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【ジェフ千葉】アビスパ福岡戦レビュー ~ハイプレス&ハイラインの効き目が知りたくて、ちょっとデータを可視化しました~

 2017明治安田生命J2リーグ 第18節
ジェフユナイテッド千葉 0 - 0 アビスパ福岡


【公式】ハイライト:ジェフユナイテッド千葉vsアビスパ福岡 明治安田生命J2リーグ 第18節 2017/6/10

 

 今季初のスコアレスドロー

 これでフクアリの無敗は連続9試合に(ちなみに昨季は連続10試合) 。

 アディショナルタイムのCKからアンドリューが押し込んだボールがラインを割ったかどうかの微妙なプレーに泣く事となったのかもしれませんが、90分を通じて見るとドローが妥当な結果のようにも思えました。

  今季初スタメンとなったGK山本海人がそれまでレギュラーとして出続けていた佐藤優也とは異なるパフォーマンスで無失点に貢献。

 また、岡野、乾の若手DFの成長の跡も伺え、主将の近藤は冷静にウェリントン対策を90分間に渡って継続。

 アンカー勇人の献身は試合を負う毎に磨きがかかっており、CFで攻撃の主軸である指宿は首位のDF陣相手にも質的優位性を発揮し続けていました。

 勝ち点1に留まる結果ながら、ポジティブな面も大いに見いだせるゲームだったかと思います。

 

 首位の福岡からしたら、下位叩きに失敗。千葉から見たら、首位相手に零封。

 同じ勝ち点1を分け合った両者ですが、どちらにとって次に繋がる勝ち点1だったか。

 千葉にとってはこの結果をポジティブに捉えて、鬼門のアウェイ連戦に乗り込み、上位浮上のための勝ち点を積み上げられればと思います。

 

 勝ったり負けたりを繰り返しながら、内容自体は自分たちのスタイル(エスナイデル監督談)を常に貫いてきたおらがジェフユナイテッド

 今回は、その我らのスタイル「ハイプレス&ハイライン」が、相手にとってどのような影響を及ぼしているのかを、いくつかデータを可視化しつつ分析、考察していきたいと思います。

(「ハイプレス&ハイライン」なのか、「ハイライン&ハイプレス」なのかで悩みましたが、前者の順での表記に統一します。。)

 データはご覧の提供でお送りします。

www.football-lab.jp

 

 ボールを支配し、ゲームを支配して勝つ。

 そのために自分たちがボールを持っている時は勿論、相手がボールを持っている時でも、常に攻撃的に振る舞うスタイルの象徴として、「ハイプレス&ハイライン」がある。

 最早、ジェフサポには説明不要ですが改めてこのハイプレス&ハイラインについておさらいしてみます。

 ハイプレスは文字通り、相手ボール保持時にアグレッシブにプレッシングを掛けてボールを奪いにいくアクションを指します。

 ハイラインはというと、ハイプレスの効果を高めるために最終ラインを押し上げて、前線との距離を詰めるアクションです。

 何故、前線との距離を詰めるかというとプレッシングを連続的に掛け続ける事が容易になるからです。

 前線からのプレッシングはまず相手最終ラインのビルドアップを制限するために行う訳ですが、そこを剥がされて2列目、3列目がプレッシングに行く局面になった時、陣形が前後に大きく延びていては相手ボールホルダーとの距離も開くために、プレッシングが掛からず、ボールを奪う事が難しくなります。

 前後の距離が近いという事は、第一のプレスを剥がされても、第二、第三のプレスを即座に掛けられるのでボールを奪いやすくなるという訳です。

 このハイラインによって高効率化しているはずのハイプレスが、相手のパスワークをどの程度阻害できているのかについて、対戦相手の今シーズン直近までのシーズン平均パス・スタッツと対千葉戦の差を取って可視化したのが下記図1です。

 

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 【図1】シーズン平均と対千葉戦でのパス・スタッツの変化

 

