【ちばぎんカップ 場外プレビュー】データでちょっと変わった「千葉ダービー」をやってみました
2017 Jリーグ プレシーズンマッチ
第22回 ちばぎんカップ
- 対戦カード : 柏レイソル vs ジェフユナイテッド市原・千葉
- 会 場 : 日立柏サッカー場
- 日 時 : 2017年2月11日(土) 13:00 K.O
もしかしたら、私がシーズンでいちばん好きなゲームは「ちばぎんカップ」かもしれない。。
そう、みんな大好きちばぎんカップが今週の11日土曜日、柏さんのホームスタジアム日立台にて行われます(千葉銀行さん、毎シーズンありがとうございます!!)。
プレシーズンマッチは、開幕に向けてのチーム状態、今季のスタイルや新加入選手の特徴などをチェックできる貴重な場。
昨季からニューイヤーカップ(以下NYC)にも参加しているとはいえ、キャンプ中に行われるプレシーズンマッチとは、時期が後ろになる分コンディションの仕上がりも違いますし、何より相手は同じ千葉県に拠を置く柏レイソル(しかもJ1)ですから、否応なく燃えてしまいます。
昨季は3-0の圧勝でホーム・千葉が優勝(昨季はこの時点で既に2冠)。
football-data-visualization.hatenablog.com
プレシーズン好調だと、シーズン始まってからが、が、、などのジンクスもありますが、どうせならやはりジェフに勝って欲しい一戦。
プレビューをやるってことで、千葉・柏双方の予想布陣、試合展開などを綴ってみたかったのですが、「データ」を軸に語ると謳っているブログ故、どうしても新体制のデータが無い以上、書き用がない。。
ということで、今回は趣向を変え、「社会科のお勉強的」視点からデータを可視化・ご紹介できればと思います。
テーマは、「場外千葉ダービー」です。
データはご覧の提供でお送りします。
「場外千葉ダービー」とはなんぞや?ですが、「千葉ダービー」はご存知の通り、ジェフ千葉と柏レイソルとの試合を指す訳ですが、"場外"とは、文字通り「ピッチ外」においての戦いを指します。(実際は戦うわけではなくデータの比較。。)
サッカークラブとしてのジェフ千葉、柏レイソルのことは、私が書き綴るまでもなく、様々なサポさんらが記憶と記録を紡いでいらっしゃるかとは思うのですが、翻ってホームタウンである千葉市、市原市、柏市って、どんな街?、と問いを変えると、なかなか知らないこともあったり。。
というわけで、引用したデータのひとつめは、千葉市・市原市と柏市の政府統計「国勢調査」の人口の値。
それを、千葉、市原、柏の3市でそれぞれ性年代分布をば、比較してみました。様々、比較軸はあろうかとは思いますが、最もベーシックにどういう性別年齢構成になっているのか、、を見てみました。
まずは、千葉市&市原市と柏市の位置関係をデータ参照元の統計GISサイトから。
※GISとは:地理情報システム(Geographic Information System の略称)
【図1】 千葉・柏・市原 3市 男女年代別人口総数 分布(平成22年調査)
上記人口ヒストグラムの見方ですが、縦軸に年代(5歳刻み)、横軸は人数のスケール。左の青字が男性、右の赤字が女性で、白抜きの枠線が千葉市、濃い青、赤の塗りつぶしが柏市、クリーム色掛かった青と赤が市原市になります。
最頻値のレンジは、千葉市・柏市ともに「35~39歳」。市原市は男女とも「60~64歳」のレンジになっています。
ただ、データが国勢調査を元にしているため、平成22年/2010年のもの。最新版は平成27年/2015年版ですが、前述のGISサイトには未反映でしたので、少し古いですが、致し方なし。
3市の総人口は以下の通り。
※増減率は2005年→2010年の変動比)
総数では3市間でだいぶ開きがあるので、同じ見方で値を構成比に変換したものが下記図2。
【図2】 千葉・柏・市原 3市 男女年代別人口構成比 分布(平成22年調査)
見方は図1と同じで、値が各市総人口に対する性年代レンジの構成比になっています。この図2で見ると、各市の特徴が透けて見えてきます。
