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【ジェフ千葉】FC岐阜戦プレビュー 〜シーズン残り3分の1の行方を今季3分の2のデータから占ってみる〜

   明治安田生命J2リーグ 第28節

 ジェフユナイテッド千葉 0 - 1 湘南ベルマーレ

 2017/08/16(水) 19:00 K.O / フクダ電子アリーナ / 12,485人 

得点者:ムルジャ 82'


【公式】ハイライト:ジェフユナイテッド千葉vs湘南ベルマーレ 明治安田生命J2リーグ 第28節 2017/8/16

 

   明治安田生命J2リーグ 第29節

 モンテディオ山形 2 - 2 ジェフユナイテッド千葉

 2017/08/20(日) 18:00 K.O / NDソフトスタジアム山形 / 7,044人 

得点者:山田拓巳 40' / ラリベイ 56' 87' / 永藤歩 90+4'


【公式】ハイライト:モンテディオ山形vsジェフユナイテッド千葉 明治安田生命J2リーグ 第29節 2017/8/20

 

(お盆シーズンで帰省していたり、休み明けに本業が立て込んでいたりと、データに向き合う時間が取れずにいたので、本エントリで諸々まとめてやっちゃいます。)

 

 ミッドウィークに行われた湘南戦は、手応えを十二分に感じられる内容だっただけに、悔しさもこの上なく大きい敗戦になりました。

 現在、J2首位を走る湘南を出足と球際で上回り、攻守トランジションで終始優位に試合を進めるという千葉がやりたいサッカーをホーム・フクアリで存分に披露。

 ただ、唯一「ゴールが足りなかった」千葉は、終盤のセットプレーを途中出場のFWムルジャに沈められて無念の敗戦。 

 終始攻めに攻めるもゴールだけが奪えず、カウンターやミスからコロっと被弾して敗れるという、これまでも見てきた敗戦パターンに「またか」と落胆した方も多いでしょう。

 いくら内容で相手を圧倒しようとも、それが首位をひた走る湘南相手であっても、勝たなければ意味がない。その意見は至極正論に思えます。

 一言で言えば、それが今の「実力」。

 J2首位に対して89分内容で圧倒しようとも、たった1分、あるいは数秒のワンプレーで負けてしまうのが、おらがジェフの現時点での全てなのだろうなと。

 

 湘南のチョウ監督から「J1のような質」と評されるクオリティを見せていただけに鬼門のアウェイと言えど、サポーターの期待は高かったであろう日曜日のモンテディオ山形戦。

 連戦の疲れからか、水が撒かれないピッチコンディションの影響か、湘南戦と比べるとややプレーの精細を欠く場面が散見され、ボールを保持し押し気味にゲームを進めるも前半40分にコーナーキックの流れから失点。

 後半に入って間もなくピンチもあったり等、嫌な流れではありましたが後半10分過ぎにセットプレーからラリベイが頭で合わせて同点。終盤にもセットプレーの流れから混戦の中で再びラリベイが技ありのゴールを上げて、逆転して見せたジェフ。

 しかし、最終盤に落とし穴が待っていました。。

 アディショナルタイム3分を経過した頃、山形のゴールキックからのビルドアップに対してプレスがうまく掛からず、右サイドから木山監督が仕込んだであろう狙い通りのロビングパスを出され、千葉のハイライン裏へボールが落ちます。

 近藤と途中出場の永藤が競り合っていたところに、GK佐藤優也が処理しようと飛び出し、運悪く近藤と交錯。こぼれ球を永藤がゴールに流し込んで土壇場で同点に。

 

 ボールの落下点はペナルティエリアからだいぶ離れた位置。

 とはいえ、今シーズンの千葉のゴールキーパーにとっては、飛び出してクリアするべき守備範囲でした。ただ、このシーンだけを切り取れば優也が飛び出す必要はなかったと思います。競り合った近藤の姿も視界に入っていたはずですし、飛び出してボールを処理できず、味方に当ってしまうというのは、あまりにも拙かったな、と。

 よって、この同点ゴールは、佐藤優也の判断ミスによるものと言っていいでしょう。

 一瞬の判断ミスで勝ち点2がスルリとこぼれ落ちてしまった。。ゴールキーパーとは、実に重いポジションだなと思わされました。

 

 この連戦を翻って「J1のような質」の片鱗は、カタチを帯びてその姿が見えてきたと思います。

 ハイプレスを継続できる走力と球際で負けないフィジカル。相手のチェックに対しても慌てず、パス&ムーヴを駆使してポゼッションし、ボールを敵陣に運べるテクニックとコンビネーション。

