【サッカー日本代表】ロシアW杯アジア最終予選オーストラリア戦プレビュー ~日豪代表キープレーヤーをデータで比較~
Asian World Cup Qualifiers
JAPAN - AUSTRALIA
Thursday 31 August 2017 19:35 K.O
Russia 2018 Asian Qualifiers: Japan v Australia preview | AFC
はやいものでロシア・ワールドカップ最終予選も残り2戦を残すのみ。
本大会開幕までを見ても、残り1年を切っております。
ブラジルの地で届かなかった世界との距離を再び縮めるための舞台は2018年のロシア。
その出場権獲得まで、あと1勝というところまで迫っています。
相手はアジア王者のオーストラリア。
もう何度目なのかというくらい見慣れた組み合わせなのですが、前回大会、前々回の大会から通算して3度同組となった因縁浅からぬ相手。
世界標準との力量差を測るという意味では、特に体格差、パワーとスピードといったフィジカルスペックの差において、オーストラリアという国はアジアにおけるひとつの指標、ベンチマークとも言える相手。
日本の歴史的な宿敵は韓国ということになろうかと思いますが、世界を見据えた戦いという意味における「ライバル」は、これまでも、これから先も、このオーストラリアという国であろうなと思います。
前回対戦、アウェイでの一戦は先制するもPKを献上しての悔しいドロー。ゲーム展開は守備的に臨んだ日本のプラン通りに進んだように思えました。
ボールを持たされる格好になったオーストラリアは、低く構える日本の守備ブロックを攻略できずに攻めあぐねていた印象がありました。
しかし、コンフェデレーションズカップを経たオーストラリアは少し新しい戦い方を身につけつつある印象があります。
フォーメーションも3バックを導入するなど、彼らもまた世界標準を見据えたスタイルの構築にいち早く着手している様子。
J2千葉に在籍していた主将のマーク・ミリガンや、日本キラーのケーヒルらベテラン選手が未だ健在も、その他の主力を張る面々を見ると着実に世代交代が進んでいる事が伺え、チームそのものの成長曲線を見比べると、少し日本は遅れをとっているのではないか?と思えるほどです。
今回のエントリでは、そのあたりを踏まえて個々の選手、とりわけ各ポジションにおけるキープレーヤーにフォーカスして、データで日豪比較をしてみようと思います。
データはご覧の提供でお送りします。
FIFA World Cup Asian Qualifier Match Centre | AFC
上記AFCサイトにて、選手個々のデータを参照できるページがあります。
そのデータをもとにGKからFWまで各ポジション毎にスタメンを張りそうなキープレーヤー両国4人ずつをそれぞれ比較してみました。
まず、互いの守備の統率を担うであろうCBのふたり。吉田麻也とセインズベリーの比較。 ロンドン世代の麻也ももう29歳。対するセインズベリーはようやく代表に定着した26歳。
守備「DEFENSE&DISCIPLINE」の項の比較になりますが、それぞれ拮抗した数値に。顕著に開きのある数値は、「CLEARANCES」と「INTERCEPTIONS」。
クリアとインターセプトというプレーに相当しますが、比較すると吉田については倍近いクリア数、セインズベリーは3倍ものインターセプト数をマーク。
チームコンセプトに沿ったものか、互いの特徴を表した数値なのか、評価は半々かと思いますが、日本の吉田は被攻撃時は危機回避を、オーストラリアのセインズベリーはパスカットを狙って奪いに行くという守備プレーの違いが表れているのやもしれません。
繋ぐ意識付けを共有しつつあるというオーストラリアのコンセプトともリンクするという意味では、被攻撃時にクリア目的で蹴り出さず、パスカットから味方に繋いで攻撃に移行させようという意図は、筋が通っているようにも思えます。
重要なのは、インターセプトからのパス成功率であろうかと思いますが、残念ながらその数値はAFCサイトには無く。
