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【ジェフ千葉】その戦い方で勝てますか? J1に上がれますか? 〜チームスタイル指標に隠された強さの秘密〜

 


【公式】プレビュー:ジェフユナイテッド千葉vs松本山雅FC 明治安田生命J2リーグ 第25節 2018/8/4

 

 7月のワールドカップ開幕後、サッカーの方は完全に観る方に徹しまして、2ヶ月間まるっきり投稿が無いまま過ぎ去ってしまい、そろそろ書かねばと思いまして、この度久しぶりに筆を取った次第です。

 ジェフ千葉ネタはというと、実に4月末以来という大きなブランクが空いてしまいました。

 

football-data-visualization.hatenablog.com

 

 あれから15節もの試合を重ねてまいりましたが、おらがジェフユナイテッドはというと、今季未だ一桁順位に上がらず終いでございます。

 わたくしのやる気が無かったのか、ジェフのやる気が無かったのか、この因果関係は明らかにせぬまま、本題に突入したく存じます。

 

 データはご覧の提供でお送りします。

www.football-lab.jp

 

 記憶が定かでないので、具体的な年月は記載しませんが、いつもお世話になっているFootball Labさんのサイトで、「チームスタイル指標」なるデータが公開されています。

 上記リンクに飛んでご覧いただくと良いかとおもいますが、J1、J2、J3の各チームがどのような戦い方を採っているのかのおおよその傾向が分かります。

 おおまかに、攻撃時の方向(中央・左右)、セットプレー、遅攻(ポゼッション)か速攻(カウンター)か、それが自陣からか敵陣かというような区分けで、各志向性の強さを指数という偏差値で表して、各チームに振られています。

 これらすべてボール保持時のスタッツ、またはトラッキングデータから、サマって算出しているかと思いますので、攻撃に関する指標だという認識でいてもらえれば良いと思います。

 今回はこの「チームスタイル指標」のJ2における傾向について、第24節終了時点の獲得勝ち点、及び得点数と絡めて考察していきたいと思います。

 まずは、24節終了時点の順位ソートで、主なチームスタイル指標の指数とシュート率とのプロットを可視化、イッキ見していただければ。 

 

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 【図1】J2 チーム別 中央攻撃の指数とシュート率

 

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 【図2】J2 チーム別 セットプレーの指数とシュート率

 

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【図3】J2 チーム別 ショートカウンターの指数とシュート率 

 

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【図4】J2 チーム別 ロングカウンターの指数とシュート率 

 

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【図5】J2 チーム別 敵陣ポゼッションの指数とシュート率 

 

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 【図6】J2 チーム別 自陣ポゼッションの指数とシュート率

 

 上記指数はいずれも平均は50になっていますので、ほぼ偏差値と同じ考えてもらってOKです。

 J2の試合を普段から観ている方ならば、推しのチーム、または気になるあのチームの戦い方を思い浮かべると、上記の数値に納得行く部分もあるかと思います。

 ただ、これらを眺めているだけでは、どのスタイルを選択したらゴールを奪えるのか、果ては試合に勝てるのか、イマイチ分かりません。

 おらがジェフユナイテッドが欲しているのは、勝ち点3であり、「俺たちの悲願」であります。

 そこで、この各チームスタイル指標について、24節終了時点の勝ち点、及び得点数との「相関係数」を計算してみました。

 チームスタイル指標と勝ち点、及び得点数との2指標間の間の線形関係の強さを見たいと思います。

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 まずは、チームスタイル指標の指数と勝ち点、得点数との相関係数

 志向する戦い方がゴール、及び勝ち点獲得にどの程度ポジティブに影響しているかを表せればと。

 相関係数はというと、0から1の間を取り、1に近ければ関係が強い事を意味します。

 まず勝ち点、得点との相関が高かったのは、「ロングカウンター」。

 相関係数は、0.6を超えてきます。

 次いで勝ち点獲得に強く影響しているのが、「セットプレー」。しかし、得点数に対しては、相関係数は0.3未満という水準。

 アタッキングサイドの「中央攻撃」が勝ち点、得点数共に0.3以上の水準をマーク。

 それよりもやや低い水準に「ショートカウンター」があります。

 次に同じスタイル指標のシュート率ついて、同様に相関係数を見ていきます。

 

