サッカーをデータで視てみよう

サッカーに関するあらゆるデータを可視化してみるブログ

【ジェフ千葉】徳島ヴォルティス戦プレビュー ~リカルド・ロドリゲス監督は何故評価を高めているのか・その理由をデータから紐解く~

  明治安田生命 J2リーグ 第26節

 徳島ヴォルティス - ジェフユナイテッド千葉

 2017/8/5(Sat) 19:00 K.O / 鳴門大塚スポーツパーク

 


【公式】プレビュー:徳島ヴォルティスvsジェフユナイテッド千葉 明治安田生命J2リーグ 第26節 2017/8/5

 

 

 アウェイ愛媛戦で惜敗し、課題のアウェイ克服はならず。

 6試合勝利から遠ざかっている愛媛は、ホームゲームながらボール保持と攻撃的なサッカーが特徴のジェフを意識してか、リスクを廃して守備的な戦いを選択。

 これにまんまと嵌ってしまった格好のジェフは、ボールを保持し前に運べども、人数を掛けた愛媛のブロックを崩せず、フィニッシュの精度や工夫を欠いてリズムを徐々に崩してしまいました。

 ジェフの失点は隙を突かれてのもので、やや腰が引けてボールに対してアプローチできぬまま、上がってきたCB浦田にコントロールショットを沈められてのもの。

 ジェフが攻め疲れて中盤のプレー強度が落ちていた一瞬の隙を見逃さず、「上がるにしてもそのワンチャンスがあるかないか」と試合後に浦田選手が語っていた、まさにその瞬間にリスクを掛けて、まんまとゴールを陥れてみせた愛媛。

 失点後、すぐさま清武、新加入の矢田、指宿と攻撃的カードを立て続けに投入するも、勇人が2枚目の警告を受けて退場した事も地味に響いて、同点ゴールは奪えぬままタイムアップ。

 

 連勝を逃したことよりも、「アウェイで勝てない」という印象が一層濃いものになってしまった事が少なからずチームにもサポーターにもダメージを与えた、そんなゲームでした。

 

 さて、今節も課題のアウェイ、四国連戦の二戦目。リーグ3位につける徳島ヴォルティスのホームに乗り込みます。

 前回対戦は、アウェイ横浜FC戦での大敗の後のホームゲームでしたが、エスナイデル監督はその横浜FC戦と同じメンバーを送り込んで2-0で勝利。徳島の馬渡選手がボールボーイへの暴力行為で早々に退場したことにより、試合時間のほとんどがジェフの数的優位のままで推移したことも少なからず追い風にはなりましたが、序盤からハイプレス&ハイラインで押し縮められた狭いスペースでの戦いにうまく引きずり込んで、徳島の出鼻を挫くことができていたのもまた事実。

 今節でもホームゲームでの良い印象を持ったまま臨んで、アウェイゲームを克服してほしいと思います。

 

 今回はJ2のみならずJリーグ各方面からその手腕へ高い評価を集める徳島のリカルド・ロドリゲス監督にスポットを当て、彼の仕事の成果を過去のデータと比較しながら考察していきたいと思います。

 現在、3位という成績は勿論、実際の試合におけるチームの躍動、ピッチに描かれる巧妙なタクティクスの跡など、映像視聴や試合観戦で分かる事の方が多くを語っているとは思いますが、本エントリではデータに着目し、昨季との違い、特にポジティブな差異がどこにあるのかを紐解いていければ、と。

 

 データはご覧の提供でお送りします。

www.football-lab.jp

 

 徳島ヴォルティスは、25節を終えて12勝7分6敗、勝ち点43でリーグ3位につけています。得点38は千葉に次ぐリーグ2位、失点23はリーグ3位という攻守の安定感が際立っています。

 J2は何よりも守備の堅さが求められるリーグ。1試合平均1失点以下というアベレージは、その守備の堅さを物語るに十分な数値ですし、その上でリーグ2位の得点力も有している。

 ここまでの戦績を振り返っても、連敗は一度もなく複数失点した試合も前節湘南戦を含めても5試合のみ。千葉は連敗が1度、複数失点した試合は徳島の倍の10試合。

 これだけを比較しても、守備の安定感における差は、徳島と千葉とで歴然とあります。

 と、ここまで守備に言及してきましたが、今回の分析・可視化は主に攻撃の話。(守備に関するデータが少なく...)