奪ったあと繋いでくるということは、日本の狙い所にもなり得ると思うので、ネガティヴ・トランジション時に即時奪回を狙っていくというプレーができるかどうかも注目点になりそうです。
【図2】川島永嗣 vs マット・ライアン
図2は守護神の比較。
川島は予選途中からレギュラーに復帰したため、ライアンと比べてややサンプル数が少ないです(失点数、GOAL CONCEDED の差が明らか)。
34歳となった川島は、いつの間にやらチーム最年長に。対するライアンはまだ25歳とGKとしては若い選手。しかし、プレミアリーグ所属のブライトンでもポジションを掴んでおり、実力は折り紙付き。
セーブ率でみると川島に軍配があがるかもしれませんが、セーブ率から割り戻して被シュート数あたりに直してみると、やはり試合数の差があるので開きが顕著になってくることから一概に優劣をつけるのは難しそうです。
判断力や身体能力、それらを踏まえての経験値も重要となるゴールキーパーというポジションは、データではなかなか評価が難しいなと思わされます。
川島のビッグセーブは飛び出すのか(そういうシチュエーションは望ましくはないですが)。またはライアンの守るゴールを日本の攻撃陣が破れるのか。
日本とオーストラリア。果たしてどちらのゴールネットが揺れるのでしょうか。。
【図3】原口元気 vs マシュー・レッキー
次いでサイドアタッカーの比較。ポジションはFW登録ですが、主にアウトサイドのMFまたはウィング/ウィング・バックで出場となるであろう二人。
奇しくも同じヘルタ・ベルリンに所属し、同い年で同僚同士でもある原口元気とマシュー・レッキー。
ブンデスリーガ開幕戦で2ゴールを上げて評価を高めているのは、オーストラリアのレッキーの方。方や原口は、シュトットガルトへの移籍も噂されるなど、昨季までの活躍とは裏腹にブンデスにおけるレッキーとの明暗、コントラストは著しいのかなと。
スピードに乗った仕掛けを持ち味とする点も共通しており、二人のどちらが攻撃の風穴を開けるのかが勝負の鍵を握りそうな気配。
ドイツで磨かれた原口の「デュエル」の強さはデータにも表れていて、DUELS WON(%)の項では、レッキーのそれを僅かに上回っています。
ただ空中戦における勝率では、レッキーに軍配が上がっています。
仮に右サイドで出場となれば、左WGに入る原口と同じサイドということに。マッチアップは左SBに入るであろう長友という事になりますが、高さ勝負ではレッキーに分があるため、原口が援護にまわって共に競り合う場面も出てくるかと。
日本の左サイドにおけるヘルタ同僚同士のマッチアップにも目が離せなくなりそうです。
【図4】大迫勇也 ys トミ・ユリッチ
最後は、おそらくセンターフォワードで先発するであろう大迫とユリッチの比較。
ロースコア勝負になるであろう事が予想されるため、ゴールに近いポジションにいる二人の働きによって、日本とオーストラリア、どちらにゴールが生まれるかが左右されそうな気がします。
シュート成功率「SHOOTING ACCURACY(%)」は、ユリッチにやや分がある様子。チャンス創出数「CHANCE CREATED」は同数、アシストは共にゼロ。
大迫はブンデス開幕前に負傷していたのですが、順調に回復しブンデスリーガでも既に実戦復帰しています。ユリッチは30日の練習で姿を見せなかったらしいですが、負傷等の事象では無いということで、先発ではないにせよどこかの時間帯でピッチに立つのではないかと思われます。
データ比較に上げた両国8人以外にも注目選手はいるかと思います。
上記サイトでマッチアップする選手同士の比較も可能なので、スタメン発表後に各々確認されても面白いかと思います。
ワールドカップ出場まで王手となったハリルジャパン。
もちろん出場権を獲得することは、目標のひとつではありましょうが通過点であることには変わりない。それはオーストラリアと言えど同じことでしょう。
何よりも結果が求められる譲れない一戦ながらも1年後、さらにはその先の両国を見据えたような内容も見られれば...
この先もライバルであり続けるであろう両国の熱い戦いを期待したいと思います。