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【ロシアW杯アジア最終予選 イラク戦・オーストラリア戦プレビュー】 代表メンバーの平均年齢とキャップ数の比較

ロシアW杯 最終予選 第3戦 対イラク

ロシアW杯 最終予選 第4戦 対オーストラリア戦

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 最終予選初戦のUAE戦がよもやの敗戦。

 もう既に後がない状況に追い込まれてからの、試練の10月2連戦を迎えるロシア杯最終予選。6日にホーム・イラク戦、11日にアウェイでオーストラリア戦になります。

 現在GROUP Bの首位は6ptのオーストラリア。日本は1勝1敗で3pt。第3戦を共に勝っていて、アウェイ直接対決で日本が勝ったとしても上回れないという星勘定です。GROUP Bの首位争いを繰り広げる最大のライバルーそう目論んでいたはずでしたが、そうとも言っていられなくなっているのが、今の日本の立ち位置かと。

 まずは第3戦のイラク戦ですが、久保建英くんの活躍で注目を集めたAFC U16で日本が敗れた国でもあり、近年若い世代ではかなり評価の高いチーム。

 記憶に新しいところで言うと、A代表ではないですがリオ五輪出場をかけたU23アジア選手権の準決勝で手倉森ジャパンが同イラクU23代表と対戦し、2-1で下していましたね(その後イラクU23代表は第3代表決定戦に勝ちリオ五輪出場。同日本は決勝で韓国に逆転勝ちしアジア選手権優勝)。

 U23アジア選手権での勝利まで、このリオ世代はイラク代表に一度も勝てていなかったと記憶しています。近年、日本の育成年代が世界選手権出場を逃してきたことと、この世代のイラク代表はじめ他のアジアの国々の台頭とを鑑みるに、今ハリルジャパンにおけるA代表の低迷、閉塞感に通底する問題として、ユース年代の強化、国際大会の出場実績とはやはり影響しているのかなと考えさせられるポイントかと思います。

 第4戦の相手であるオーストラリアは2015年自国開催のアジアカップで優勝。今回の選出メンバーにも同大会の優勝メンバーに加え、やはり若い世代の選手が日本に比べて多く選出されている印象を受けます。

 いずれも若い世代の力が目立つイラク代表とオーストラリア代表。そこのところを今回の日本代表との比較で見ていきたいと思います。

 本エントリでの可視化は前回UAE戦のプレビューと同じ、メンバーの年齢と出場キャップ数との散布図にて。

 

 

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図1  日本代表メンバー 年齢と出場キャップ数 散布図

 

 

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図2 イラク代表メンバー 年齢と出場キャップ数 散布図

 

 

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図3 オーストラリア代表メンバー 年齢と出場キャップ数 散布図

 

 ざっと3ヶ国のメンバー散布図を上げてみました。タテに出場キャップ数、ヨコに年齢です。スケールは3ヶ国で揃えています。

 ちなみに3ヶ国の代表メンバー平均年齢と平均出場キャップ数は以下の通り。

 

  •  日本      27.5歳 | 34.3試合
  •  イラク     23.8歳 | 24.1試合
  •  オーストラリア 25.5歳 | 25.6試合

 先にイラク、オーストラリアについて上記可視化からコメントを。

イラクは前述の通りリオ五輪世代が中核になっているのかと思いますが、10代の選手も2名含まれるなどかなり若い陣容。30代の選手はキャップ数94を数えるアブドゥルザフラとJ.モハメドの2名のみ。24歳以下で40キャップを数える選手もアドナンら含め3名。対して日本は24歳以下で同インターナショナルマッチのキャップ数を数える選手はただの一人もいません。

 若いだけではなく、中核となっている選手はきっちり経験も積めているのがイラク代表かと思います。2戦を終えて2敗で勝ち点は未だ0。プレーオフも考えるとまだまだ諦めるのは早いでしょうし、日本戦でも勝ち点獲得を狙ってくるものと思います。

 オーストラリア代表に目を向けると、イラクよりかはある程度年齢と共に実績も備えるベテランが組み込まれていて、年齢とキャップ数での分布にあまり大きな開きはありません。

 36歳、キャップ数92のケーヒルを筆頭にジェフ千葉でもプレーしたミリガンや常連の感すらあるジュディナクらが選出。ルオンゴやレッキー、クルーズら実力、実績ともに充実しつつある20代半ばから後半の中核となるであろう選手を主力とする構成ではないかと思います。

