【ジェフ千葉】京都サンガFC戦プレビュー ~サンガの現状説明会で発表されたであろうデータを可視化してみた~
明治安田生命J2リーグ 第35節
京都サンガFC - ジェフユナイテッド千葉
2017/09/30(土) 15:00 K.O / 西京極総合運動公園陸上競技場
【公式】プレビュー:京都サンガF.C.vsジェフユナイテッド千葉 明治安田生命J2リーグ 第35節 2017/9/30
前節、アウェイの長崎戦はラストワンプレーで勝ち越しを許す痛恨の敗戦となりました。
昇格PO圏との差は8差。今シーズンまだ8節を残しますが、これ以上昇格圏から離されてしまうと早々にこのPO争いから脱落することになります。
これまでなかなか勝てないアウェイ戦も今節の京都戦を含めて4節あります。
もうこれ以上「アウェイは苦手だから...」などとは言っていられません。
負けは許されない。昇格の可能性がある以上、今節は必勝の試合になるでしょう。
さて、その京都サンガFCに関して注目のニュースリリースが今週26日木曜日にアップされています。
それは、9月16日に開催された、サンガにおける「現状説明会」の議事録です。
発端はというと、8月25日の同下記ニュースリリースに詳しいので同じく貼ります。
チームの低迷に憤ったサポーターからの要望を受けて開催の運びとなった、サンガの「現状説明会」。
会の内容は上記議事録に文字起こしされているので、そちらをご覧いただければ当日の会の様子は想像できるかと思います。
おらがジェフユナイテッド千葉にとって、京都サンガは「ズッ友」、または「(J2)フレンズ」などと、2部生活を共にする期間が長い故、そう揶揄され、ネタにされています。。
件の議事録を読むに、何故か他人事とは思えないジェフサポも多いのではないのか?と思います。
今回のプレビューを書くにあたり、この議事録で言及されているデータを想像しまして、「当日のスライドで使われたデータ(可視化)は、たぶんこんなんじゃないか...」と勝手ながらに想像、妄想を膨らましまして、似たようなデータ、または議事録の発言をなぞってサンガの「現状」がどんなもんか、可視化と考察をばしてみようと思います。
「ジェフでも現状説明会を...」などと思ったジェフサポのアナタ!
「もしも、ジェフだったら...」と脳内変換してご覧いただければ、と。
データはご覧の提供でお送りします。
ざっくりではありますが、サンガの現状説明会の当日の流れは以下のような感じだったのかなと。
<現状説明会のアジェンダと共有データ(予想)>
- 2017シーズン 見通しの報告 → 収支進捗の数値
- 現在のチーム状況報告 → チーム・スタッツ/戦績等データ
- 質疑応答
クラブ側の登壇者のパートである収支進捗とチームの現状報告にてスライドを用いて説明がなされたものと思いまして、本エントリでもその部分の発言をなぞって数値を揃えてみました。
まず、社長の山中氏がご報告された京都サンガの収支進捗の数値を下記表1に。
【表1】京都サンガ シーズン毎損益の推移(CY2011~CY2017)
議事録によれば、2011年からの推移がスライドになっているということで、私も2011年からの数値を持ってきました。
2017シーズンはまだ締まってないのですが、「今年の見込み、もう、見込みが出せる時期にまいりましたので、18 億 6 千 3 百万円・・・」という発言を拾って、営業収入の項に入れています。
さらにチケット収入についても言及しており、「2 億 2 千 1 百万円」という数字を拾って、これは「入場料収入」の項へ代入。
収支報告に関しては、広告料収入やDAZN原資のリーグ配分金についても言及がありますが、確実な数値として拾えるのはこのふたつかな、と。
これに倣って、おらがジェフユナイテッド千葉はどうなのかというのが表2。
【表2】ジェフユナイテッド千葉 シーズン毎損益の推移(CY2011~CY2016)
17年シーズンの数値は勿論入っていません(ちなみに決算期は今年の12月)。
表1と2をにらめっこすることで、サンガとの諸々の違いは分かるかなと思いますが、議事録にある山中社長の発言をなぞって、「営業収入」と「総入場者数」について、おらがジェフ千葉との比較を可視化したのが、下記の図1と図2。
