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サッカーをデータで視てみよう

サッカーに関するあらゆるデータを可視化してみるブログ

【キリンチャレンジカップ2016 オマーン戦プレビュー】「身長」にみる日本代表FW論

   キリンチャレンジカップ 2016 オマーン戦

 ロシアW杯最終予選、ホームでのサウジアラビア戦を前に、11日(金)カシマスタジアムにてオマーンとの強化試合を控える日本代表。

 主軸となる一部海外組選手が各所属クラブで十分な出場機会を得られておらず、試合感の面で不安が漂うハリルJAPAN。

 具体的には、本田・香川のダブルエースがミランドルトムントでレギュラー格ではなくなっていることが最大の懸念事項なのかなと。ヘルタ・ベルリンの原口やヘーレンフェーン小林祐希ら、若手~中堅の選手はコンスタントに試合に出続け、着実に評価を上げているようですが、既に代表でも海外リーグでも実績十分なはずの古参選手らに陰りが射しているようにも思えます。

そんななか、今回の強化試合、そしてサウジとの最終予選に向けたセレクション後、下記記事を見かけまして、本エントリにてFWの「身長」について、データ収集・可視化を試みました。

ハリルホジッチ監督が選ばない選手のタイプ ストロングヘッダー不在に疑問 - ライブドアニュース

 

 戸塚氏は攻撃のテコ入れとして招集されたFW大迫らのセレクトは妥当ながら、何が何でも勝たなくてはならないサウジ戦で、シチュエーションによってはパワープレーでゴールをこじ開けることも必要。吉田を前線に上げるのではなく、専任のストロングヘッダー(空中戦を得意とする長身FW)も駒として要るはず...と仰られておるようで。。

※恥ずかしながら、ストロングヘッダーという用語ははじめて知りました (^ ^;

 終盤のパワープレーのために果たしてハリルは交代枠を残しておくのか、といったエクスキューズもあるかと思いますが、、そこには目をつむり度々長身CFの要否は決定力不足とセットで論じられることもあるので、「身長」はFWにとって必要要件ではないまでも、確かな武器となるファクターなのだろうと思います。

 データは、JFAさんアーカイヴの過去日本代表の戦績から。

 「FW」の定義は、招集時のポジションが一貫してFWだった選手(MFだったりFWだったり変動する選手、顕著な香川や本田らは除外)を対象に、身長と出場時間、得点をプロットしました。

 また、FWの高さについては監督の意向・好み・考え方にも左右されるだろうということで、2006年のオシムJAPAN以降、岡田、ザック、そしてハリルホジッチ指揮下で招集されたFWの実績を対象とします。

 まずは、ドイツW杯後のオシム・ジャパンから順に散布図を置いてみます。

 

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 【図1 オシム・ジャパン 2006~2007 FW 身長×出場時間×得点数の散布図

 

 散布図は、縦軸に身長、横軸に積算の出場時間(min)、バブルの大きさが得点数(ラベル、名前横の数値が得点数)になります。

 オシム・ジャパンのメイン・システムは4-4-2。FW [2] には高原と巻といういずれも180cm台の選手が配されていました。主に前線で身体を張って競り合いを行う巻と、ヘディング、両足どこでもゴールを狙う万能型の高原という2トップのユニット。

 加えて出場時間は短いながら佐藤寿人や大久保のようなアジリティに優れる小兵FWも切り札的に起用していたことが見て取れます。

 また、後述しますがオシム監督が招集した全11名のFWのうち、6名が180cm台。オシム監督は高さ、強さという要素をFWに対して重視していたのではないかと思われます。

 オシム・ジャパン後期には矢野のようなスピードも備えるFWを起用するなど、高さ、強さ、そして俊敏さでもって欧州強国と渡り合おうと画策していたのかなと考察できます。

 

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図2 岡田ジャパン 2008~2010 FW 身長×出場時間×得点数の散布図

 