 

 まず、徳島の攻撃における効率性について、「歩留り率」で昨季と比較してみました。

 

f:id:knovocelic:20170804101210p:plain

【図1】攻撃の歩留まり率の比較(16シーズン - 17シーズン)

 

 歩留り率とは、攻撃の前プロセスを母として、どの程度次のプロセスに移行したかを示す指標。攻撃に対して、◯◯%の割合で30mラインまで進入でき、さらにそのライン進入のうち△△%の割合でシュートまで到達し...のような階層を持った構造になっています。

  図1では攻撃からゴールまでの各プロセスの歩留まり率を一覧化。青が今季、緑が昨季です。

 昨季もおおよそ3割程で各プロセス推移していた事がわかります。「30mライン進入」と「枠内シュート」がやや3割に届いていないくらい。

 今季は、「30mライン進入」から「枠内シュート」までのプロセスで効率性が改善していることが分かります。

 特に顕著なのが「30mライン進入率」でして、相手守備ブロックが敷かれているゾーンにボールを運ぶというプロセスの効率性が、昨季と比べて+5%程良くなっている。

  相手守備ブロックが敷かれているゾーンまでボールを運ぶ手段にもいくつかあるとは思いますが、今季の徳島は後方からパスを繋いでボール前進を図るプレーが多いものと思い、ゾーン毎のパス成功率の比較から「30mライン進入率」改善の裏取りをしようということで、下記図2を。

 

f:id:knovocelic:20170804101229p:plain

【図2】6ゾーン別パス成功率の比較(16シーズン - 17シーズン)

 

  ピッチをゴールから反対のゴールに向けて6分割し、自陣側から6,5、4・・・とナンバリングして、各ゾーン毎のパス成功率を記しました。

 加えて、自陣/敵陣とでそれぞれパス数をサマり、昨季と今季の成功率を円に記しています。

 ご覧頂いた通り、昨季と比べて今季は自陣、敵陣、そして各ゾーンにおいてパス成功率が上昇。

 先程の30mラインに相当する「2ndゾーン~1stゾーン」でのパス成功率も、73.8%⇒78.7%、50.0%⇒55.6%と、やはり+5%程良くなっている。

 

 就任会見で「ポジション・プレー」のスタイル確立を目指すと語ったロドリゲス監督。ポジション優位性でボールを効率的に運ぶためのロジックを、確かにチームへと浸透させていると言えそうです。

 

f:id:knovocelic:20170804101259p:plain

 【図3】チームスタイル指標の比較(16シーズン - 17シーズ)

 

f:id:knovocelic:20170804101319p:plain

  【図4】チームスタイル指標別シュート到達率の比較(16シーズン - 17シーズ)

 

 攻撃(ボール前進)からシュートまでのプロセスの効率性と、パス・プレーの精度について比較をしてきましたが、図3と図4では攻撃のスタイル毎の指標と各スタイル毎のシュート到達率とを昨季のものと比較してみました。

 図3を見るに「自陣ポゼッション」、「中央攻撃」、「左サイド攻撃」、「ロングカウンター」が昨季に比べて伸びている。

 ロングカウンターを除いた3つのプレースタイルにおける昨季からの改善は、図1や図2で見てきた攻撃のプロセスやパス・プレーの改善にも通じる変化なのかなと。

 シュート到達率で見てみると、「自陣ポゼッション」、「敵陣ポゼッション」、「ショートカウンター」の項で昨季より改善が見られます。プレースタイルで伸びが見えた、左サイド攻撃、中央攻撃からのシュート到達は昨季と比べるとあまり変化はなし。