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 シュート率なので、指数からもう一歩踏み込んで、ゴールを奪うアクションまでやり切ったかどうかを表します。

 平均50で標準化されてる指数よりも、分散が大きいシュート率との相関係数の方が、顕著に相関が出ています。

 指数との比較で言うと、「セットプレー」が数値的にはやや下がり、「中央攻撃」の数値が0.6台へとグンと上がります。

左右のアタッキングサイドでは、「右サイド攻撃」よりも「左サイド攻撃」の方が勝ち点、得点数との相関は高め。

 指数では0.6を超えていた「ロングカウンター」もシュート率では相関係数は0.3台と、「ショートカウンター」と差はほぼ無い水準。

 面白いのは、ポゼッションの指標で敵陣・自陣共に指数との相関は殆ど無かったはずが、シュート率では勝ち点、得点数との相関が現れる事。

 指数とシュート率は連動しそうな気もしますが、実はそう簡単な話ではなく、ポゼッションを是とする戦い方でも効果的にシュートまで持ち込めていないケースや、逆にポゼッション志向なのに実際はカウンターの方が効率的にシュートまで到達していたり等、狙いとするスタイルの通りに攻撃が完結できている訳でもないのです。

 サッカーは、「ミスのスポーツ」とは言ったもので、相手のミスに乗じて得点を奪えてしまう、それが決勝点となって勝利を手にするというようなことが頻繁に起きるのがサッカーです(前節、新潟のミスに乗じて勝つなど、「サッカーあるある」の典型でした)

 

 狙った戦い方を表す指数と、その指数の高低とはあまり連動しないシュート率という各指標のリーグ傾向を踏まえた上で、明日の対戦相手である首位・松本山雅との比較を下記に可視化しました。

 

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【図7】千葉−松本 アタッキングサイド指数の比較

 

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【図8】千葉−松本 ポゼッション−カウンター指数の比較

 

 まず、指数、即ちチームで狙っている戦い方との比較ではサイド攻撃の千葉、中央攻撃の松本という違いがはっきり出ています。

 ポゼッション(遅攻)とカウンター(速攻)についても、ポゼッションに秀でる千葉とどちらかというとポゼッションよりカウンター志向な松本という構図が現れています。

 しかし、千葉もカウンターの指数は松本とほぼ変わらず、状況によってはカウンターアタックを選択する戦い方も持ち合わせていると言えそうです。

 

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【図9 】千葉−松本 アタッキングサイド シュート率の比較

 

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【図10】千葉−松本 ポゼッション-カウンター シュート率の比較 

 

 シュート率で比較すると、下位の千葉と首位の松本の差が明らかになります。

 セットプレー、敵陣・自陣でのポゼッション、ロングカウンターにおいて、千葉よりも松本の方がシュート率が高く、即ちそれらシチュエーションでのアタッキングにおいて、きっちりシュートまで完結できている割合が高い事が分かります。

 特に差分が大きいのがポゼッションに関してで、指数的には千葉の方が高いのにも関わらず、シュート率では松本に上をいかれているという事実。

 数値にはなっていませんが、シュートまで行き切れていないポゼッション攻撃の試行数分、翻ればボールロストしている訳でして、即ちそれら全てではないにせよ何割かは相手の攻撃ターンに転化しているとも言い換えられるので、千葉にとってはこの差がその分ダメージとして返ってくる数値でもあります。

 それだけ、千葉はリスクを冒した戦い方を採っているということ。

 反対に松本は千葉に較べてリスクを冒さない効率的な戦い方を採用しているとも言い換えられます。

 

 リスクを冒してでも相手をこじ開けんと自らアクションを仕掛けるスタイルと、リスクは極力排除して相手のミスを待ち続け、一瞬の隙を逃さず陥れるスタイル。

 悲しいかな、J2というリーグでは後者のスタイルの方が勝ち点を積み上げやすく、昇格に近づくやり方である、というのが過去の傾向からも見て取れます。

 まずもって失点しないことをプライオリティの最優先事項に置いて戦うこと。

 勝ち点0よりも、最低でも1を積む、相手が崩れた隙を突いてゴールを陥れ、あとはゴール前に鍵をかけて守り倒し、時間を強かに使って試合を締める。

 闇雲に勝ちを急ぐのではなく、まずは負けないことを念頭に置いたやり方こそ、このJ2では「正義」なのです...

