ばすなよ~)。

 一方、現村井チェアマンが進めるJリーグの基盤強化の取組みの大きな成果と言えそうなのが、今年7月に英国パフォーム・グループとJリーグとで取り交わされた10年間で2,100億円とも言われる大型放映権契約。

 巨額な放映権マネーがJリーグにもたらされるわけですが、この放映権料を原資として増額されると言われているのが、各Jクラブへの配分金です。

 今オフの移籍動向を見るに、この配分金増額を見越してなのか、オフ前後からかなり積極的な補強の動きがクラブ間で展開されているのかな、と。

 そこで、本エントリでは2016シーズンの各チームにおける選手の出場実績と年齢のデータから、チーム編成(年齢構成)と実際の選手たちの稼働状況などから、その戦いぶり、戦力のやりくりをどのようにしてきたのかを可視化、考察してみようかと思います。そこから、各チームの今オフ補強の狙いなんかに言及できたらな、と。。

 

 元データはご覧の提供でお送りします。

J. League Data Site

 

 今回の可視化の元ネタは、英国フィナンシャルタイムズで紹介されたデータジャーナリストJohn Burn Murdoch氏による14-15シーズンのプレミアリーグにおける、スターティング・イレブンの平均出場時間と選手年齢・および残契約年数とのデータビジュアライゼーションでして、昨年のトラッキングデータコンテストでチーム走力との影響を見るべくやったものの派生版です。

 

How the Financial Times uses d3.js for interactive and animated data visualisations

Interactive graphic: explore the key statistics of every Premier League football team

 

 ただJリーグの場合、選手の契約年数はオフィシャルにはないので、選手の稼働状況(稼働率・出場時間)と年齢との散布図でチーム特徴を可視化しました。用いた指標がちょっとややこしいので、可視化に入る前にその定義を下記に整理しておきます。

 

  • 稼働率 :年間の総リーグ戦節数34のうち、その選手が出場した試合数の割合。途中出場を含む出場ベースと、先発出場のみをカウントした先発ベースとある。
  • 1試合あたりの平均出場時間 :その選手のシーズン総出場時間(単位:分)を出場試合数で割った平均値。
  • 年齢 :満年齢にて計算(12/5時点)。

 

 可視化は全体俯瞰のためのチーム軸の散布図を選手毎データの平均値にてプロットしています。

 

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図1 2016シーズンJ1チーム別 所属選手平均稼働率(出場ベース)と平均出場時間

 

 横軸に出場実績のある選手の1試合あたりの平均出場時間を、縦軸に出場実績のある選手の平均稼働率をとり散布図にしました。

 リーグ戦の出場実績がある選手数の平均は、J1では27.4人

 最小は浦和の23人、最多は湘南の31人です。

 シーズン中に同カテゴリ他クラブへ期限付き移籍などで2クラブに所属実績がある選手も出場実績があれば複数クラブでカウントされています。

 この可視化は、やってみたあとで分かったのですが先発ベースのものと見比べてみて色々見えてくるのだなぁ、、と。ということで、下記にその同先発ベースの散布図も。

 

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図2 2016シーズンJ1チーム 所属選手平均稼働率(先発ベース)と平均出場時間 】

 

(見比べれば色々分かる!と言っておきながら、J1に関してはあまり変わり映えがしなかった..).

  軸の見方を解説します。まずは縦軸の見方から。

 出場/先発の違いはあれど、チーム平均稼働率ということで、シーズンを通じて固定メンバーでリーグ戦を戦う、または先発の顔ぶれもいつも一緒というチームは、上側に布置しやすいと言えます。

 反対に下側に布置しているチームというのは、一定人数を入れ替えながら戦ってきたと言えるのかな、と。

 横軸、1試合あたりの平均出場時間は文字通り出場あたり平均してどのくらいの時間ピッチにいたかという指標。右に布置すればフル出場に近く、左側は交代などでそれなりの時間でピッチをあとにする選手が多い傾向なのかな、と。

 ちょっとわかりにくいですが、そのように認識していただければと思います。

 

 そうした見方で各チームの布置を見ていくと、まず年間勝点1位だった浦和が出場、先発の両稼働率で18チーム中トップ(63.4%、同57.9%)。

 確かに浦和の顔ぶれを思い浮かべると、いつもほぼ一緒かなぁ、などと思ったり。

 ただし、今回はリーグ戦のデータしか反映されていないので、実際はカップ戦、ACLなどリーグ戦と棲み分けているケースもあるのかなと思えなくもないですが、、今回の結果からは推測するしかないかな、と。ひとまずリーグ戦だけを見れば、ほぼ同じメンバーで戦ってきたと言えそうです。

 

 反対に出場・先発両稼働率がもっとも低かったのが、湘南38.3%、同32.3%)。

 ほかシーズン下位、または降格となったチームにその傾向が見えますが、シーズン途中に補強を敢行した場合などは、この稼働率は下がる傾向にあります。ほぼ固定メンバーらしい浦和のケースを思い浮かべてもらえれば、稼働率が下がる理屈はわかっていただけると思います。