 敵地で先制されても、愚直に自分たちのスタイルを貫いて逆転してみせた反発力。または、山口戦のように終盤追いつかれても突き放せた逆境を跳ね除ける底力。

 

 ただ、一方では終始圧倒しながら仕留めきれずに一発の決定機を決められて敗れてしまったり、勝利を手中に収めようかという終了間際にミスから勝ち点をこぼしてしまう試合もあったり。

 「プロとしての目線が下がっている」(by高橋GM)事の証左として、こうした「詰めの甘さ」が残っているという事が、7年にも渡ってJ2に居続けている結果に表れているのではないか。

 この8月の連戦で、確かな成長の跡を見ることができた一方で、積年の悪癖である「ジェフらしさ」も突きつけられたなと。

 

 27節山口戦から数えて、8月の3連戦は1勝1分1敗の勝ち点4。

 シーズンも残り1/3になり、順位を上げるしかないジェフにとっては、物足りないポイント数だったかもしれません。

 しかし、前回取り上げた夏場の獲得勝ち点18という閾値に対しては、残り2ポイントまで来ています。即ち、次節岐阜戦で勝てれば、7、8月の夏場に勝ち点19を積み上げることに。

 ひとまずこの18ポイントを超えられれば、私の中でのジェフ千葉夏休みの宿題はクリアということにしたいなと。。

 最後のハードルを超えられるかどうかは、8月最終戦の行方に掛かっています。

 

football-data-visualization.hatenablog.com

 

 前置きにかなーり字数を割いてしまいましたが、今回はシーズン2/3を終えましたので、ここまでの各データを振り返りつつ、次節岐阜戦とシーズン残り1/3の行方を占いたいと思います。

 

 データはご覧の提供でお送りします。

www.football-lab.jp

 

 まずは、 シーズン2/3を終えたということで、これまでの戦績を振り返ってみます。

 

【表1】ジェフ千葉 2017シーズンの戦績(第29節終了時点)

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 黄色く色付けしたところが勝利した試合、グレーが敗戦、白色がドローゲーム。

 シーズンを3分割してチームのバイオリズムを見るということが適切かどうかは分かりませんが、上の表にならってそれぞれ1/3毎の戦績をまとめると以下の通りに。

 

  • 第1節~14節(2/26~5/17) 5勝4分5敗 勝ち点19
  • 第15節~28節(5/21~8/16) 7勝2分5敗 勝ち点23

 

 開幕戦を勝利して2勝1分とまずまずのスタートながら、アウェイ連戦で連敗。その後もハイライン戦術の構造を相手に突かれる苦しい試合が続いてか、伸び悩んだシーズン前半だったかなと。

 中盤に入ってもアウェイで勝てない時期が続いて連勝がなかったものの、第20節アウェイ岐阜戦から3連勝。それでもやはりアウェイでふたつ試合を落とした中で迎えた上位徳島とのアウェイ戦で勝利。ホーム山口戦も劇的勝利で2度目の連勝を果たすも、前々節湘南戦で今季ホーム初黒星。

 前節山形戦から後半1/3が始まるも、勿体無いドローで勝ち点2を落とした格好に。

 今シーズンも残すところあと13節という所までカレンダーが進みまして、残り対戦カードを眺めてみると、最終節に向けてはPO圏争いのライバル同士の直接対決ばかりという日程。

 次節ヴェルディ戦のあと、最下位群馬戦を挟んで以降はほぼ全て中位~上位との対戦。

 現在9位でPO圏外ということを考えれば、いよいよ勝ち点を落とせなくなってくる情勢に突入してきたのではないかなと。

 

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【図1】ジェフ千葉 2017シーズン パス・スタッツの推移(第29節終了時点)

 

  シーズン2/3を終えてのおらがジェフ千葉におけるパス・スタッツの時系列推移です。

 図1のグラフ真ん中を境に左と右で分けると、ちょうど表1における上段と下段に対応するかと思います。

 ご覧いただくと、まずパス数、ボール支配率がシーズン中盤に入ってから、ややダウントレンドに推移しているかと思います。その割にはパス成功率はそこまでリニアに下がっているわけではなさそうな。

 気温も上がって夏場の戦いに差し掛かってくるにつれ、パスの本数が下がり支配率もそれにともなって低く抑えられてきている。この変化はある程度予想できたのではないかなと。自然環境の変化(気温の上昇)という要因によるトレンド変化という考察がまず出来るかと思います。

 

