【ジェフ千葉】ロアッソ熊本戦レビュー 〜フクアリ観客動員数の進捗と、ジェフのサポーターであるということを振り返ってみる〜
2017明治安田生命J2リーグ 第15節
ジェフユナイテッド千葉 1 - 1 ロアッソ熊本
得点者:グスタボ 50' / 指宿洋史 83'
【熊本ドキュメント第1弾】5.15 千葉vs熊本 ~リーグ戦の舞台に帰還…忘れえぬ“Jリーグの日”~
昨年のホーム第13節、ロアッソ熊本戦でのフクアリは多くの人の記憶に残る素晴らしい光景を作り出せていたなと、改めて思います。
ロアッソは、同年4月14日の震災でチームが被災。家を失い、生活の基盤さえままならない選手もいる中、活動休止から約1ヶ月でリーグに復帰したロアッソ熊本。
その復帰戦がこの日のアウェイ千葉戦でした。震災直後からボランティア活動に奔走する様子が伝えられていた熊本の象徴とも言える巻の帰還ということもあって注目を集めたこの試合、入場者数は14,000人を超えて、16シーズンの最多動員試合になりました。
「がまだせ熊本」というスローガンとともに、チームは違えど同じJリーグを戦う者同士、サッカーファミリーの一員として共に立ち上がろうという思いを共有したジェフとロアッソ。
そんな繋がりもあり、昨季と同時期の一戦ということで、今節もフクアリは両サポーターのエール交換もあったりなど良い雰囲気だったという事は伝え聞こえてきました(私は残念ながら現地に行けず…)
ドローに終わった本日の試合内容については本エントリでは触れません。
(TLで散々喚きましたw)
【それでもラリベイ使えねーとか言えるの?】指宿の同点ゴール、パスが出る前にラリベイがデコイになって外にCB一枚剥がしてるんだよね。こういう指宿を活かす気を利かせたプレーができるFWはチームにとって大切な存在。
— Nobuhiro Kankura (@kan_nov) 2017年5月21日
今のジェフ、攻撃の役割を一列ずつ前の選手が担いたいし、エスナイデル監督は担わせたいんだと思う。ラリベイが外抜けのデコイになるのではなく、本来はインサイドハーフが縦にスプリントして引き出して相手CBを剥がしたい。これやってるのが今んとこ也真人で、壱晟は時々。
— Nobuhiro Kankura (@kan_nov) 2017年5月21日
仮に勝っていても、今回はフクアリの動員数について綴ろうと思ってました。
そう、昨年のあの日、ロアッソの復帰を迎える上でこれ以上ないであろう雰囲気を生んだ我々ジェフサポーターについてのお話です。
データはご覧の提供でお送りします。
私が今季のジェフについて気がかりな事は、勿論なかなか勝てないチームのこともそうですが、それよりもちょっと不安に思うことは、フクアリの観客動員数が低迷気味なこと。
今季「ハイライン&ハイプレス」というちょっと他に類を見ない戦術、戦い方を執っているジェフ。実際にフクアリで観戦した方はおわかりでしょうが、非常にエンタメ性溢れるサッカーを披露している(勝てる、強いとは言ってない)。
にもかかわらず、ホーム開幕戦での動員数がイマイチだったのを皮切りに、名古屋戦はさすがの動員数ながら、その後天候にもあまり恵まれていないこともあってか、入場者数は軒並み1万人未満の試合が続いています。
言うより見せるがはやいということで、下記表ふたつを見比べてください。
【表1】2016シーズン ホーム開催試合の戦績、及び観客動員数一覧
【表2】2017シーズン ホーム開催試合の戦績、及び観客動員数一覧
ファクトとして、上記16シーズンと今季17シーズン直近までの節毎の入場者数、および延べの入場者数の一覧表を載っけました。
天候や気温、曜日、対戦相手とその試合結果、さらに前節勝っている流れの中の試合なのか、アウェイで負けてホームに帰ってきての試合なのかについても把握できるように「前節戦績」も追記。
ホームでは昨季同様、7試戦って未だ無敗ながら、アウェイでは敗戦が多くなっていますので、自ずと前節負け、あるいは引き分けての試合が多い。
注目は黄色く色塗りになっている箇所、昨季と今季の熊本戦の行。
奇しくも13節15節という違いはあれど、熊本戦は昨季も今季も同じホーム開催試合の7試合目ということに。
昨季の熊本戦が14,000人位上を動員したゲームでしたから、延べ入場者数では昨季同時期と比べて、6,769人少ないという状況。このまま毎試合昨季より微減のまま推移すると、延べ入場者数で1試合あたりの入場者数分くらいショートしてしまいそうな感じです。
【図1】ホーム開催試合 観客動員数のシーズン比較(試合毎人数・延べ人数)
図1で改めて昨季と今季とのホーム開催試合の入場者数、延べ入場者数差分とを重ねてみてみます。赤の折れ線が延べ入場者数の差分でして、現時点で前述の6,769人ショートという状況。
15、16シーズンは、チームの成績が下降する中でも入場者数は平均1万人を保てていました。
この「平均入場者数1万人以上」という閾値は、フクアリにおいてひとつのバロメーターだと思っていて、MAX約18,000人のキャパに対して、5割以上の収容率を守れるラインと考えています。
これが、9,000人台、8,000人台となってしまうと、収容率は5割を下回ってしまうことに。つまり、お客さんよりも空席が多いという状況になってしまうわけです。
