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【ジェフ千葉】大分トリニータ戦プレビュー ~過去昇格組とは一味違う?J2昇格組の過去実績と今季トリニータの戦績を比較してみる~

  明治安田生命J2リーグ 第39節
 大分トリニータ - ジェフユナイテッド千葉

2017/10/28(土)/ 14:00 K.O / 大分銀行ドーム


【公式】プレビュー:大分トリニータvsジェフユナイテッド千葉 明治安田生命J2リーグ 第39節 2017/10/28

 

 残り試合でひとつも負けられない終盤戦に来て、今季2度目の3連勝達成。

 それも2位福岡との直接対決、「鬼門のアウェイ」で達成してみせるというボーナス付き。

 相手に2度PKを与えてしまう超劣勢を跳ね返しての1-0勝利という、劇的な試合展開だった事もこの3連勝に妙味を加えたのではないでしょうか。

 内容に目を向ければ、前半立ち上がりはジェフお得意のサイドアタックで押し込むも、次第にウェリントンを軸とした福岡の圧力に後退を余儀なくされる一進一退の流れ。

 PKを与えた場面の前にも、仲川にサイドの攻防で決定機を作られていたり、ウェリントンの落としから松田力に強烈シュートを見舞われたりと、嫌な流れで来ていた事は今一度分析と対策を施して欲しいところ。

 とはいえ、1度目のPKを止めた流れからカウンターを発動し、見事ワンチャンスを沈めきれるインテンシティーの高さを発揮できた事は、「決めるべき時に決める」事ができなかったこれまでのアウェイ戦の反省を活かしてのものでしょうから、チームの成長を感じる部分でもあり、評価に値する部分かなと。

 後半は風下に立った事も影響してか、自陣に押し込められる千葉としては慣れない時間帯が長く続いたものの、クローザーの大久保投入とシステム変更、途中投入の也真人と勇人、矢田ら中盤の選手らのハードワークで、鋭いカウンターをチラつかせて、福岡に対してストレスを与え続ける事もできたのではないでしょうか。

 2度目のPKは家本主審の微妙なレフェリングでもたらされた気もしなくもないですが、GK佐藤優也をはじめ千葉の選手らのメンタルは、最後まで切れていなかったと思えました。

 (プレビューにてメンタル、インテンシティについて触れています。)

football-data-visualization.hatenablog.com

 

 九州アウェイ連戦の2戦目は、8位大分トリニータとのゲーム。前回対戦、第21節のホーム戦では、4-1の快勝(1度目の3連勝時の2勝目)でした。しかも、トリニータとの通算対戦成績では千葉の23勝6分2敗と超お得意様。

 ただ、今の順位と今季の戦いぶりを比較すると、大分に一日の長がありそうな。。

 

 本エントリでは、そのあたりを考察すべく、過去J2昇格組のJ3時代とJ2初年度の戦績を比較してJ2を戦う上で、前年J3での成功体験がどの程度「糧」として寄与しているのかを見ていきたいと思います。

 データはご覧の提供でお送りします。

www.football-lab.jp

 

 現在、勝ち点60で8位の大分は、今季は連敗が1度(27節、28節)しかなく、2連勝が3度、3連勝が1度あり、直近の敗戦が33節長崎戦(1-2)で、以降を2勝3分で進捗しています。

 この直近の2勝が、ともにアウェイの岡山戦と松本戦という、いずれも千葉がホームで叩いた相手。前節千葉が破った福岡とは前々節の37節で当っており、ホームゲームながら1-1のドローという結果に終わっています。

 直近の対戦相手がそれぞれ同じだったという部分でも、双方分析し易いという状況にあると言えます。

 そんな大分トリニータについては、前回対戦時のプレビューでそのディテールを考察しています。

 

football-data-visualization.hatenablog.com

 

 今回、フォーカスするのは大分にとって「昇格初年度」となる今季の戦い方、その特徴は勿論、J3優勝を果たした昨季の戦い方や特徴から、どの程度変化したか(変化させられたか)という部分です。

 

【表1】過去J2昇格チーム J2昇格前年度とJ2昇格初年度 戦績の変化一覧

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 J3リーグの発足以降、優勝ないし入れ替え戦で勝利してJ2昇格を果たしたチームのJ3時代とJ2昇格初年度での戦績の比較を表1にまとめました。

 対象チームは、15年に昇格してきたツエーゲン金沢、16年に昇格したレノファ山口FC、15年ポストシーズンに大分との入れ替え戦で勝利してJ2へ昇格したFC町田ゼルビア、そして15年にJ3へ降格するも今季J2に1年で戻ってきた大分トリニータです。

 上段がJ2昇格前年のJ3での戦績。下段がその翌年、つまりJ2昇格を果たした初年度の戦績。金沢は14年→15年の比較、山口と町田は15年→16年の比較、そして大分は16年→17年(38節終了時点)という比較になってます。