 2007年、志半ばで脳梗塞に倒れてしまったオシム監督。あとを受けた岡田監督は走力と連動性という前任オシム監督のベースを引き継ぎつつ、要所で世代交代を進めながら独自色を出していきます。

 メインシステムは4-2-3-1に代わり、ワントップのほか2列め [3] の両翼にモビリティに優れるFWを配する型を多様します。背景にはネガティブトランジションから即座にボールを奪回、ショートカウンターを志向していたため、攻守の切り替えにおける瞬発性を重視したからではないかと。

 岡田ジャパン時にFWの主軸として台頭したのが、現在もエースストライカーである岡崎。また、南アフリカW杯でも全試合に起用された大久保も重用したFWのひとり。いずれも身長に関しては170cm台前半。

 岡崎は一瞬の隙を突く動き出しからヘディングゴールを沈めている印象がありますが、ヘディングが得意ではあるものの本エントリで言及しているストロングヘッダーとは違うのだということを述べておきます。。

 小兵FWを重用していた岡田監督ですが、190cmの平山も数試合試しているなど高さをオプションとして組み込めないかは試行していたのかなと。

 しかし、岡田ジャパンのCBには闘莉王、中澤という屈指の高さと強さを誇るコンビがおり、中村俊輔遠藤保仁という優れたエクストラキッカーと相まってセットプレー、またはパワープレーで威力を発揮していたことも記憶に残っているかと思います。そういう意味でも、特段飛び道具的に長身FWを揃えるということは考えていなかったのかなと思えたり...

 しかし、皮肉にも集大成となった南アフリカW杯本大会では、182cmで屈強なフィジカルを誇る本田をワントップに置く急増システムでベスト16進出を達成。急場で結果を残せたのも見事ではあるものの、前々から長身FWによるやり方を準備していたらどうなっていたのか、、ぜひ岡田監督に聞いてみたいものです。。

 

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図3 ザック・ジャパン 2010~2014 FW 身長×出場時間×得点数の散布図

 

 南ア杯後、岡田監督の後任になったのがザッケローニ監督。システム3-4-3が代名詞的に語られるイタリア人監督で、実際日本代表でも何度か3-4-3をオプションに組み込もうと試行していたかと思います。

 結局、このシステムは機能することなく、メインシステムは引き続き4-2-3-1に。ワントップに前期は前田遼一、後期は岡崎が付く型に。前田も180cm台ながら高さが武器というより、スペースメイクの動きや献身的守備、足元の巧さといった2列めのタレントを活かすための黒子的役回りが多かった印象。

 2列め、トップ下にはフィジカルに優れる本田、サイドに香川や清武といったテクニカルなMFを配し、長谷部&遠藤という岡田ジャパンから引き続いているボランチ、両サイドバックの攻撃参加を活かしたポゼッション志向を強めていきます。

 圧倒的ともいえるボール支配を特徴としながらも、対アジアでは引いてブロックを敷く相手にゴール前での精度に限界を露見し手を焼く試合もしばしば。そこでザックは局面打開のために194cmという高身長FWハーフナー・マイクを何度か起用していたように思い出されます。

 地上戦でのボール支配に高さを組み入れた3次元のサッカー云々、、監督が語っていたような。。しかし、ブラジルW杯でハーフナーが選ばれることはなく、170cmの大久保のサプライズ選出、そして本大会では182cm大迫の起用など、いい意味でも悪い意味でも終始「バランス」を維持した用兵となった印象です。

 奇しくも本大会第2戦の ギリシャ戦は長身DFが並み居る相手守備網を攻略できず、地上戦でドリブルというアクセントを発揮できる齋藤学の起用も見送られスコアレスドローに。

 ザックとの夢の時間はブラジルの地で終わりを迎えたのでした。

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図4 ハリル・ジャパン 2015~2016 FW 身長×出場時間×得点数の散布図

 

 そして、我らがハリル・ジャパン(アギーレ・ジャパンは割愛 (^ ^;))。

 システムは4-2-3-1をメインに、4-3-3、または4-4-2など試合の中で微妙に配置を変えたりしていますが、ワントップのファーストチョイスは174cm岡崎慎司