 見方は棒グラフが今シーズン平均パス数と千葉戦でのパス数との差分。折れ線がパス成功率で、同じくシーズン平均と千葉戦との差分になります。

 ここまで千葉は18チームと戦ってきましたが、その全ての相手に対してパス数とその成功率を減じる事ができていました。

 パス本数は、そとそも千葉のポゼッション率が高いということもあって、ボール保持の時間が限られることから自ずと減じられるものと思います。

 ハイプレスの効果を反映していると思われるのはパス成功率の差分の方です。

 プレスがうまく作用しているのであれば、相手のパス成功率は下がるはずです。

 図1では、最大で24.6%(群馬戦・熊本戦)ものパス成功率を削った事が分かります。

 愛媛戦や町田戦のように大きく減じる事ができなかった試合もありますが、傾向としてハイプレスは概ね相手のパス精度を削ぐことに一定の効果をもたらしてきたと言えるでしょう。  

 

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  【図2】被攻撃回数とオフサイド獲得率の推移

 

 千葉と相対する時、対戦相手はプレッシングも速く球際も厳しい上に、圧縮された中盤のスペースでボールを動かそうにも、自由にボールを持てるスペースも時間も無い窮屈な中でのパスワークを余儀なくされるわけですから、高度なパスワークを実践できるチームでない限り、千葉のプレスの網を回避してしまおうと考えます。

 おまけにJ2では総じてボールプレーの水準が高いとはいえないチームが多いので、大半の相手は千葉のプレスに対して、前に大きく蹴り出して回避しようとします。

 その長いボールをどこに蹴るかというと、千葉の最終ラインの背後に広がる広大なスペースになります。

 しかし、プレス回避のためにこの広大なスペースへ蹴り出そうにも、味方との呼吸が合わないと多くのボールはオフサイドに掛かって、千葉側にボールが渡ることになります。

 この、オフサイドこそハイラインがもたらす副次的な要素のひとつでして、裏に蹴られたボールはというとオフサイドに掛けるか、ゴールキーパーがスイーパーのように前方に飛び出して処理する設計になっています。

 このハイラインが大きなリスクと隣合わせな構造になっているために、相手チームにとっては狙いやすいポイントにもなっているわけです。

 今季の千葉戦はオフサイド数が異常値のように増加すると言われましたが、実際はどの程度なのか。

 図2は千葉の被攻撃、つまり対戦相手の攻撃(ボール前進)に対して、オフサイド数がどの程度の割合発生したのかを、千葉側から見た「オフサイド獲得率」として可視化。直近17節までのものを節毎に時系列でグラフ化しました。

 獲得率で見ますと前節の福岡戦が 最大で9.8%もの割合でオフサイドを獲得できていました。10回の攻撃のうち、1回はオフサイドで打ち切らせる事ができているということ。

 また、図1のパス成功率減に関しても、この最終ライン裏へのボールが軒並みオフサイドか飛び出すゴールキーパーに処理されることで、失敗数としてカウントされることになりますから、ハイプレスと相まってパス成功数は自ずと下がるわけですね。

 ただ、このオフサイド数もトレンドとして見ると直近の試合ではあまり多くは獲得できておらず、シンプルに裏一発を狙ってくるチームはそこまで現れなくなってきてもいる印象です(愛媛戦はわずかオフサイドは1つ)。

 引き続きハイラインの背後を狙ってくるチームは裏めがけて蹴ってくるでしょうし、そうした試合ではオフサイドは積み上がりますし、そうでないチームはうまく千葉のハイプレスをいなし、ハイライン裏でのオフサイドを掻い潜る攻撃を仕掛けてくるものと思います。

 このあたりは、ハマる(あるいは嵌める事ができている)試合とそうでない試合が今後もあったりなかったりするのかなと思います(勝ったり、負けたりとほぼ同義)。

 

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 【図3】シーズン平均と対千葉戦での攻撃回数・30mライン進入回数の変化

 

  最後にハイプレス&ハイラインな千葉と相対するチームの攻撃頻度はどう変化しているのかを見てみました。

 相手にとっては、千葉の素早いハイプレスで組み立ての時間を奪われ、ハイラインでパスを通すスペースを圧縮されているわけなので、攻撃時の展開としては恐らく二通りになるのではないかと。

 即ち、ハイプレスを回避すべく縦に長いボールを入れる攻撃か、ハイプレスを粘り強くいなして、あくまで中盤で圧縮された千葉の防御陣形を掻い潜る遅攻かの二択です。

 もちろん、千葉がボールを保持する機会も時間も長いため、反対に千葉に対してハイプレスを仕掛け、うまくビルドアップを引っ掛けてからショートカウンターを繰り出す攻撃もあると思います(群馬や岡山、熊本はこのやり方でまんまと得点を奪いました)。