まず、市原市における、男性「50歳~55歳」から「60~64歳」の3レンジの膨らみが他2市に比べて顕著。女性の同レンジはそこまで膨らみがないのでひとつ市原市の人口構成の特徴と言えます。
柏市では、男女「30~34歳」、女性の「25~29歳」のレンジが2市に比べて抜け出ている。同じく、「0~4歳」のレンジも少し出ています。すなわち、未就学児がいる子育て世代(世帯)が、他2市に比べて人口構成が高いと考えられます。
柏の葉周辺のニュータウン開発が近年進みそこへ入植した世帯、とりわけこの特徴的年代構成に相当する子育て世代の家族が移り住んだことで増えたのでは、と考察できそうです。
こうして見てみると、ジェフ千葉の立場から考えれば、元々は市原市がホームタウンのクラブですが、のちに千葉市も加えた判断は、マーケットの規模の論理で言えば、正しい判断だったのかな、と思えたり。。(臨海へのアクセス含め)
そんな人口構成の比較に続き、ふたつめの比較。両チーム「スタジアム来場者」の属性プロフィールについて。
前述のホームタウンの人口構成に対して、それぞれ両チームのホームスタジアムに訪れる観戦者・サポーターはどのような属性になっているのか、、を考察したく。
こちらは、Jリーグが毎年実施、発表を行っている「観戦者調査」から、ジェフ千葉、柏レイソルの該当データを抜粋しました。
まずは、男女構成比から。
【図3】 リーグ平均・千葉・柏 男女比の推移
棒グラフがJリーグの男女比。緑の折れ線がジェフ千葉の男性構成比、黄色い折れ線が柏レイソルのそれ、です。値ラベルは、斜体・太字がジェフ千葉になります。
元となっているアンケートの仕様については、前述のリンク先調査概要をご覧いただければと思いますが、それぞれ若干のゆらぎ、ブレはあるものの、概ね6割が男性、4割弱が女性という男女比。
ジェフ、レイソル、それぞれ直近6シーズンはどうなのか。
柏はリーグ平均と比較しても、元々男性構成比が高め。一方のジェフは2010年シーズンは6割を割り込むも、直近2015シーズン調査では64.3%とリーグ平均を上回る結果に。
同じく、年代構成比。
こちらは、リーグ平均、千葉、柏、それぞれ別々に上げます。
【図4-1】 リーグ平均・来場者年代構成比の推移
【図4-2】 ジェフ千葉・来場者年代構成比の推移
【図4-3】 柏レイソル・来場者年代構成比の推移
面グラフと折れ線の組み合わせですが、面グラフが各年代の構成比を、折れ線が各年の来場者平均年齢を表します。
Jリーグは、毎年来場者の平均年齢が上がっていると言われますが、改めて可視化してみると、本当に上がっているなぁ、と。
既存客≒年齢が高い層(Jリーグ黎明期からサッカー観戦している層)、新規客≒若い客層、とは一概には言えないのですが、近年はJ3がスタートしたり、J参入を目指すチームがいくつもできたりしているのですが、それでも観客層の平均年齢は上がり続けている。。
基、ジェフ千葉、柏レイソルの比較ですが、いずれもリーグ平均と比較して客層の年代構成はやや高め。。柏については、特に「40~49歳」の層が顕著に高く見えます。
さらに、いつからサッカー観戦をしているか、「観戦歴」というデータも併せて見てみると、千葉、柏の客層についてその特徴が立体的になるかと。
【図5-1】 ジェフ千葉・来場者観戦歴構成比の推移
【図5-2】 ジェフ千葉・来場者観戦歴構成比の推移
【図5-3】 柏レイソル・来場者観戦歴構成比の推移
こちらもそれぞれ別々に図を載っけました。2013年までのデータにしたのは、前述の観戦者調査のレポートが2014年からこの観戦歴についてのスケールが変わってしまっていまして、推移で見ることができなかったので、あえて13年までとしました。
面グラフのグラデーション、下の濃い方から観戦歴が長い客層の構成比を示していまして、最古参は「92年以前」、つまり日本リーグ時代からのオールドファン、ということになります。
リーグ平均から見てみると、意外にも「07~09年」から観戦し始めた、比較的新しい客層が構成比的には伸びてきていることが特徴かと。
それに対して、おらがジェフ千葉は、というと。。