 最終予選は2連勝でGROUP Bの首位。数人のベテランと半数を占める中堅選手、さらに20代前半のキャップ数が20以下の若手と、大きくは3グループで構成されるオーストラリア代表。ほとんどがイングランド、またはブンデスリーガ、オーストリア、スコットランドなどのクラブに所属しており国内組は少数派。また東欧からの移民やアボリジニとの混血などルーツも様々で多様性に溢れるのがオーストリア代表のもうひとつの特色。

 オーストラリア代表は若さと経験のバランスが取れた選手構成なのかなと思います。今回の日本戦はホームゲームということで、当然勝ちにくることでしょう。

 

 3ヶ国の散布図をご覧の通り、日本がやはり年齢も経験(キャップ数)でもやや右上に選手が布置しており、とりわけ岡田~ザックの代表から長らく主力として戦ってきた長谷部、岡崎、本田らが他の選手たちとかなり外れていることがわかるかと思います。

 同時に今回のセレクションでハリルが言及し記者に突っ込まれた、欧州クラブに籍がありながら出場機会(スタメン)を得られていない選手もここの長く主力として代表にいるメンバーに他なりません。

 「(代表から)外せばメンタルが壊れる」とは、本人たちのみならず日本の国際経験の根幹を成す選手たちであるからこそ、日本代表としてのメンタリティも危うくなるのだという意味も込めてのハリルの弁ではないかと、個人的には解釈しています。

 また、UAE戦前後にやはりハリルが語った「(代表候補の)母数が少なすぎる」ことの示唆として、本田、吉田らと同年代ながら代表キャップ数が少ない選手たち(柏木、小林悠、太田ら)が散布図の中央右より下部にいるかと思います。

 今回初選出の永木も28歳。代表選手は若い方が良いとか言いたいわけではありません。代表チームはその時、トップレベルのパフォーマンスを発揮できる構成で臨むべきと思います。

 しかし、選手寿命の後半に差し掛かってようやくトップカテゴリーのインターナショナルマッチを経験するのと、20代前半から出続けるのとでは、経験という部分ではやはり後者の方がその選手にとっても、その国の代表チームにとってもプラスに働くのではないかと個人的には思います。

 Jリーグで活躍している選手を選べ!とは、やはり普段からJリーグを観ていて、その活躍を目にしているから当然のごとく出る意見。私も横浜Fマリノス齋藤学なんかは、26歳でちょうど中堅ですしコンディション、直近のパフォーマンスもキレているし、同年代の原口なんかが代表で着実にキャリアを築いており、特徴も似通う両者を競わせる意味でも最適だと思います。

 しかし、セレクションは代表監督の専権事項。ハリルが「Jリーグは欧州トップリーグと比べて、激しさが足りない。」と語るその裏には、やはりそうした緩いリーグでハイレベルな選手であっても世界とは渡り合えないと評価しているということでしょう。

 そうなると、やはり長らく代表を支え、今は出場機会を失ってはいますが複数シーズン欧州トップリーグでプレーしている選手を中心に代表を構成すべし、とハリルが考えるのは自然な事かもしれません。

 年齢にばかり言及しましたが、キャップ数を経験と置き換えるならば、日本がもっともそうした経験をしている選手が多くいるわけです。苦しい状況に置かれているからこそ、経験に振ってこの逆境を乗り切ろうという意図なのかもしれません(ハリルが考える経験とはたぶん異なるきがするが…)。

 

 パフォーマンスや戦術、コンディションなど試合の勝敗を左右する要素は様々。年齢とキャップ数はカタログスペックの一部でしかありません。上記の可視化もデータから見えたファクトでしかない。

 

 トレーニングやコンディショニングの理論、それらへの生理学的なアプローチ、怪我の予防やケア、リハビリテーション等医学的な技術などは今後進歩の一途と思います。データを見つけたら取り上げたいと思いますが、サッカー選手の選手寿命はこの先伸びていくかもしれない。

 ただ、一方で育成年代の重要性、またはトップカテゴリーで活躍する選手の早熟化も世界のトレンドとしてはある。

 そうした世界のうねりの中にあって、日本はどう世界と渡り合っていくかの最適解を常に模索していかなければならないのだろうと思います。

 

 またも「年齢×出場キャップ数」っつーフレームに頼ってしまいましたが、日本代表については暫くこのフレームでもって選手構成を継続的にウォッチしていこうかと思います。

 

では、また!

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