 それらを引っくるめて、対千葉戦はシーズン平均と比べて攻撃回数が増えているのか、減っているのかを見たのが上記図3です。

 

 青の上下棒グラフが、各チーム攻撃回数のシーズン平均と対千葉戦との差分。

 上側にあれば、千葉戦の方が普段より攻撃(ボール前進)の頻度が多かった事を示し、下側に伸びていればその分普段よりも攻撃が減じられた事を示します。

 黄色い棒グラフは軒並み下側に伸びていますが、「30mライン進入回数」の平均と千葉戦との差分を表していて、より千葉のゴールに近いゾーンまで普段に比べて行けたのかどうかを示します。

 これを見ると、攻撃回数では名古屋戦や湘南戦、横浜FC戦、ヴェルディ戦など現在上位にいるチームとの試合では、他チームとの試合よりもより多くの攻撃に晒された事がわかります。

 ここはそれぞれのチームの狙いとして、千葉のプレスを掻い潜り素早くボールを前進させる早い展開に持ち込んだのか、結果そうなったのかを知りたいところです。

 推察の域を出ませんが、容易に想像できるものとしてはボール保持で勝る千葉を自陣に引き込んで、奪ってから反転速攻を繰り出すパターンが今の千葉にとって最もダメージが大きいと思われるため、事実大敗を喫した横浜FCヴェルディなどはその辺りのスカウティングした上で千葉に対抗してきたものと思います。

  一方、30mライン進入回数の差分で見ると、その差がわずかな試合もありますが、全ての試合でシーズン平均と比べてマイナス方向に振り切れています

 

 千葉のハイプレス&ハイラインが機能してボールポゼッションが高まることで、概ね試合が対戦相手側の自陣で展開される時間が長くなります。千葉以外の試合でのものと比べると相手ゴール前までの距離が相対的に長くなることで、なかなか千葉ゴール前のゾーンまでボールを運ぶことが難しくなり、その結果進入頻度も減じられるというロジックなのかなと。

 

 ひとまずここまでの可視化で、ハイプレス&ハイラインで自分たちのボール保持を促し、相手のパスワークを破壊することに一定の効果がもたらされているだろうことがわ示唆できたのかなと。

 前回のエントリ同様、ここまでは「ハイプレス&ハイライン」によって、エスナイデル監督が掲げる「常に自分たちが試合を支配する」という展開に持ち込めていそうな気がします。

 しかし、毎試合後に言われることとして、それがゴールや勝利という最良の結果に必ずしも繋がっていない事が、現在の14位という順位、戦績として表れてしまっています。

 ハマるか、反対に自ら嵌ってしまうか、"オール・オア・ナッシング"な試合の連続になっているために、今季ここまで連勝がなく、時折大敗を喫したりもしているわけですが、この先どこかで連勝できる時が訪れた時に、どんな変化がチームに訪れるのか。

 その時、「ハイプレス&ハイライン」は一層研ぎ澄まされたものに化けることができるのか。。

 

 福岡戦はスコアレスドローながら、互いに真っ向ぶつかり合う白熱した展開でとても楽しませてもらいました。

 

 強風が運ぶ砂埃にまみれての試合、そしてサポーターにとってもタフな観戦になりましたが、ヤックスマッチデーのおかげか、夕刻からのレディースとのダブルヘッダーのおかげなのか、久々に1万人超えの動員を記録。

 

 6月の試合は、残りのリーグ戦がアウェイ2試合なので、フクアリ開催の試合は21日の天皇杯のみ。

 ここまで出場機会の無い選手が出場するのか、そのままリーグ戦を戦う主力組で臨むのかは分かりませんが、ミッドウィーク開催故に動員が寂しくなってしまうかもしれないゲームに時間を作ってでも赴いていこうと思います。

 

 率直にハイプレス&ハイラインは観ていて面白いです。

 同じようなスタイルを見せるチームはJリーグにはいません(狂気のサッカーだから...)

 毎回勝てるわけではないのは、ハイプレス&ハイラインでなくても同じこと。

 であるなら、少しでも観ていて楽しいアクション・サッカーを観たい。

 そのためにも出来得る限り、残りのホーム開催試合に足を運ぼうかと思います。

 

 では、また!

 WIN BY ALL!!

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