【図1】京都サンガ・ジェフ千葉 営業収入の推移(2011年~)
【図2】京都サンガ・ジェフ千葉 年間総入場者数と入場料収入の営業収入対比の推移(2011年~)
図1は2011年からの両クラブにおける営業収入の推移。
図2は棒グラフに年間の総入場者数を取り、折れ線に「入場料収入」の対営業収入に占める割合を取りました。つまり、営業収入のうち我々ファン・サポーターの入場料がどれくらい貢献しているかという数値。
営業収入のトレンドでは、京都はダウントレンドながら、今季はどうやら昨対ではプラスで着地しそうだという山中社長のお話。
千葉もダウントレンドにありましたが、15年、16年と戻してきている(果たして今季は...)。
図2に目を移すとこちらも直近では、両者ともに上がったり下がったりしている模様。議事録によれば、サンガは入場者数は昨対で増加と述べられていますが、千葉は恐らく昨対で見るとマイナスに転じると思われます。
第6節のプレビューでもジェフとサンガ、様々比較していますのでそちらもご参考までに。
football-data-visualization.hatenablog.com
さて、続いて本丸となるチームの「現状」について。
この会の本題ともいえる部分ですが、こちらも議事録での発言をなぞっていきたいと思います。
代表の山中氏から強化部の細川取締役、野口強化部長へスピーカーがスイッチします。
チームの現状説明、及びスライドは監督選定からキャンプ、そして開幕から直近までと時系列にチームの状況を共有していくもののようでした。
監督選定については、布部監督や石丸前監督含めて複数名の監督について、様々な項目を設けて査定されているようなのですが、スライドが非公表のため、詳細はわからず。
また、鹿児島キャンプにおいての怪我人等の事象についても情報は得られませんでした
私の方で拾えるデータはというと、開幕から直近34節までのゲームスタッツ。
野口強化部長の話では、今シーズン直近までを4つの期間で区切って分析したとありました。
<京都サンガ 2017シーズン4つの期間>
- 第1節~第7節 → 3-4-3システムでのビルドアップ期
- 第8節~第18節 → 4-4-2システム&ツインタワー期
- 第19節~第22節 → ビルドアップ模索期
- 第23節~直近 → エスクデロのボランチ起用期
ざっと各期におけるサンガのステータスを申しますと、まず開幕から7節までの第1期は、間3連敗を含む1勝1分5敗、勝ち点4の21位とスタートダッシュに完全い躓いてしまい降格圏に沈んでしまった時期。
基本システムは、3-4-2-1で後方から繋ぐスタイルで臨むも結果が出ず。おらがジェフとのゲームもこの期間の6節でした(結果は2-2ドロー)。
第2期は8節から18節まで。システムを4-4-2にし、CFケヴィン・オリスとDFの闘莉王をFWで併用する「ツインタワー」に切り替えて「シンプルなサッカー」にしたところ11節負け無しで走り抜けます。
ただ、この期間での連勝は一度もなし。無失点試合が讃岐と熊本とのゲームのみで、その他の9試合すべてで失点。この時点での順位は12位(千葉は14位)。
第3期は「夏場を向かえるところで、これ一本(ツインタワー)では厳しいだろう」という野口強化部長の発言にもあったように、「ビルドアップを交ぜて」アレンジを加え始めた折。
ただこの4節と同時期の天皇杯1試合は1勝4敗と「迷いを生じさせてしまった期間」と総括。
23節からそのビルドアップを折衷するにあたっての要となるエスクデロ選手がスタメンで起用されはじめ、24節と25節名古屋と町田に今シーズン初の連勝。この時、順位は13位(千葉は12位)。
8月に入り、「この二人(オリス&闘莉王)のいずれかが出られない試合が多く、変わるサッカーが出来なかった」事が響いて、説明会開催直近時の山形戦まで含めて1ヶ月半程未勝利できてしまっている、と(湘南戦もドロー。現在17位。千葉は12位)。
ざっと、このように今季のサンガのバイオリズムを整理、分析されているそうでした。
これにならって、私の方で揃えられるデータを時系列で可視化してみます。
【図3】京都サンガ パス・スタッツ&ボール支配率の推移(第34節まで)
【図4】京都サンガ クロス・スタッツ&シュート到達率の推移(第34節まで)