 自陣/敵陣ポゼッションからのシュート到達率が改善している事については、図2で見たパス精度の向上とも関連付けられるファクトかと思いますので、やはりロドリゲス監督が目指すスタイルは着実に実を結んでいるのではないかなと考えられます。

 

 

f:id:knovocelic:20170804101335p:plain

【図5】予想スターティング・フォーメーション

 

 清武、熊谷をスタメンから外す「ターンオーバー」が機能しなかった愛媛戦。

 彼らをある程度休ませる事ができたと、ポジティブに捉えたいところですが、愛媛戦は彼らが「いないと困る」という部分が浮き彫りになったとも言え、この先累積警告による出場停止や、負傷離脱で主軸の選手が試合から遠ざかることの不安が一層募る結果となったように思えました。

 今節、徳島戦のあとは中4日でホーム山口戦、さらに中4日でホームに湘南を迎えるミッドウィークのゲームと連戦が続きます。

 清武、ラリベイ、也真人、乾ら直近好調で試合に出続けている選手が軒並み累積警告3枚で、出場停止にリーチが掛かっているという事実が、8月の連戦に足かせとなって尾を引かなければ良いですが...

 

 対する徳島は、長身FW山崎が出場停止。前回対戦で右WBだった広瀬も負傷離脱から復帰しておらず、左サイドを担っていた馬渡が右SBに回っています。

 徳島は夏の移籍ウィンドーでセレッソ大阪から清原を補強。早速、湘南戦で途中出場を果たしており、今節山崎が抜けた穴を埋めるのかどうかも注目。

 千葉が先制点を取れれば、破壊力ある攻撃陣に一層追い風が吹きそうではあるものの徳島も守備の堅さには一日の長がありそう。

 逆に早々に失点をしないように、高い集中力とプレー・インテンシティで試合に入ることが求められそうです。

 前節、徳島が敗れた湘南のチョウ・キジェ監督が、ハイプレスで徳島のボール保持を阻害して、流れを引き寄せることに成功したと語っていたように、千葉も今季のスタイルであるハイプレスを序盤から掛けることで、徳島に長いボールを蹴らせるように仕向けられるかどうか。

 ハイラインで陣形を圧縮し、プレースペースを狭くすることとセットで連続的にプレスを敢行できれば、徳島の持ち味であるパス・プレーの精度を一層削ぐことが出来るでしょう。

  課題のアウェイ、それも上位チーム相手に勇気と自信を持って自分たちのスタイルを貫けるかどうか。

 ホーム・フクアリでは出来て、アウェイでは出来ない事の本質はそこではないのか。

 今季のサッカーに手応えはあるものの、確固たる自信を持つまでにはまだ至っていないのではないか。アウェイで勝てなければ、自信に変わることもまた叶わないというのは、分からなくもない。

 しかし、どこかで思い切ってしまう、信じ抜いてみる、その勇気を持って試合に臨んでいくことも必要ではないか。

 今節、それができれば難敵である徳島ヴォルティスを退けることが叶うかもしれません。

 共に連敗は避けたい一戦。固い試合展開も予想されますが、撃ち合いもありそうな組み合わせ。いずれにせよ、夏場のタフなゲームになることは避けられないでしょう。

 ジェフの勝利と熱い好ゲームを期待します。

 

 では、また!

 WIN BY ALL!!

当サイトは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって、サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。 このプログラムにおいて、第三者がコンテンツおよび宣伝を提供し、ユーザーから情報を収集し、訪問者のブラウザにクッキーを設定することがあります。プログラムにおいて情報の扱いについてはAmazon.co.jpプライバシー規約をご確認ください。
◆Amazon.co.jpプライバシー規約