 4チームともJ3時代は6割以上の勝率で1節あたりの平均獲得勝ち点は2以上を記録。右端の平均得点/平均失点を見ると、4チームの特徴が透けて見えてくるかと。

 金沢と町田は、1試合あたりの平均失点が0.6と0.5で守備の堅さが伺えます。

 一方、山口は1試合あたりの平均失点は1.0である一方、平均得点が2.7という攻撃力の高さが振り切れているかと。

 大分はというと、1試合あたりの平均失点は0.8で1失点未満、平均得点は1.7と2点取れるかどうかという水準。

 過去、J2昇格を果たした3チームが守備か攻撃かにその特徴が振れていたのとは違い、攻守にバランスが取れているような印象を受けます。

 

 そんな4チームがJ2昇格初年度どのように戦ったのか。

 守備の堅さでJ2昇格を果たした金沢と町田はというと、1試合あたりの平均失点がそれぞれ1.0に。平均得点も1.0を上回れてはいるものの、J3で見せていたような守備の堅さはJ2においてはそこまで目立つものではなくなってしまっている。

 一方、アベレージで1試合2.7点を誇る圧倒的な攻撃力でJ3を鳴らした山口は、昇格初年度の平均得点は1.3点と半減。平均失点が1.5と得点のソレを上回ってしまい、シーズントータルでの得失点では、8点ほど失点が多いという結果に。

 そして、攻守バランス型で昇格を果たした大分トリニータ。38節を終えての進捗ですが、平均得点が1.7から1.4に、平均失点は0.8から1.2に。

 どちらかが大きく悪化するという事はないまでも、J3からJ2へという上位カテゴリでの戦いの難しさを感じているというところでしょうか。

 総じて、J3からJ2へカテゴリを移した初年度は、勝率・1試合での平均獲得勝ち点を見ても、それぞれ勝率5割未満、そして2.0pt未満とJ3での成功体験そのままに好成績を残すという事はなかなか難しい様子。

(J2昇格即J1昇格を成したチームは過去ひとつもありません)。

 

【表2】過去J2昇格チーム J2昇格前年度のスタッツまとめ

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【表3】過去J2昇格チーム J2昇格初年度のスタッツまとめ

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 表2と表3に、J3時代とJ2初年度の各シーズン平均ゲームスタッツを一覧にしました。各チームの比較年度は表1と同じです。

 色付きのセルは、黄色セルがリーグ1位、薄黄色が2、3位。青色がリーグ22位、薄青色が21、20位という条件になっています。

 色の付き方が似ているチームは、そのまま特徴が似ているチームとみなしても良いかと(表2で被ゴールとパス数が少なく、ドリブルが多い金沢と町田のような)。

 2つの表を見比べれば一見できるように、表2は黄色セルが多かった4チームですが、表3では逆に青色セルが多くなっているかと。

 それだけJ2昇格初年度というのは、前年良かった各プレースタッツで引き続き秀でるのが難しいという事を暗に意味しているのではないかと。

 

【表4】過去J2昇格チーム J2昇格前年度 → J2昇格初年度 スタッツ変動の差分

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 表2と3の差分とリーグ順位の変動をまとめたのが表4。

 青色セルは、リーグ順位で二桁以上ランクダウンした指標、薄黄色は順位が上がった指標をそれぞれ色付けしました。

 

 大分トリニータに注目すると、「タックル」、「クリア」がそれぞれ二桁以上ランクダウン。が、このふたつのプレーはいずれも守備時アクションに関わるもの。

 一方で「パス数」、「ボール支配率」はJ3時代よりもJ2初年度の今季の方がランクは上がっており、(リーグの特性が影響しているにせよ)カテゴリが上がった今季の方が、パスを繋ぎボールを支配する時間が長くなっている。故にタックルやクリアのようなプレー頻度が減じられているというロジックかなと思えます。

 恐らくボトルネックになっているのは、「被シュート」の指標で今季リーグ19位になっている点で、これはリーグワースト4位の多さということに。

 これもまた、タックルやクリアのプレー頻度が減っている事と連動しているのかなと。つまり、被攻撃時のリカバリー・プレーにおいてクリアで危機回避を選んだり、タックルで球際で激しく奪いに行くアクションを選ばないという事。

 前エントリで見た反則ポイントのランキングにおいて唯一マイナス点で第1位なのが大分でしたから、ラフプレーが少ない事とも関連してそうです。

 大分とは反対に球際では激しくアクションしていくおらがジェフユナイテッド千葉。シーズン通じてファウルが多め(警告も)になっており、既に1度累積警告で出場停止になっている清武が再びイエローカード3枚でリーチになっているなど、フェアプレーを是とする大分とは対照的かと。