図3、図4共通で第1節から直近第34節までの各スタッツを左から右、時系列に羅列しました(第33節は台風の影響で順延)。
順を追って見ていきますと、まず図3のパス・スタッツ。開幕当初、布部監督、強化部の目論見では、後方からビルドアップしてボールを繋いでいくとありました。
なのでパス数、パス成功率、そしてボール支配率をウォッチすることで、当初の狙いと実際の結果はどうだったのかを見てみます。
サンガの強化部では4つの期間で整理するとありましたが、第3期が4試合しかないということで、第4期のビルドアップとツインタワーを折衷する期の模索期として、3期、4期をまとめて見ようと思います。
図3と図4の棒グラフ黄色で色分けした箇所がそれぞれの期のはじまりとしてマーキングしています。
これを境にビルドアップ期、ツインタワー期、ビルドアップとツインタワーの折衷期と読み替えていただければと。
まず、パス・スタッツの変遷ですが、第5節までは確かにパス数の多いゲームが続いています。しかし、6節で対戦した千葉のハイプレスとボール支配に圧倒されて、狙いとしたサッカーは出せず、続く横浜FC戦も支配率ではビハインドに。
第8節からシステムを4-4-2にし、闘莉王を前線に配置するツインタワーでシンプルにターゲットへ合わせるスタイルにシフト。確かにこの期間のパス本数の水準はやや落ちているように見えます。手数を掛けず、前線のターゲットに合わせる攻撃にしたことの反作用でしょうか。
第23節徳島戦からビルドアップへ回帰する流れの転換点として、エスクデロ選手をボランチでスタメン起用。連勝した24節、25節はパス本数は低いまま推移するも、その後26節からはパス本数もパス成功率も上昇に転じているように見えます。
また、「高さを活かす上で、角、相手のペネルティーエリアの横、そこを取ることが得点が生まれる る一番の要因」と話されている、議事録ではスライド18の箇所が、クロスについての言及かなと思い、図4にその推移をもってきました。
シュート到達率との重ねでクロス・スタッツを描いていますが、第1期と第2期を通じて、クロス数が大きく変化しているような傾向は見受けられないものの、ビルドアップを回帰させた折衷期以降は、特に「クロス成功率」が上向いてきているように見えます。
後方から角度のないロングボールで2トップに当てるだけでは相手に読まれてしまうというような発言もありましたが、サイドで起点を作りそこからのクロスや2トップをデコイにして2列目の飛び出しも狙う、そういう意味での「角を取る」という事なのでしょう。
【図5】京都サンガ 被攻撃&被シュート到達率、及び守備アクションの推移(第34節まで)
図5は守備についてのスタッツを。
守備についての言及はあまりないのですが、「調子が良いときは、自然とラインが高く保てていて」との発言がありました。また、セカンドボールを拾っての二次攻撃についての話の中で、「ディフェンスラインを徹底的に上げようということで、この前の試合で、吉野選手をセン ターバックで使い、ラインを高く保つ取り組みを行っております。 」という話もあったり。
守備に関してはハイプレス&ハイラインをセオリーとする千葉とは違い、サンガは守備についてのセオリーをとりわけラインの高さとは連動させていなかったというように読み取れます。
ラインの高さについてのデータは無いので、図5の可視化とは整合性はあまりありませんが、サンガの守備アクションをタックルとクリアの被攻撃に対する試行率で見ていくと、序盤はクリアよりもタックルを選択していることが分かります。
これは「繋ぐ」というスタイルに基づくアクションと言えるので、議事録にある発言とも一致します。
ただ、4-4-2のシンプルなスタイルにシフトして以降は、タックルのそれをクリアが上回る時期が続き、ビルドアップを回帰させて模索していた19節頃ややクリアではなく、タックルのアクションをチョイスしていそうな気配が窺えるも、直近はやはりクリアで蹴り出す選択をしていそうな傾向にあります。
ただ、先程あったボランチの吉野選手を最終ラインに落とし、ラインを高くするトライをした山形戦や湘南戦は、再びタックル試行率が上昇をしており、この傾向が今節の千葉戦でも見られるのかどうか、争点となりそうな気がします。
【表3】京都サンガ 2017シーズン各期間の平均スタッツまとめ