今季も成績は今のところ中位。
今のところ、ホーム開催試合の3分の1を消化して尚無敗を守ってはいますが、それでも勝負事ですから、この先も勝ったり負けたりはありますし、それは浦和や鹿島でも同じこと。
90分間のスペクタクルだけを求め、究極「勝てばなんでもOK」というお客さん、サポーターがいるかもしれない。ただ、ジェフのサポーターをやる身となれば、それはかなりストレスが溜まる事になると思いますので、少数派だとは思っていますが(^^;
新たにV・ファーレン長崎の社長に就任した、ジャパネットたかたの前社長、高田明氏は、ホーム開催試合の日は「5時間楽しめるように」様々手を打っていきたいと就任時に述べられていました。
高田社長の言葉を読み解くに、試合の90分プラス、ハーフタイムとその前後を合わせた120分の他に、主には試合前の180分間も来場者を楽しませなければならない、という風に読み替えられるのかなと。
ジェフのホームゲームでも「◯◯マッチデーの日は...」のようなお約束の試合は出来つつあり、様々なイベントや特典と求めてその日の試合だけは行く!という人もいるかもしれません(ヤックス・マッチデーとかね。。)
ジェフはJ2生活8年目。ついにはJ2でも中位が定位置になりかけていて、クラブも下がってきたプロフェッショナリティ≒意識というものを再び上げたいと言っていたように、2部リーグでの競争においても、優位性を見出しにくくなってきているのが現実かもしれません。
昇格と降格がある以上、Jリーグ、プロサッカーという興行として見れば勝負事がまず大前提にあるのは当然の話ではありますが、そのことと連動してかフクアリの入場者数に陰りが見えてきている、つまりサポーターの心が離れかけているということに、私はとても危機感を覚えます。
つまり、いまだジェフのサポーターが抱くクラブへの愛着(言葉を選ばずに言えば忠誠心≒ロイヤリティ)の拠り所は勝ち負け、即ち「昇格」という十字架に縛られているのか?という事。
(このあたりは、Jリーグが行っている観戦者調査の報告書が参考になります)
どんなに面白いサッカーをやっていても勝てない、昇格ができないのなら、もうフクアリには行かないし、ジェフの試合は観ない...そうやってジェフから離れていってしまっているのではないか...?
昇格が大切なミッションであることは、多くのサポーターが共有している事であるのは間違いないと思うのですが、「それだけ」を求めてジェフを追いかけていませんか?と改めて問いたいのです。
勝利や昇格をジェフから与えられる事を待っているだけじゃないんですか?、と。
過去7シーズンの間も入場者数の増減はありましたが、14年シーズンまでは何とか昇格戦線に踏みとどまって、POも戦ったりと最後までその可能性を示す事ができていた。
しかし、一昨年は9位、昨年は11位となってしまって、「もうジェフは昇格できるクラブではなくなっている」という雰囲気が支配的になって、次第にサポーターが離れてきている...
であるならば再び強いチームになって、昇格を睨む戦いができるようになれば、お客さん、サポーターは戻ってくるのか?仮に再びジェフが昇格を争うようになったとしても、私にはそうは思えないのです。
負けるよりは勝つことの方が良いですし、弱いよりは強いチームの方が応援していて誇らしい。それは分かってはいますが、それだけをジェフに求めているのでは勿体無いよ、と言いたい。
今季からエスナイデル監督を招聘したことや、アカデミー改革に代表される様々な投資、育成型への転換や早期の新卒選手スカウトの模様など、過去無かった動き、チャレンジをクラブはアクションしてきています。
サポーターも様々な有志がSNS等の繋がりからフクアリとその周辺での交流の場を作って繋がりを広めていたりしています。
勝ってゴール裏で快哉を上げる目先の喜びや楽しみだけではない、まだ見ぬ未来や、同じジェフが好きだという事で繋がれる場に楽しみを見出して、クラブをサポートする在り方もあるよ、という事を提言しておきたいな、と。
かく言う自分も毎試合フクアリに参戦できているわけではありません。昨季中盤の低迷を見て、心が折れかけもしました。勝ち負けに重きを置いて、ジェフをフォローし、フクアリに赴いていたからです。
しかし、昨季終盤や今オフなど、またこのブログでジェフのデータを集め、可視化して深くジェフについて理解、納得できるようになって、試合について冷静に見つめる事ができるようになりましたし、フクアリに行った際も試合そのもの以外にも楽しみを見出して、その日を過ごすことができるようになりました。
クラブチームをサポートするやり方や形は人それぞれですので、「やっぱり勝たないとね」というスタイルも決して否定はしません。
ただ、「最近、ちょっとフクアリ人少ないよね?」と思っているサポーターもいること、そしてもう一度スタンドを黄色く染めるにはどうしたらいいか?という事を、試合の勝ち負け以外の面から考えて行動しているサポーターもいるという事を、知っておいてほしいなと思います。
私はデータの面からジェフ千葉を、そしてJ2、Jリーグ、サッカーの理解をアシストできればと思い、引き続き綴っていきたいと思います。
それでは、また、フクアリで会いましょう!