【サッカー監督はつらいよ】2017シーズン J1&J2各チームの指揮官40人を比べてみました
本エントリのテーマは、
「サッカー監督」。
監督を取り上げてみようと思ったきっかけは、ふたつ。
まず、今週飛び込んできたニュースで「えっ!?」っとなったやつ。。↓
そう、オランダの名将・かのルイス・ファン・ハール監督、引退の報。
しかし、その後...
「いやいやいや・・・(苦笑」←("苦笑"は筆者追記)
氏はユナイテッド退任後、1年間の休暇中。。復帰するかは分からない(バレンシアからオファーを受けたことを明かしている)、、けど、引退するとは言ってない!と語っています。
結局、まだ引退しないってことでいいんですかね...^^;
私はサッカーの戦術については、日々勉強中の身故、ここでは多くを語るつもりはありませんが、そんな私でもファン・ハール監督の名は良く知っていました。
直近、プレミアリーグ15-16シーズンにはマンチェスター・ユナイテッドを指揮。
2014年ブラジルW杯では母国オランダ代表を指揮。グループリーグではオランダ伝統の4-3-3ではなく、5-3-2システムでスペインを5-1で破り、その後の3バック(5バック)戦術のリバイバルを決定付けたとも言われる、屈指の戦術家でもあります。
そんなファンハールも御歳65歳。サッカー監督に定年は無いけれど、決して若くはない気も... それでも、まだまだ新しい戦術のムーブメントを起こしてくれるのでは、、彼のキャリア、功績を思うとそんな期待を抱かずにはいられません。
監督をテーマに取り上げたもうひとつのきっかけは、TLを追っていて目にした下記の記事。。
Jリーグ開幕からジェフを追いかけて二十余年、「オシム原理主義者」を自認する私の当時の歓喜と興奮を呼び覚ます、大変秀逸な記事を読んだからでして。。
チームや選手ではなく、「監督」にハマる... というのが、なんとも斬新というか、、
(オシム監督とそのサッカーについてのデータは、今後じっくり仕込みたい。。)
ファン・ハール監督、オシム監督ともに戦う舞台は違えど、それぞれ指揮したチームやその所属するリーグ、または国際舞台において、当時の戦術面におけるエポックメイキングな役割をしているところが、サッカー玄人を惹き付けるのでは、、と個人的に思いまして。。
「戦術(システム)」の軸でサッカー監督をデータから何らか分類、考察できればものすごく面白そうな気もするのですが、ところがなかなかそういったデータって収集が難しい。。
そこで、サッカー監督の年齢に着目してデータを集めてみることに。
参考までに、ファン・ハール監督の主な職場(!)である欧州で活躍する監督でパッと名前が浮かぶ面々の年齢を眺めてみると、、
<イングランド・プレミア・リーグ> ※年齢昇順
エディ・ハウ(ボーンマス) 39歳
マウリシオ・ポチェッティーノ(トッテナム・ホットスパー) 44歳
ペップ・グァルディオラ(マンチェスター・シティ) 45歳
ジョゼ・モウリーニョ(マンチェスター・ユナイテッド) 53歳
デイヴィッド・モイーズ(サンダーランド) 53歳
クラウディオ・ラニエリ(レスター・シティ) 65歳
<リーガ・エスパニョーラ> ※年齢昇順
ジネディーヌ・ジダン(レアル・マドリー) 44歳
ディエゴ・シメオネ(アトレティコ・マドリー) 46歳
エドゥアルド・ベリッソ(セルタ) 47歳
キケ・フローレス(エスパニョール) 51歳
エルネスト・バルベルデ(アスレティック・ビルバオ) 52歳
ホセ・ルイス・メンディリバル(エイバル) 55歳
ホルヘ・サンパオリ(セビージャ) 56歳
<ブンデスリーガ> ※年齢昇順
パル・ダルダイ(ヘルタ・ベルリン) 40歳
トーマス・トゥヘル(ボルシア・ドルトムント) 43歳
ニコ・コヴァチ(フランクフルト) 45歳
ロジャー・シュミット(バイヤー・レヴァークーゼン) 49歳
カルロ・アンチェロッティ(バイエルン・ミュンヘン) 57歳
<セリエA> ※年齢昇順