 

 今季なら霜田監督が率いるレノファ山口やロドリゲス監督の徳島ヴォルティス、上野監督に交代したヴァンフォーレ甲府、大木監督率いるFC岐阜など、自らアクションを仕掛けるスタイルを是とするチームが増えてきているのも事実。千葉もそのひとつに数えられると思います。

 ただ、現時点での戦績を翻ってみると、前半戦好調に飛ばしていた大分トリニータも攻守のバランスを取るやり方ではあるものの守備の堅さが顕著でしたし、今7戦負け無しで来ている松本山雅もやはり守備の安定性ではJ2で今もっとも優れていると言える訳で、守備を蔑ろにしていてはこのJ2というリーグで上位に上り詰めることは難しいと言わざるを得ない。

 

 千葉も前半戦の勝ちから遠ざかった一時期は、低く構えて臨む試合などもありましたが、本来引いて守り切るやり方を採っているわけでもなく、どうしても付け焼き刃な印象が拭えませんでしたし、実際失点も減ることはありませんでした。

 現在、2連勝できているのも、この夏の猛暑の中の試合であってもハイプレスするやり方を再確認してやり切った事でもぎ取ったもの。

 今節もリスクはあろうとも、やはりそのやり方で首位松本に立ち向かうべきと思います。

 千葉の方が難しい事をやっているのは間違いありません。

 加えて、守備の規律では松本よりもまだ緩い部分が散見されますし、隙を与えやすい構造にもなっています。

 松本の反町監督はそういった穴を絶対に見逃さない指揮官ですから、必ずやそうした千葉の欠陥を執拗に突いてくるでしょう。

 

 奇しくも昨季同じ夏場の戦いでホームに首位湘南を迎えたゲームがあったかと思います。89分ほぼ首位の湘南に何もさせないまま千葉のペースでゲームを進めるも、決定機を逃し続けた結果、セットプレーのワンチャンスを決められて敗戦を喫したかと思います。

 優位にゲームを進めるだけではダメで、決定機を決め切る力、スコアを動かしてゲームを支配する力が無ければ、首位を倒すことはできないでしょう。

 相手が嫌なことをやってくることは分かりきっているので、そこに目を向けるよりも如何に自分たちのやり方を貫いて相手を打ち破るかに意識を向けたほうがいいのかもしれません(なんかエスナイデル監督っぽいぞ)

 

 甲府戦の前後から、「あの7連勝のときの勢いを」という掛け声が聞かれてきましたが、あの勢いの水準で留まっていては、今季の昇格は諦めたほうがいいでしょう。

 昨季よりも出遅れていますし、プレーオフのレギュレーションは今季からJ2に不利なかたちに置き換わってしまいました。

 昨季以上、一段も二段も上の水準にいち早く引き上げること。

 後半戦に入って数節消化していますし、これから昇格戦線に食い込むのだとしたら、昨季の奇跡のPO進出を超える奇跡と呼べる快進撃をやるしかない。

 その口火となる一戦をこの松本相手にできるかどうか。

 

 正直、反町監督松本山雅は千葉が最も苦手とする相手だと思います。

 ただ、昨季はホーム・フクアリで同じ松本相手に5得点の圧勝をしたのも事実。

 気負わず、変に相手を意識せず、自信を持って試合に臨めるかどうか。

 7連勝の勢いを超える爆発でもって、松本戦山雅を木っ端微塵に粉砕する試合を期待します。

 必勝、3連勝必達です。

 昇格を諦めていないのなら、マストです。

 では、また。

 WIN BY ALL!!

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