 別の角度からの考察としては、相手と自分たちの戦術的な変化に依るもの。

 ジェフの戦術ご意見番・西部さんのメルマガに詳しいですが、最近のジェフはロングボールで相手プレスを外す攻撃も見せてきているというお話しがありました。

 また、3連勝していた頃の話ですが、リードを奪ってからはあまり前からハイプレスせず、ハーフウェーラインあたりで待ち構える「中プレス」戦術を見せたりなど、シーズン当初のスタイル一辺倒ではなく、柔軟な戦い方も見せていた事が思い出されるかと思います。

 そうした自らの夏対策や相手の対策に対する対策など、現場の対応の影響がデータでにも表れているのかなと思えたり。 

 パス数や支配率が下がったからネガティブな傾向である、という見方はやや早計な気もします。

 

www.targma.jp

 

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【図2】ジェフ千葉 パス・スタッツ深掘り指標の推移(第29節終了時点)

 

 夏場にかけてパス数が減っている、ポゼッション率も下がっている傾向を詳細に見てみたく、パスをいくつかの種類に分解してみようと思い、独自の加工指標をグラフに描いてみたのが図2。

 各試合1分あたりのパス数(A)を見るべく、その試合の総パス数をアクチュアルプレーイングタイムで割った数値を青線で引きました。

 さらに、1回の攻撃あたりのパス数(B)を見るべく、総パス数を攻撃回数で割った数値をオレンジの戦で引きました。

 そのふたつのパス数の差分をとった数値を黄色線で引き、これを「ポゼッション回復のパス数(C)」と定義しました。式に表すと以下の通りです。

 【パス・スタッツ深掘り指標の構造式】A =  B + C

 可視化してはいませんが、気温の上がる夏場の戦いはアクチュアルプレーイングタイムは短くなる傾向にあることをエクスキューズとして申し上げておきます(秋春制移行の話の時引き合いに出される根拠)。

 

 図2を見ると、青い1分あたりのパス数、黄色いポゼッション回復のパス数は、元となるパス本数のトレンドに合わせて、夏場にかけて下降しています。

 しかし、攻撃1回あたりのパス数はというと、さほど落ちているわけではないことが分かります。

 ここから読み解ける事は、手数(つまりパス数)をかけて攻撃をしていたシーズン前半から、あまり手数をかけないで攻撃する傾向に移行しつつあるということ。

 

 この背景には、ふたつの事象が絡んでいると想定されます。

 ひとつは、相手の対千葉戦における戦術的変化。

 序盤は千葉の極端なハイライン裏を突ければゴールできる可能性が高くなる事から、ボール支配は千葉に明け渡し、奪ってからロングボール一発でハイライン裏を狙うやり方を執る相手が多かったこと(松本、湘南、京都、讃岐など)。

 しかし、直近は千葉のビルドアップに対して積極的にアプローチしてミスを誘い、ショートカウンターを狙う戦い方を選択するチームが増えてきたのかなと(水戸、熊本、アウェイ愛媛、山形など)。

 この対千葉戦の戦術的変化が何故起きたかというと、これがもうひとつの事象となるのですが、ジェフの攻撃の成熟が上げられるかと思います。

 シーズンが進むにつれ連携が深まり、選手らのコンディションも上がってきて、大量得点した長崎戦や愛媛戦のように、守備的なアプローチを執った相手を打ち破る攻撃的スタイルが機能しはじめてきた。

 千葉がセットプレーでもゴールできるようになったことで、相手からしたら籠城戦ではジリ貧になり守りきれないという判断になったのではないか(ホーム第15節の熊本が見せた前進守備が分水嶺のように感じました)。

 ただ、前進守備で千葉に対抗する相手が増えてきた「プレス合戦期」にあたる中盤から直近までの方が、相手に籠城策をされてきた序盤に比べて戦績が良いという結果になっているというのが面白いところであり、千葉にとってはポジティブなことであろうかと(たぶん...)。

 

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【図3】対千葉戦 各チーム パス・スタッツ深掘り指標の推移(第29節終了時点)

 

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【図4】対戦チームのパス・スタッツ シーズン平均と千葉戦の差分

 

 図3は図2と同様の見方で各対戦相手の千葉戦のスタッツを可視化。

 さらに図4は、図3の各対戦チームの対千葉戦の数値とシーズン平均との差分を見たもの。軒並みマイナスに振れているかと思うのですが、千葉のハイプレスによって減じられた各パス数を表しています。

 ほぼ差がなかったのは、第13節長崎と第26節の徳島のみ。その2節を除いては、全ての試合で相手の各パス数を削ることができている。

(過去にもハイプレスの効果について検証しています)