イヴァン・ユリッチ(ジェノア) 41歳
ヴィンチェンツォ・モンテッラ(ACミラン) 42歳
シニシャ・ミハイロヴィッチ(トリノ) 47歳
マッシミリアーノ・アッレグリ(ユヴェントス) 49歳
ステファノ・ピオリ(インテル) 51歳
ジャン・ピエロ・ガスペリーニ(アタランタ) 58歳
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ざっと眺めてみると、モウリーニョやペップなど知った名前もあれば、日本人選手がいるあのチームの監督は、こんな名前の人なのか、、など発見もあり。
ただ、名前と年齢だけでは芸がないので、、海外サッカーの監督については、またいつかやるとして。。
今回は翻って普段私自身Jリーグを観ていることが多いこともあり、自分がよく知るJリーグを対象にJ1&J2計40チームの今季指揮官についてまとめました。
元データはこちらからご提供いただきました↓
◆Soccer D.B. : サッカー・出場記録データベースサイト
「年齢」だけでは芸が無い!といいながら、ひとまず基礎として「年齢」軸の分布を、、
【図1 2017シーズン Jリーグ40チームの監督 年代別人数分布】
今季、2017シーズンを戦うJ1、J2の監督40人について、満年齢(2017年1月時点)でのカウントで5歳刻みの年代別人数分布を図1に。
比較として、下記図2にちょうど10年前になりますが、同じくJ1&J2の監督31人(当時J2がまだ13チーム)の同年代別人数分布になります。
(2007シーズンも開幕時点の監督名を記載。シーズン中解任後の監督は明記せず)。
【図2 2007シーズン Jリーグ31チームの監督 年代別人数分布】
何故、10年前との比較を持ってきたのか?ですが、冒頭欧州各主要リーグの監督が、近年若年化している(ホッフェンハイムの29歳ナーゲルスマンとか!)、、という話を耳にしたもので、翻ってJリーグはどうなんだろう、、ということで比較してみたのでした。
(欧州主要リーグの監督平均年齢は、いつかデータで見てみます。本当に若年化しているか、、)
分布では、特に2017シーズンの方が40代前半の監督が多いように見えますが、実数差もあったりしてミスリードしやすいです。。(構成比はあえて載せません、スミマセン)。
実は平均年齢にしてしまうと、今季も10シーズン前も同じ「48歳」でした(中央値もほぼおなじ)。
これを高いか低いかは何とも、ですが。。私個人的にはもう少し上かなと思っていたんですがね。。せめて50代かなぁ、と。
個別に見ていくと、2017シーズンでのJ最年長監督は名将ネルシーニョで御年66歳!
もうひとり60歳オーバーなのが、今季横浜Fマリノスで3シーズン目となるフランス人監督のエリク・モンバエルツ。
今年還暦を迎えJリーグでは通算12シーズン目を迎える"ミシャ"こと浦和のペトロビッチ監督が59歳。
年長監督TOP3が外国人監督という結果。
意外というわけでもなく、そうだろうな~とは思っていたのですが、10年前はどうであったか。。
2007年の最年長監督は名古屋のフェルホーセンで60歳。以下、浦和のオジェック監督59歳、鹿島のオリヴェイラ監督57歳と続きます。やはり、TOP3は外国人監督。。
余談になりますが、前年の06年にジェフ千葉から日本代表監督へと引き抜かれてしまった、前述イヴィツァ・オシム監督がこの年66歳(現在75歳)。もしも、そのまま千葉を率いていたら今季のネルシーニョ監督と同年齢だった、という偶然を付け加えておきます。。
(07年ジェフ千葉は息子のアマル・オシムが前年から引き継いでいる。この年40歳)
※さらに余談、、セレッソはこの年、都並監督解任→クルピ監督が就任。磐田はアジウソン解任→現U20日本代表監督・内山篤氏が暫定指揮。
当然の如く、単純に年齢だけでは監督の能力は測れる訳もなく。。
(29歳ナーゲルスマン率いるホッフェンハイムは、16節を終えて未だ無敗のブンデス5位!)
