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【ジェフ千葉】ファジアーノ岡山戦レビュー ~データで浮き彫りになってきた今季の勝ちパターン・負けパターン~

  2017明治安田生命J2リーグ 第17節
ファジアーノ岡山 2 - 1 ジェフユナイテッド千葉

得点者:キム・ボムヨン 34' / 片山瑛一 48' / 石毛秀樹 57'

 


【公式】ハイライト:ファジアーノ岡山vsジェフユナイテッド千葉 明治安田生命J2リーグ 第17節 2017/6/3

 

 ボムヨンのゴラッソで先制するも、ミスからの2失点で逆転負け。

 ホームに強い岡山相手だったとはいえ、またも連勝ならず。

 リーグも折り返しが見えてきた時期ですが、追い上げの体勢がまだ整いきれていないおらがジェフユナイテッド

 降格後、例年通りであるならば夏場は思うように勝ち点が伸ばせない、ある意味「ジンクス」に縛られたような季節。

 今季のような昇格戦線を独走するチームが見当たらないシーズンの場合、この夏場に踏ん張って勝ち点を稼いだチームが、リーグ後半にも安定的に力を発揮して終盤戦に臨めるようになるのではと思われます。

 そういう意味でも、苦手なアウェイと言えど負けないこと、即ち1でも勝ち点を積んでいける戦い方が求められてくるのかなと。

 アグレッシブなスタイル故に引き分けでも良しとする戦い方ではない事は分かりますが、星取りの面から今後の展望を思うと、そうした高望みをしていかないとこの先も中位を脱せないままシーズンが終わりそうで...

 

 本エントリではリーグ前半戦の振り返りを見据え、これまでの17節毎のデータを列挙して攻守それぞれの特徴から、勝ちパターン/負けパターン(勝てないパターン)について考察してみようかと思います。 

 自分たちのスタイルがハマると強いけど、ハマらない、 あるいは嵌められると弱いのが今季のジェフなのかなと。そのあたりをデータからも理解できるような可視化をお届けできればと思います。

 

データはご覧の提供でお送りします。

www.football-lab.jp

 

 ジェフは現在、パス数、ボール支配率でリーグ2位という数値を記録しています。このあたりのスタッツは、主に岐阜と1位2位を争っていまして、それらスタッツの絶対値で見てもこの2チームが抜きん出ています。

 このスタッツが示すところというのは、エスナイデル監督が再三語っている「ボールを支配し、ゲームを支配する」という目論見が「ハイライン&ハイプレス」という特殊な戦術的手段によって意図する通りに実現できている事なのだろうと思います。

 それ自体は何ら問題があるわけではないと思います(そうしたスタイルを好むと好まざるとに関わらず)。

 これが勝ち負けに関わってくると話は違ってきまして、「ボールは持てどゴールは奪えない」という事象になると、大きな問題としてのしかかってくるのです。

 特に「ボールは持てど~」という前段があるが故に問題が大きくなってくるという構造こそが、エスナイデル・ジェフのジレンマというか、我々サポーターが歯痒く感じる部分かなと。

 そのあたりは、皆さんが映像などで見ている印象の通りかとは思いますが、改めてデータでも考察してみようかと思います。

 

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 【図1】第1節~第17節 ボール支配率と攻撃・被攻撃の関係

 

 まず、前段で述べた高いボール支配率とそれを可能にしているパスのスタッツ(ここではパス成功率としました)と、攻撃回数、被攻撃回数の実測値を節毎にグラフ化、時系列で重ねてみてみます。

 まず、折れ線で表したポゼ率とパス成功率ですが、節毎に上がり下がりはあれど、トレンドとしては右肩上がりにあるのかなと。ここはチームの成熟の証、(エスナイデル監督が言うところの)「いい道を進んでいる」証拠かなと思います。

 棒グラフで描画した攻撃/被攻撃は、おおよそ第7節の群馬戦までは、頻度多く攻撃を繰り返し、一方で相手からも攻撃を受ける事が多かったことが分かります。

 特に被攻撃においては、千葉の極端なハイラインの裏を突こうと相手も執拗にロングボールを蹴ってきていたように見受けられます。

 それが直近の数試合となると、相手もハナから裏狙いで蹴ってくるというより、千葉が前掛かりになって攻め崩れてきてから、ボールを奪ってカウンターを繰り出す方が効果的にダメージを与えられると判断しているように見受けられます。

 そのあたりをもう少し噛み砕いて見ていきます。

 

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 【図2】第1節~第17節 ボール支配率と攻撃-被攻撃 差分との関係

 

 図2は、ボール支配率、パス成功率の折れ線に図1の攻撃回数、被攻撃回数の差分値を折れ線で描画したものです。 

 右端の軸がスケールになっていて、最も差が大きかったのが、京都戦と横浜FC戦。

 前者は終了間際に近藤のゴールで追いついてドローとなった試合、後者は0-4と大敗を喫した試合でした。

 京都戦は、相手の攻撃回数よりも27回多く千葉側がアタッキングを仕掛けていた試合。振り返ると、幸先良く先制しながら後半には逆転されてしまい、追い付くべく相手陣内へ一方的に押し込んで攻撃を繰り返していたように思います。

 同じくこの差分が大きく「攻撃>被攻撃」となっている群馬戦、金沢戦、熊本戦も同様に、時間帯によっては相手陣内でのハーフコートマッチのような展開になりました。

 相手にリードを許して後方へ引かれてしまうと、まさにこうしたスタッツになるのだなぁ、と。

 追い付けなかった、こじ開けられなかった、言わば「勝てなかったパターン」の典型でしょう。

 