さすがはオリジナル10と言うべきか、「93~95年」のJ開幕から観戦し始めた層が最大の客層という結果に。次いで「03~06年」のまんまオシム時代から観戦し始めた層。かつては臨海、05年10月からは現フクアリでしたが、 ホームゲームで滅法強かったオシム・ジェフ。当時の「強かったジェフ」を知る層も根強く残っている。
対して、柏レイソルですがこの2010年~2013年シーズンは、柏さんにとっては激動でして。。
まず、2010年シーズンはジェフと一緒にJ2降格。しかし、1年での昇格を果たすと、翌2011年シーズンは昇格後即J1初優勝。
グラフにもその昇格即優勝のインパクトは見て取れて、2012年の観戦歴構成で「07~09年」と「2010年」以降の比較的新しい客層がグンと伸びている。
これは、調査が2012年に行われた結果ではあるのですが、回答者の意識としては、前年のものが反映されやすいために、こうしたズレが生じるものと推察されます。
先の年代構成と併せて見ると、客層の変化は顕著でして、新しい客層≒若い客層とリニアに連動していることが分かります。来場者平均年齢は、2012には35.8歳ですから、リーグ優勝がもたらす吸引力、とりわけ若い客層を引き寄せるパワーは凄いな、と。
もちろん、チャンピオンとして迎えたシーズンですから、チームとしてもその称号を営業面でも駆使したでしょうし、地域の子どもたちへの訴求においても絶大な効果を発揮したことでしょう(12シーズンの「11~18歳」レンジの構成比は13.1%とほぼ倍増)。
というわけで、最後にホームタウンのチカラ、来場者の「居住地」、ホームタウン圏内・圏外の構成比の比較で締めたいと思います。地域に根ざしているかどうかの指標、として見ていただければ、と。
【図6】 リーグ平均・千葉・柏 ホームタウン活動区域内居住者割合の推移
図3と同じ見方になりますが、棒グラフがリーグ平均、折れ線の緑がジェフ千葉、黄色が柏レイソルです。「ホームタウン活動区域内」は、ジェフ千葉は千葉市、市原市の居住者構成比、レイソルは柏市居住者の構成比になります。
これは、スタジアムの立地、アクセスにも多分に影響を受けるので、なかなか単純にホームタウンへ根ざしている度合いをフェアには測れないではあるのですが、、
おおよそリーグ平均では85、86%がホームタウンに住まう居住者。ジェフ千葉は冒頭の地図にあるように2市をホームタウンとしているので、なかなか広大なエリアにまたがっていますが、構成比的にはややリーグ平均を下回る程度の82、83%前後で推移。
一方のレイソルは8割にやや届かない割合。
ホームタウン柏市は流山市、松戸市、我孫子市と隣合い、利根川を挟んで茨城県と接していて、日立台は柏市のほぼ中央に位置。最寄り駅の柏駅は南北に東武野田線、東西に常磐線が走っており、それぞれ隣接する市からも来場があるでしょうから、ホームタウン区域外の割合が増えるのは、ある意味妥当かと。
先日、柏レイソルのサポーターミーティングの議事録が公開され、私も読み込まさせていただきましたが、松戸市民のサポーターからの意見もあったり、柏市のみならず周辺の市からも多くのサポーターがおられるのかなとは思います。
11日はおらがジェフ千葉サポーターの多くは、千葉市、市原市、あるいは沿線の京葉線、総武線など、多くは千葉県ベイエリア周辺に住まわれている方が、柏へと向かわれることと思います(そういえばアウェイ観戦者の詳細データ欲しいな...)。
野田線、または武蔵野線でもって柏駅へ降り立ち、そこから徒歩で日立台へ。。というルートでしょうか。
ともあれ同じ千葉県ですから、「柏には負けられない」アウェイと言えど、やはりどこか親近感、安心感が湧いてしまいますよね。
とはいえ、普段の生活圏とはちょっと外れた柏市ですので、当日の移動にあたっては色々と柏さんのホームタウンの姿、レイソルのフラッグやペナントはそのくらいあるかな?柏サポさんはどの駅から乗ってくるかな?など、色々と観察しながら日立台を目指そうと思います。
もちろん、柏のお店でご飯も食べて、お金を落としてくることも忘れずに。。
(その代わり、お土産として、試合に勝ってちばぎんカップをその手に!)
では、また!