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【ルヴァンカップ決勝プレビュー】セレッソ大阪 vs 川崎フロンターレ ~決戦前夜、両チームをデータで比べてみました~

   2017 Jリーグ ルヴァンカップ決勝

  セレッソ大阪 - 川崎フロンターレ 

2017/11/4(土) 13:05 K.O / 埼玉スタジアム2002


【公式】プレビュー:セレッソ大阪vs川崎フロンターレ JリーグYBCルヴァンカップ 決勝 2017/11/4

 

 例年、11月初旬の祝日(文化の日)前後に決勝戦を迎えるカップ戦。
名称がナビスコカップからルヴァンカップに変わってもカップ戦の決勝が11月のアタマに開催されるカレンダーに変わりはありません。

 

www.jleague.jp

 

 今年のファイナルに駒を進めたのは、川崎フロンターレセレッソ大阪勝てば共に初のカップ戦タイトルとなります。
 リーグでも現在2位の川崎、3位のセレッソと順位も近く実力も伯仲しているのかなと。
 ただし、それぞれのスタイルは異にする両者。


 そのあたりの比較と、過去ファイナルに進んだチームのデータも絡めつつ、明日のカップ戦ファイナルの行方をプレビューしてみたく思います。

 データはご覧の提供でお送りします。

 

www.football-lab.jp

 

【表1】過去3大会 決勝進出チームの当該シーズンリーグ戦成績一覧

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 まず表1に14年から今回までのファイナルに進んだ2チームずつ、その年のリーグ戦の戦績を一覧にしてみました。各年上段に記してあるチームが、カップ戦タイトルを獲得したチーム(17年は暫定ながらリーグ上位チームを上段に記載)。


 国立競技場の改修を控えて埼玉スタジアムでの開催に変わった14年から数えて過去3大会、その全てで決勝まで進んでいたのがガンバ大阪でした。
 14年、結果的にこのカップ戦を優勝後、リーグと天皇杯も優勝して3冠を達成したガンバ大阪。前年、J2優勝を果たした昇格初年度での3冠ということで、
J2からの再起を託された長谷川監督のガンバにおける地位を確固たるものにしたシーズンだったのかなと。
 相手は前年のリーグ王者であったサンフレッチェ広島。この年、広島はリーグ8位と無冠のシーズンに。表1のガンバとの比較でも各項の数値で見劣りする格好に。

 15年、16年とリーグが2シーズン制に移行した年もガンバがファイナリストに。しかし、15年は鹿島に敗れ、昨年は浦和に敗れています。戦績や得失点の比較では、
鹿島とは拮抗している気もしますが、昨年のレッズとの比較では水をあけられている形に。

 過去3大会では概ねリーグの戦績で上位に位置するチームが勝利している傾向にありますが、今回はというと大きく差は開いてはいないものの、
リーグで2位につける川崎がやや優勢な状況。このあたりの差が一発勝負のカップ戦決勝にどう影響するのでしょうか。

  

【表2】過去3大会 決勝進出チームの当該シーズンリーグ戦 攻撃スタッツ比較

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【表3】過去3大会 決勝進出チームの当該シーズンリーグ戦 被攻撃スタッツ比較

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 表2と3で同過去3大会のファイナル2チームについて、攻撃と被攻撃の局面における基本スタッツを比較しました。
左側に各年の優勝チームを置いています。

 攻撃スタッツで見ていくと、14年のガンバは「成功率」がリーグ1位、「ゴール数」がリーグ2位と広島のソレと比較して優れていた事が分かります。
ただ、15年、16年は「成功率」では優れていたガンバに対して、「シュート」、「チャンス構築率」、「ゴール」においてガンバの上を行っていた鹿島と浦和が
結果的にはカップ戦のタイトルを獲得しています。

 被攻撃に目を移してみると、14年の「被ゴール」、「被成功率」でリーグ1位の少なさだったガンバは守備の堅さにおいてもその強さが顕著だったなと。
15年の鹿島は「被シュート」、「被チャンス構築率」でリーグ1位の少なさ、低さを実現。被攻撃時もシュートまで持ち込ませない守備を物語る数値。
16年の浦和は、「被シュート」から「被成功率」までの歩留りでリーグ1位と2位を記録する程の堅守だったことが伺えます。15年、16年と「成功率」では
共にリーグ2位という高さを誇るガンバでしたが、鹿島と浦和の守備に手こずった感は否めなかったのではないかなと。

 

【表4】川崎・C大阪 2017シーズン リーグ戦攻撃/被攻撃スタッツ比較 

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 翻って、明日の対戦を控える川崎とセレッソの比較。
攻撃スタッツでは、互いに拮抗している印象を受けます。「シュート」、「チャンス構築率」、「ゴール」、「成功率」という順に見比べると、各スタッツのリーグ順位、数値自体においても、お互いほぼ同じ水準にあるように思えます。
 被攻撃に転じると、特に「被成功率」の部分では川崎がやや優勢に思えます。被シュート約10本に1本の割合で失点するのと、約13本に1本の割合で失点するのとでは、被シュート3本の差とはいえやはり後者の方が確率は低い。

 とはいえ、ファーストシュートで失点する可能性も無い訳ではないので、これはアベレージとして参考までにアタマの片隅に入れておいてもらえれば... 