 アギーレもそうでしたが、ポゼッション志向で挑んだブラジルW杯の敗退を受け、カウンターによる攻撃パターン浸透を志向しているように見受けられるハリルホジッチ監督。出場時間では岡崎が先頭を行くも、ハリルジャパンの目指すサッカーを体現している選手は、おそらく原口元気でしょう。

 原口の特徴は攻守におけるインテンシティの高さ、持ち前のドリブルからシュートまでの攻撃センス、フルタイム高水準で稼働できる運動能力。今回は選外となっていますが、タイプ的には武藤や金崎なんかがハリルの好みだろうなと推察できます。

 そのため、高さを活かしてゴールを陥れるというコンセプト、オプションはあまりなく、一度前述のハーフナー・マイクを招集していたりもしますが、戸塚さんの指摘にあるようなスクランブルのために長身FWの駒をベンチに置くという考えも無いように思われます。

 そもそも敗れてしまった最終予選初戦のUAE戦、想定外にも相手が中盤でのボール主導権争いを挑んできたように、アジアにおける日本のボール保持優位は崩れていると見るべきでしょう。自陣に目一杯引いて堅牢なブロックを敷く相手に手を焼くというシチュエーションが訪れないというわけではないですが、この先そうした場面は少なくなってくるのではないかと。

 翻って日本がアウェイのオーストラリア戦で見せた、相手にポゼッションさせることでビルドアップの拙さに漬け込む術中に嵌め、見事なカウンターで戦術的に完勝できたように、シチュエーションによっては主導権を握れない時の戦い方、リアクション型の戦術も採ることがこの先もあると思います。

 その際、ポゼッション劣勢を打開すべく、中盤でのボールプレーを放棄して長身FWを軸にしたセットプレー主体の攻撃、または前線に長身FWを置いてのクロス放り込みなどが果たして見られるのか。。そのための駒を1枚ベンチに置く、交代カードを残しておくことが有効と言えるのか。

 今後のセレクションにハーフナーのようなタイプのFWが選ばれた時、効果があるかどうか証明されるのではないでしょうか。

 現時点でメンバーにそうした特徴の選手がいないということは、今のところハリルホジッチ監督にその選択肢はないということだと思います。

 

表1 日本代表 各代表監督 FWの身長一覧】※身長順/出場実績ありのみ

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 オシム監督まで遡って身長を軸にFWのパフォーマンスを見てきましたが、過去10年を振り返ると、巻&高原のセットがもっとも高さのあるFWユニットではあるものの、その時もっとも優れたFWだと監督が判断した選手であるということが、大前提かなと。もちろん高さ、強さがセレクションの重要な要素なのだとしたら、オシム監督はそうした要素をFWの武器と考えていたことになります。

 オシム監督は退任後も巻や矢野、中澤、闘莉王のフィジカルの強さに言及しており、欧州強国に立ち向かう上では彼らの強さは重要だということも言っていました。しかし、どちらかというと佐藤寿人のような小さくても素早さに優れる選手が大型の相手DFを翻弄できることが日本の強みだということを良く語っていたとおり、長身選手と俊敏な小兵選手による組み合わせ、最適解によって最大のパフォーマンスが出せるのだということだと思います。

 人種という面でも、欧州に比べてそもそもの平均身長が低い日本のこと、長身選手は貴重な存在かもしれません。とはいえ、代表監督、または協会が目指す日本のサッカーーのコンセプトが前提にあり、パーツとして高さを強みとする選手が要るかどうかということだと思います。

 

 15日サウジアラビア戦で折り返しとなるW杯最終予選。残り半分の予選で、高さで相手ゴールをこじあけるべきシチュエーションが訪れるのか。。

オマーン戦、もしも日本が苦戦となったとき、前線の「高さ」に注目してみてはいかがでしょう。。

 

では、また!!

 

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