監督の「経験」を指揮したシーズン数、つまり「監督、何年やってんの?」という軸で見てみたのが以下図3と4。
ひとまずJリーグ・トップチームを指揮したシーズン数でのランキングを下記カテゴリ毎に可視化してみました。昨季2016シーズンまでの数になっており、「トップチーム」の定義はJ1からJ3までを含みカウントしています。
【図3 J1監督指揮シーズン数・現チーム~Jリーグ通算】
【図4 J2監督指揮シーズン数・現チーム~Jリーグ通算】
グラフの見方ですが、通算指揮シーズン降順に並んでおり、棒グラフの長さがその数を示しています。色の濃い部分が現指揮チームの通算指揮シーズン数でして、J通算指揮シーズン数の内数になります。
J1、J2通じて最長指揮シーズン数なのが、清水エスパルス監督の小林伸二監督、56歳。これまで15季に渡ってJリーグを戦ってきて、今シーズンで16季目。
11シーズンで並んでいるのが、ペトロビッチとネルシーニョの二人。ペトロビッチは浦和レッズ6季目を迎えます。
J2では、反町監督の13季が最長。松本山雅は6季目。今季からツエーゲン金沢を指揮する"ヤンツー"こと柳下正明監督が11季。
J1、J2比べてみると、実はJ2の監督の方が指揮したシーズン数では長い監督が多い印象。。
"監督経験"にもう少しひねりを加えてみようというのが次の可視化でして。。
皆さん、最初から監督だったというよりもコーチ経験を何シーズンか積んだ後、晴れて監督になったはず、、(加えてGMまで兼務していた小倉監督のことは忘れてください。。)
ということで、いつから監督の資格があり、その後どのくらいのシーズンを経て監督になったのか、日本人監督については「S級コーチライセンス取得年齢」を、外国人監督は日本以外でのトップチーム初指揮年齢を採用し、最初のトップチーム指揮年齢、そして現在の年齢をそれぞれ可視化してみました。
【図5 J1&J2監督 トップチーム指揮資格取得年齢と監督初就任年齢の関係】
グラフの見方で、まず各監督毎に伸びている黒い線ですが、下限がS級ライセンス取得年齢(監督資格を得た年齢)、上限が現在の年齢です。途中、グレーの丸いマーカーがありますが、これが実際にトップチームの監督として指揮を執った最初の年齢を指します。
左から右にかけて、このマーカーと現在の年齢の差が大きい順に並んでいます。つまり、トップチームでの指揮シーズン数の長い順ということです。
これで見たかったのは、トップチームでの経験年数の長さもそうですし、下積みの長さ、監督になるまで何年掛かったのか。。
グレーのマーカーから下、下限までの長さが長いほど下積みが長かったことを表します(トップチームのコーチだったり、育成年代の監督だったり、実際どんな立場だったかは考慮せず)。
同様に一度トップチームの監督を退き、誰か他の監督の下でコーチをして、再び監督に、、というパターンもあります(反町監督や木山監督のパターン)。
また、テクニカル・ディレクターや育成年代のディレクターなど最前線の現場ではないポジションから監督になったパターンも(モンバエルツ監督、徳島のロドリゲス監督がこのパターン)。
左端には外国人監督が並んでいます。今季から東京ヴェルディの監督に就任したスペイン人のロティーナ監督は、トップチーム指揮経験年数では浦和のペトロビッチ監督以上。リーガ・エスパニョーラで豊富な経験と実績があり、一部スペイン・フリークの人たち注目の監督だそうで。。
トップチームの指揮経験年数では日本人監督上位の大木武監督、柳下監督がJ2の岐阜と金沢という、昨季下位に低迷したチームの監督に新たに就任したことも注目すべきトピックかと。豊富な経験でチームを引き上げてほしい...J3降格が見えてきたクラブの危機感の表れなのかな、、と思えたり。
個人的に要注目なのが、川崎フロンターレを率いることになった鬼木監督と、同じく新任の愛媛・間瀬監督。
前者は長らく風間八宏監督の下でコーチとして川崎フロンターレを支えてきた人物。今季が初めてのトップチーム指揮となります。千葉県生まれ、市立船橋高出身というキャリアも個人的に親近感があるので、前任者が果たせなかったタイトル獲得を達成してほしいと思っています。
後者はジェフサポには説明不要、かのイビチャ・オシム監督の通訳として市原・千葉を支えた人物。昨季までJ3ブラウブリッツ秋田を率い、今季から愛媛を指揮します。通訳から監督へというキャリアには、かのジョゼ・モウリーニョを彷彿とさせますし、就任記者会見をはじめその「言葉」には、やはりオシムの香りを感じてしまいます。
【表1 2017シーズンJリーグ 監督一覧 】
ざっと「年齢」というスタティックな指標で比較してみたJリーグの監督40人。出身校、出身チーム、プロ選手経験とその実績、所属チーム。。
また、コーチ時代誰と一緒に仕事をしていたか、など興味を掻き立てるデータの軸はいくらでもあるのですが、それはまた時間がある時に仕込みます。
J各チームはぼちぼちキャンプ入り。それこそ今季を占う準備期間となりまして、これまた監督の手腕がそのデキを左右するかと思います。
なかなかサポーターはキャンプ地に赴いてトレーニングを見る、ということは叶わないかとは思いますが、自分が応援するチームの監督の仕事について、できうる限りアンテナを張っていることと思います。
そんな時、このエントリがひとつの「トリビア」であるなら、、これ幸いです。
では、また!