 横軸、1試合あたり平均出場時間で最長だったのが福岡で、1試合あたり約79分。反対に最も平均出場時間が短かったのが、仙台約66分でした。

 仙台に関しては、近い布置の川崎と同様今シーズンは負傷離脱者が多かったことが共通しています。出場・先発の稼働率でも、5割を下回るなどなかなか主軸を固めて戦うことができなかった。反対に福岡に関しては、負傷離脱は目立たなかったものの、交代などを駆使して強度を保つことが難しかったのかな、と思えたり(つまり主力と言える選手はほぼ毎試合フル出場を強いられた、代役の選手も長くピッチに残ることになった。すなわち選手層がなかった...)。

 

 ここまで今シーズンの出場実績から、稼働率で固定メンバーかターンオーバーかを見つつ、出場時間から選手のやりくりも見てきましたが、これだけでは今オフ補強の思想などはちょっと分からないので、選手の「年齢」軸も交えて見たのが下記図3。

 

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図3 2016シーズンJ1チーム 所属選手平均年齢と平均稼働率

 

 横軸に今季出場実績のある所属選手の平均年齢を置きました。右に行くほど平均年齢は上がります。ちなみに今季J1の出場選手の平均年齢は27.2歳でした。

 縦軸に前項までの出場選手稼働率を持ってきました。年齢もかませるとチーム編成が見えやすくなるのかな、と。

 まず、やはり気になるのは浦和レッズ

 前図1と図2で固定メンバーでリーグ戦を戦っていそうなレッズなのですが、平均年齢ではリーグ2位の高齢チームで、平均年齢28.8歳

 キャプテン阿部、DFの那須が35歳。加賀とズラタンが33歳。武藤、梅崎ほかミシャ・サッカーの申し子たる元広島組も軒並み30代になろうかという年頃。

 今オフはレンタルバックするとされる選手を含め、既に来季加入が決まっているラファエル・シルバオナイウ阿道ら多くが20代半ばまでの選手ばかり。

 元々、広島時代などは若手選手を鍛えて強くする手腕に長けていたペトロビッチ監督のこと、来季で浦和在籍5年目となり若手へ主軸をシフトさせるべくその改革に着手するシーズンとなるのか。

 反対に平均年齢で若めながら一桁順位と好成績だったのが、鹿島と柏。

 鹿島に関しては、年間勝ち点で3位ながらチャンピオンシップで強かに浦和を退けリーグタイトルを奪取。平均年齢は26.1歳。曽ヶ端、小笠原の両黄金世代が顕在ながら、柴崎を筆頭に昌子、土居ら24歳の中堅、鈴木、三竿という20歳ながら戦力化できているタレントを擁し伸びシロも十分。

 柏は、平均年齢25.4歳で今季もっとも若いチームでした。何と言っても中谷と中山という最終ラインを担うのが19歳と20歳のコンビ。守護神の中村も21歳。秋野、中川、小林と中盤を担う22歳の選手らも今季20試合以上に先発出場。韋駄天を誇る伊東も今季大卒ルーキーイヤーで23歳。

 序盤メンデス監督による躓きもありましたが、下平監督の下で来季どう化けるのか楽しみなチームです。

 鹿島は移籍関連の正式リリースはありませんが、柏に関しては既にレノファ山口のSB小池を獲得。一方でSBの山中が横浜Fマリノスへと移籍、退団になっています。若さは維持されており、今後の動向にも注目したいと思います。

 

 その他に既に主力級の移籍加入リリースのあったチーム、来季大きく変わろうかというチームの布置もざっと眺めてみると...

 まず、CBに前神戸の高橋祥平、FWに前名古屋の川又を獲得した磐田。

 何と言ってもチーム得点王だったジェイが契約満了で退団となり、ここの穴埋めが急務。ということでの川又補強なわけですが、他にも獲得候補はいるのか。。

 そして、ベテラン二人が去る広島。ユース時代から広島一筋だった司令塔の森崎浩司が引退。在籍12年間、挙げた得点数218ゴールという、Jリーグが誇るストライカー佐藤寿人は今季J2降格となった名古屋へ移籍。間違いなく変わるであろう広島で今後どのような補強があるか気になるところ。

 磐田は年齢構成はリーグ平均並、稼働率もそこそこ高く選手層は厚いというわけではないですが、主軸の入れ替わりが起きそうなので、これが来季の戦い方にどう出るか。。

 広島は、年齢構成は今季やや高めでしたが、両ベテランの退団によって押し下げられるかと。とはいえ、若手にシフトしていくのかというと単純な話でもなく、ウタカの去就(所有権は清水エスパルス)、右サイドは来季もミキッチ?などオーバーホールのタイミングは迫っていると見るべきかと。世代交代はかの鹿島も苦しんだように、我慢を強いられますが、そこを森保監督はどのようにアクションしていくのか、フォローしていきたいところです。

 

 ざっと3つほどの散布図で今季のJ1チームの戦い方、選手のやりくりをまとめてみましたが、ちょっと締まらない感じになってしまって反省。。

 選手編成、監督の起用、試合での采配など、機微というかディテールはデータからは浮かび上がってこないよなぁと。。

 そんなヌルっとした感じではありますが、次回はJ2版もやってみまーす。

 

では、また!

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