 

football-data-visualization.hatenablog.com

 

 特に見るべきと思っているのは、蛍光色で描いた「攻撃1回あたりのパス数」が下振れているかどうか。 

図1、図2の可視化と考察を踏まえて、この図3、4を見てみると、ボールをアグレッシブに奪いに行くハイプレッシング守備は、十分おらがジェフ千葉の武器として磨かれてきているのではないかなと。

 トレンドで見てみると、中盤から直近にかけて下振れの幅が小さくなってきてはいますが、それでも各チームとも千葉戦は軒並みシーズン平均よりもパスが繋げないということが分かります。

 秋にかけて気温が下がり、時間あたりの走行距離/スプリントに対する消耗度が小さくなれば、この相手パス・スタッツの減衰率も再び開いてくるのかどうか。

 J2リーグにはトラッキングデータが落ちてこないため、詳細な分析が叶わないのがもどかしいですが、このハイプレスの威力が透けて見えるデータがシーズン終盤1/3にかけて、どう変動するか引き続きウォッチしていきたいと思います。

 

 「我々が進む道は正しい」(byエスナイデル監督) のかどうか。

 何をもって正しいとするかによって、評価は分かれるところだと思います。

 「ハイプレス&ハイライン」というスタイルを基準として評価を下すのならば、今進んでいる道は正しいのではないか。そう前向きに捉えたいと思います。

 そのジェフが進む道の先にJ1がある事を、シーズン残り1/3の戦いの中から証明していければ良いな、と。 

 

   明治安田生命J2リーグ 第30節

  ジェフユナイテッド千葉 - FC岐阜

 2017/08/26(土) 18:00 K.O / フクダ電子アリーナ


【公式】プレビュー:ジェフユナイテッド千葉vsFC岐阜 明治安田生命J2リーグ 第30節 2017/8/26

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 今節はラリベイ、清武、也真人と攻撃の3毎看板が揃って出場停止ということで、代役の選手、残された選手らが奮起せねばならない総力戦。

 フォーメーションは4-3-3と予想しましたが、前回対戦では3-1-4-2で戦っておりメンバーもやや弄って臨んでいた記憶があります(北爪、大久保を組み込み、船山はベンチ外)。

 今節もメンバーが変わる事が予想されるため、なかなかスタメンを予想するのは難しそう。。

 予想で乾を左WGに持ってきたのは、前回対戦でかなり乾のサイドが攻撃で効いていた事と、前節守備で貢献していた比嘉はそのままに、清武の位置に乾でも面白いかなと思ったので。

 あるいは、乾を左SBに戻し、船山を清武の定位置である左WGに移して右WGに長らくベンチ外が続くサリーナスを組み込むなど、選手起用は色々あろうかと。。

 

 岐阜はGKビクトル、アンカー庄司、インサイドハーフシシーニョ、前線の古橋は定位置も、ワントップのクリスチャンが負傷しており、おそらくそこに難波が入り、右は風間がくるのかなと。

 今季の岐阜もまた、ボールを動かしポゼッションするスタイルを標榜するチーム故、水が撒かれるフクアリのピッチはやりやすいはず。

 

 それ故に千葉にとっては、人が入れ替わった中でもハイプレスが機能するかどうかが、勝負の分かれ目になってくるかと思います。

 前回対戦時はアランダと也真人が岐阜の司令塔・庄司を徹底監視してみせたように、今節も岐阜の中盤のユニットを如何に抑えるかが重要になってくる。

 第20節の時はいなかった矢田も攻守にインテンシティ高いプレーができる選手なので、相棒にはアランダが適任かなと。

 攻撃、特にゴールは船山に掛かるところが大きくなりそうな予感が(サポーターの念が...

 さらに山形戦でミスをしてしまった優也への後押しも必須。

 新加入のオヘーダが選手登録されましたが、コーチング等でコミュニケーション能力も求められるGKにいきなり新加入の外国人選手を使うのはかなりリスキーですから、まだまだ我らの守護神・佐藤優也にゴールを守ってもらわねばならないかと。

  

 湘南戦、山形戦で落とした勝ち点5は、残りシーズン1/3で取り戻さなければならない。

 圧倒的勝率を誇るホーム・フクアリでこそポイントを稼いでいきたい。サポーターの熱も試合を追う毎に熱くなっていると感じる今季のフクアリ

 夏休み最後のゲームになることから、何とか動員1万人超えを果たして選手たちを後押ししたいものです。

 

 それでは、また!

 WIN BY ALL!!

 

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