 

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【図1】川崎 - C大阪 チームスタイル指標(攻撃パターン) 比較

 

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【図2】川崎 - C大阪 チームスタイル指標(トランジション&コンパクトネス) 比較

 

 ここからはセレッソと川崎、両者のスタイル、特徴について詳細に見ていきたいと思います。 

 図1と2に「チームスタイル指標」の数値を両チーム重ねて可視化しました。

(チームスタイル指標の解説は以下リンク先参照)

www.football-lab.jp

 

 ご覧いただくとお分かりになるかと思いますが、「ポゼッション」に長けている川崎フロンターレと、ロング/ショート共に「カウンター」志向の強いセレッソと、それぞれ特色が出ています。

 図2の攻守トランジション(守備→攻撃、攻撃→守備)と、ハイプレス、フィジカルコンタクト、そして最終ラインの高さと、前線との距離を含めた陣形のコンパクトネスといった守備時のスタイルについても、特徴に差異が見られます。

 とりわけ、セレッソの「守備→攻撃」の所謂ポジティブ・トランジション、ボールを奪ってからのアクションで川崎フロンターレのそれを大きく上回っています。

 ただし、これは高ければ良いという性質のものではなく、あくまでチームとしてのプレースタイルを表す指標。前述の通り、ポゼッションを志向するフロンターレは守備→攻撃の局面では、ポゼッション回復を選択することから、セレッソのスタイルとは少し差異が出ているのだろうなと。

 「ボールを奪った後の3秒間における縦方向(味方ゴールラインから相手ゴールライン)のチーム走行距離が10m以上で、かつ相手チーム走行距離の1.5倍以上」(抜粋)のアクションが取られる頻度が多い故に、このポジティブ・トランジションの項でリーグトップ水準の数値を叩き出しているセレッソ

 図1におけるロング/ショート両「カウンター」の項でも高い数値が見られたように、奪ってから素早くカウンターを繰り出す攻撃を見せてくるものと思います。

 川崎にボールを保持される時間も頻度も長くなろうことは想定済みで、ボールを奪取した瞬間に反転速攻をかけてゴールを狙ってくる...そんな展開が読めます。

 

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【図3】川崎 - C大阪 時間帯別 得失点構成比推移 

 

 最後に、時間帯毎の両チーム得点と失点の分布を可視化しました。90分を15分毎にスライスし、各時間帯における得点と失点の構成比をグラフに重ねています。

 凡例の通り、上段に川崎の得点とセレッソの失点、下段はその逆でセレッソの得点と川崎の失点。

 両チームとも、「前低後高」の傾向。つまり、後半に得点、失点共にスコアが動きやすいということ。

 特に終盤の76分以降に得点も失点も動くことが多い川崎。ビハインドかあるいはリードして終盤を迎えた折、どちらにスコアが動くのか、目が離せなくなりそうです。

 このあたり、先程のプレー面から読み解ける試合展開と併せて見ることで、試合が動く時間帯がいつになるのかも窺い知れるのではないでしょうか。。

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【図4】予想スターティング・フォーメーション 

 

 負傷離脱者が多い川崎ですが、大島やチョン・ソンリョンが戻ってくるという報道もあるなど、本来のパスサッカーを高次元で披露できる選手らが揃う事はポジティブなニュース。

 一方、リーグ中盤は首位に躍り出るなど昇格初年度ながら躍進を見せていたセレッソですが、リーグ後半からやや失速。

 とはいえ、カップ戦は予選リーグから負けなしでファイナルまで上り詰めるなど、ユン・ジョンファン監督の下で勝負強さも備えてきている模様。

 互いに日本を代表する選手を各ポジションに揃え、マッチアップもリーグ最高峰のレベルで繰り広げられるのではないかと思います。

 特にパスワークを司る中村憲剛と日本代表ボランチ山口蛍とのやり合いは試合の趨勢を左右しそうな対戦になろうかと。

 

 互いに森本、山村とジョーカー的なカードになりそうなアタッカーを忍ばせてきそうな気配。鬼木監督、ユン監督、互いに切り札をどういった局面で切ってくるか、試合を動かす両指揮官の采配にも注目。

 

 台風が続いた週末から一転、3連休の天候は比較的穏やかな予報が出ており、観戦においてもプレーにおいても最高のコンディションで決勝の時を迎えられるのではないでしょうか。

 どちらが勝っても初の優勝、そしてタイトル。

 熱い戦いを期待したいと思います。

 

 では、また!

 

 

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