 翻って大敗した横浜FC戦やヴェルディ戦のように、ボールは支配して攻撃を繰り出しながら、相手からも同頻度の攻撃を受けてしまう、またはそれ以上に攻撃を受ける展開は、完全な負けパターン、「歯が立たなかったパターン」と言えるかと。

 横浜FCヴェルディは共に今季守備が堅いチーム。

 それでいて、前線のタレントも個の能力が高いので、少ないボール保持の機会であっても、手数を掛けないカウンターが効率よくハマるわけですね。

 

 勝てない、また完敗のパターンは、攻撃/被攻撃のスタッツで偏りが見られる、という傾向にありました。

 一方、名古屋戦や長崎戦、愛媛戦のような完勝、または圧勝した試合というのは、ボール保持では6割を下回るなど一方的にボールを握り続けたわけではなく、攻撃-被攻撃の差分で見ても、プラスマイナスそこまで差が大きくないです。

 これは、相手の戦い方、試合展開にもよるのでしょうが、ある意味相手にもボールを持たれ、自分たちと同頻度程度攻められた展開と読めそうです。

 そうした相手には相性良く、また先制点を早い時間帯で奪うことができれば、相手がボールを持って前に出ざるを得ない状況が生まれることで、千葉の「ハイライン&ハイプレス」がハマりやすくなるということかと。

 数値にあまり偏りが無いことが勝ちパターンなのか、とはちょっとここまでの分析・可視化からはいい切れません(松本戦や湘南戦のような負けた例もある故...)

 

 もう少し深掘りを下記図を元に続けてみます。

 

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 【図3】第1節~第17節 攻撃-被攻撃 差分とシュート到達率/被到達率の関係

 

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 【図4】第1節~第17節 攻撃-被攻撃 差分と枠内シュート到達率/被枠内到達率の関係

 

 今度は、攻撃-被攻撃の差分の折れ線はそのままに、ジェフのシュート到達率、及び枠内シュート到達率と相手の同スタッツとの関係性を可視化しました。

 攻撃の面では、ボール保持率を高めることで、攻撃アクションに移行する機会と時間を相手よりも多く握れるわけですが、それが効率よくシュートというゴールに繋がるアクションまで運べていなければ、そうしたプロセスも徒労に終わってしまいます。

 守備の面では、相手の攻撃(ボール前進)や、シチュエーションとして多かろうカウンターを受けたとしても、シュートまでは持ち込ませなければ、失点には繋がることはありません。

 そのあたりの関係性を、攻撃からシュートまで持ち込めた(または、持ち込まれた)割合と、シュートを打って(または打たれて)枠内に飛ばした(飛ばされた)割合とで重ねてみるとどうなのか。

 まず、シュート到達率/被到達率、枠内シュート到達率/被枠内到達率の平均値は下記の通りになっています。

  • シュート到達率:11.4% | 被シュート到達率:8.0%

  • 枠内シュート到達率:29.5%| 被枠内シュート到達率:36.9%

 攻撃、ボール前進のうち10回に1回はシュートまで持ち込めていて、シュート3本に1本は枠内に飛ばせているのがジェフ。

 一方、被攻撃のうち10回に1回あるかないか程度にシュートまで持ち込まれ、3本に1本よりは多い程度に枠内に飛ばされていることになります。

 

 まず図3の攻撃→シュートまでの局面と、攻撃-被攻撃の差分値との関係で見ると、勝った試合が必ずしも効率よくシュートまで持ち込めたわけではないということが分かるかと。

 最もシュート到達率が高かった金沢戦(同20.6%)は、攻撃5回に1回はシュートまで持ち込めたものの、敗戦となってしまいました。

 金沢戦はレアケースとして、概ね敗れた試合では軒並みシュート到達率が低く抑えられていることが分かります。ワーストは同6.8%の横浜FC戦。松本戦や岡山戦も低く抑えられている。

 勝敗を左右するのは、やはり枠内シュートということで、図4も併せて見ていくと顕著に傾向が出ていて、特に負けた試合ほど相手のシュートが枠内に飛んでいることが分かるかと(山口戦は勝利も、被シュート6本中5本が被枠内シュートだった)。

 被枠内シュート到達率ですが、松本戦で5割、横浜FC戦で6割、ヴェルディ戦に至っては8割に迫ろうかという数値。打てば枠に飛ぶというシチュエーションを作られている事が分かるかと。

 その全てが被カウンターによるものではないにしろ、図1、図2の可視化から見てくると、最後の局面を防げず食い破られてしまている事が、失点を被ることとなり最終的には負けるという当たり前の結果に繋がっている。

 反対に自分たちのシュートをより多く枠内に飛ばせられれば、自ずと結果がついてくるという事かなと。

 

 千葉と対戦する相手は今後も引いて守り、奪ったら手数を掛けずにカウンターを狙ってくるケースが多くなるかと。前半戦を過ぎると、一度対戦したチームとのホーム・アウェイ反転での再戦となりますが、その際も前半戦の対戦からやり方を変えずにくるのか、アレンジを加えてくるのかも気になるところ。

 一方のおらがジェフについても同じことが言えるのかと思いますが、前半戦で勝てなかった相手に対してホームとアウェイが入れ替わっての再戦でリカバリーできるのか。

 

 今季は振り切れたスタイルで臨んでいるからこそ鮮明に浮かび上がってきている課題に対して、エスナイデル・ジェフはどのように改善に取り組んでいくのか、今後の戦いを応援しつつも、冷静に見極めて分析していきたいと思います。

 

では、また!

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