というわけで、時系列で可視化したスタッツを今シーズンの3期(ビルドアップ期・ツインタワー期・折衷期)とでサマって平均値を取ったのが表3です。
パス数、パス成功率の推移を見ると、議事録にあるお話しの通りの傾向にあるのかな、と思えたり。クロスの成功率であったり、シュート到達率という数値を見ると、確かに改善の跡は見えてきていそうな気もしないでもない。
ただ、サッカーというのはデータの通りに結果が伴う訳ではなく、事実サンガは直近8試合勝利が無い訳でして、このまま現状のやり方を続けるのか、次なるアレンジがあるのかどうか、明日のキックオフを待たないと何とも言えないのではないかと思います。
明日のスタメン予想の前に、まずこのニュースに触れないわけにはいかないでしょう。
28日金曜日、熊谷アンドリュー選手が暴行容疑で警視庁に逮捕されたというニュースリリースがジェフの公式サイトからありました。
27日の逮捕翌日、処分保留で釈放となっており、恐らく起訴とはならないと思いますが、事件の詳細が明らかになるまでは試合には出られないと思います。
よって、今節のアウェイ京都戦に熊谷アンドリューは不在。
今後、どのような処分となるのかは続報を待たないことには何も言えないと思います。このタイミングでこのようなニュースが出てしまうことは、クラブ、チームとってダメージは小さくない。
彼自身のキャリアにも傷が付いてしまうことは避けられない。
それでも、サッカー選手としてもう一度ピッチに帰ってくることを信じて待つことしか我々にはできないと思います。
もし、何か過ちを犯してしまったのなら、償えばいい。
そして、心を入れ替えて再びサッカー選手として、我々の前でプレーを披露して欲しい。今言えることはそれだけです。。
さて、明日のスタメン予想。
まず、京都の面々ですがDFラインを上げる役割のMF吉野を今節もCBで器用するか否か。
私は、吉野は使わず闘莉王を持ってくると読みました。高さというセットプレーの強みを保ちながら、守備では千葉の攻撃の核であるラリベイを封じる役割を担わせるのではないか。
千葉のハイライン攻略には、イ・ヨンジェと大黒の機動力勝負で挑むのではないか。
千葉はハイライン裏でのミスや被決定機からの失点がなかなか減らないことから、この2トップでそうしたミスを誘発するのではないか。
千葉は京都の高さ、とりわけ総得点の半数以上を占めるセットプレーを最大限警戒しなければならないでしょう。その上で、個の能力のある2トップと仙頭と岩崎という若いテクニカルなアタッカーの絡む攻撃を防がなければならない。
前節、負傷で退いた近藤が戻ってくるのかどうかによっては、GKオヘーダではなく佐藤優也を起用するべきかなとも思います。
やはり守備陣の統率をするという面ではオヘーダよりも優也の方が良いだろうと。これは単純にコミュニケーションの面からの話です。日本語かスペイン語かで言ったら、やはり日本語での意思疎通の方がスムーズだからです。
勝負の分かれ目としては、京都がポゼッションをどこまで許容するかという点にありそうな気がします。
あまりプレスを剥がすビルドアップがまだ構築しきれていない様子の京都が、無理をして後方でボールをこねるような事があると、千葉のハイプレスの餌食となってしまうでしょう。
京都の現状説明会では「間延びして二次攻撃、三次攻撃へと繋げていけない」という話がありましたが、これについては今季の千葉を見ていただければ、まさにその通りだろうなと。
京都は陣形をコンパクトに保ってくるのかどうか。そうなると中盤での奪い合いが頻発することになり、プレス合戦に慣れた千葉に流れが傾くのではないか。
布部監督、そして京都の強化部の判断がどのようになるか。この議事録にあった話をトレースして、明日のゲームを観てみると一層楽しめそうな気がします。
前節、長崎に劇的勝利を献上し、今週残念なニュースがあるなど、決してチームの雰囲気は明るくはないであろう、おらがジェフユナイテッド千葉。
昇格に向けてまさに崖っぷち。周囲の雑音もあるでしょう。
それらを吹き飛ばすには勝つしか無い。
まだ何も決まってない以上、自らその可能性を広げることしか道は開けません。
もう一度、前を向いて、そして上を目指して這い上がるための一戦に、そして勝利にしましょう。
では、また!