 このあたり、レフェリーにも「フェアな大分とラフなジェフ千葉と、色眼鏡で見られる遠因にもなろうかと思うので、福岡戦のようにレフェリングが逆風とならないような、激しい中にも冷静なプレーを心がけて臨んで欲しいところです。

 

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【図1】大分トリニータジェフ千葉 チームスタイル指標 比較 (9/16 時点)

 

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【図2】大分トリニータジェフ千葉 チームスタイル指標別シュート到達率 比較 (9/16 時点)

 

 前エントリ時点では無かった「チームスタイル」の指標で、大分トリニータとおらがジェフ千葉を比較したのが、図1と2。

 図1は各攻撃パターンにおけるアクション頻度を偏差値化したもの。「自陣ポゼッション」と「中央攻撃」を除いて、軒並み大分の上を行くおらがジェフ。

 図2の同攻撃パターン毎のシュート到達率に目を移しますと、一転大分の方が高めになっている様子。

 シュートという攻撃フェイズになると、燃費効率の悪いジェフと省エネな大分という構図が浮き彫りになります。

 アグレッシヴに攻撃のアクションを繰り出すおらがジェフに対し、自陣でのポゼッションから緩急をつけて相手の隙を的確に突いてくる大分という展開が読める、チームスタイルの比較になっているかと。

 

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【図3】予想スターティング・フォーメーション

 

 前節、好調を維持していた山本真希がアクシデントでピッチから引いたように、終盤戦になっているからこそ疲労の蓄積などによる故障のリスクが眠っている事が改めて思い出されました。

 今季、食事管理等で肉体改造をゼロから取り組み始め、16年関塚政権時に比べて大幅に故障離脱者が減った印象のおらがジェフ千葉ですが、怪我人がゼロという訳ではないですからね。

 システムは引き続き船山をトップ下に置く4-2-3-1と予想。為田が戻り、清武は右サイドではないかなと。

 アンドリューが今節まで出場できない事から、アンカーを置く4-3-3はチョイスしないと思われます。

 対する大分は、3-4-2-1を基本システムとしながら、前々節福岡戦では鈴木惇を欠いた影響からか守備に特徴のある姫野をアンカーに置く3-1-4-2を敷いていました。遡ること、第36節の岐阜戦では4バックで噛み合わせるなど、片野坂監督は相手に応じてアレンジを施してくる事も。

 トップ下になった船山が引き続き持ち味を発揮していることから、このトップ下にいる船山の持ち味を消してくる采配も見せてくるかもしれない。姫野を監視役として、船山を封じさせ、川西と鈴木惇を船山とマッチアップさせず、矢田か勇人のボランチにぶつけることで、二人のうちいずれかを引っ張り出して千葉のバイタルエリアに穴を開けようとしてくるかもしれません。

 船山が先制点を奪った前回の大分戦は、前半途中から相手にボールを保持させる時間を長くすることで、ハイプレスで大分の自陣でのビルドアップを破壊することに成功しました。ハイプレスを掛けてくるジェフの選手を剥がそうと、大分は自陣における選手間の距離が間延びしたことで、そのスペースがネガトラ時にそのままジェフの選手に自由にプレーさせるスペースになってしまった事で、大量失点に繋がってしまったのかなと(千葉戦の4失点が大分のシーズンワースト)。

 

 対する千葉は、ハイプレスによるショートカウンターと、ハイラインではなく陣形を低く構えてからの船山を中心にしたカウンター攻撃という、異なる攻撃パターンで大分を翻弄できるか。

 攻守の切り替えで生じる隙や一瞬の間を見逃さず、攻撃のギアチェンジをしてくる大分のサッカーは、今シーズン終盤にきて洗練されてきている印象。前節松本戦の序盤に千葉戦の3失点目のようなGKとCBとの連携ミスを誘うハイボールを蹴り込むなど、直近の試合のスカウティングを駆使してか、相手の弱点を突くやり方も見受けられます。

 2つのPKを与えてしまった福岡戦の守備対応も片野坂監督はばっちり分析してきていることでしょう。

 

3連勝で下してきた相手とは、違った特徴を持つ大分に対して、おらがジェフ千葉も柔軟な戦い方を強いられるかと思います。連勝できている勢いはそのままに、あくまで冷静さを伴ってアウェイ戦を乗り越えて欲しいと思います。

 

 週末にかけて再び台風が日本列島に接近しているとの予報があるなど、なかなか落ち着かない週末になりそうですが、おらがジェフ千葉には4連勝を達成し最後まで昇格PO争いに加わり続けてもらいたい。

 6位とは5pt差ながら、残る試合は4試合なので、敗れるとなると可能性はほぼゼロに近くなってしまう。

 大分もまた、下位の千葉に敗れる事は昇格PO争いにおいては致命的になろうかと。

 白熱するであろう好ゲームを期待して、土曜日のキックオフを待ちたいと思います。

 

 では、また!

 WIN BY ALL!!

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