【ジェフ千葉】 長谷部ジェフ、データで徹底解剖 vol.2 ~昇格PO逆転進出の狼煙~
明治安田生命 J2リーグ 第31節
FC岐阜 0 - 2 ジェフユナイテッド市原・千葉
◆ハイライト(スカパー!)
【ハイライト】FC岐阜×ジェフユナイテッド千葉「2016 J2リーグ 第31節」
天皇杯2試合を挟んで再開したリーグ戦。2試合連続の2-0、複数得点&無失点でな、な、なんと5月以来の連勝(奇しくも5月の連勝もホーム岐阜戦で達成)。
これで公式戦4試合負けなし&無失点。長谷部さんによるリビルディング≒修復&再建が実を結びつつあるのか?!
その真価が問われる残り11節。うち、なんと5試合が上位、しかも自動昇格&PO進出を狙うライバルチームとの対戦を控えているという、シチュエーション。内外から注目を集める存在になりそうな予感がムンムンします。。PO圏内の6位京都まで8ポイント差。厳しいことに変わりはないものの、11節残っているなかでまだまだ諦めるには早いかなと。
次節ホームに迎えるは1ポイント差で7位につけるレノファ山口。今季、J2に昇格しながらその破壊力バツグンの攻撃サッカーでここまで戦ってきた難敵。既に岡山をホームで叩き、次なる上位叩きの機会。ここで勝たずして昇格はありません。そんな意気込みで臨みたいものです。
さて、本エントリは前々回の続き。リーグ6節、天皇杯2試合と8試合を終えた長谷部ジェフの「攻撃」について、データからいろいろと言及をしてみようかなと。引き続き関塚ジェフ(既に遠い存在に。。)との比較・変化から考察していきます。
データは引き続きご覧の提供でお送りします↓
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※データは第31節終了時点
攻撃のスタッツ/データは下記のような項目があります。
- ゴール数
- シュート数 / 枠内シュート数
- パス数 / ボール支配率
- 攻撃回数 / 30mライン進入回数
上記ですべてではないですが、一旦これらrawデータをもとにいくつか指標を算出します。
- 枠内シュート率 = 枠内シュート数 ÷ シュート数 × 100
- シュート到達率 = シュート数 ÷ 攻撃回数 × 100
- 1シュートあたりのパス数 = パス数 ÷ シュート数
上から解説しますと、「枠内シュート率」はシュートを放ったうち枠内に飛んだ割合。シュート精度、決定的な得点機会創出の目安。
「シュート到達率」はボール保持時に攻撃を仕掛けるなかで、敵の守備をかいくぐりシュートに至る割合・歩留り率。得点機会を創出するための相手守備組織を崩した成功率。
「1シュートあたりのパス数」は文字通りシュート1本を放つために要した平均パス数。手数≒パス多く攻めるのか、手数をかけずに攻めているのかのバロメータ。
これら純粋スタッツと二次加工指標をそれぞれ守備パフォーマンス考察時と同じく、第21節から時系列でジェフのバイオリズムとして可視化。
【図1 ジェフ千葉 第21節~31節のシュート数・枠内シュート数・ゴール数・枠内シュート率推移】
一応、前節までの戦績は下記の通り。
横浜FC戦以降が長谷部さん、以前が関さん指揮です。
<第21節~第31節 ジェフ千葉 戦績一覧>
- 第21節 / 愛媛 2 - 1 千葉 / ニンスタ(A)
- 第22節 / 千葉 0 - 1 水戸 / フクアリ(H)
- 第23節 / 町田 2 - 3 千葉 / 町田市陸(A)
- 第24節 / 山形 1 - 1 千葉 / NDスタ(A)
- 第25節 / 千葉 3 - 4 清水 / フクアリ(H)
- 第26節 / 横浜FC 2 - 1 千葉 / ニッパツ(A)
- 第27節 / 千葉 0 - 0 愛媛 / フクアリ(H)
- 第28節 / 北九州 0 - 2 千葉 / 本城陸(A)
- 第29節 / 熊本 3 - 0 千葉 / うまスタ(A)
- 第30節 / 千葉 2 - 0 岡山 / フクアリ(H)
- 第31節 / 岐阜 0 - 2 千葉 / 長良川(A)
図1の可視化にはありませんが、関塚ジェフの時は1試合平均シュート数14.8、同枠内4.0。長谷部ジェフは同じく平均シュート数13.7の同枠内4.5。
「枠内シュート率」のグラフだけ追えば上昇基調にあり、得点機会創出の精度は上向いているのかなと。
ただ天皇杯含めての直近4試合、勝ちながらも最後の精度、すなわち決定機を決めきるクオリティが物足りないと話す長谷部監督。守備にようやく安定の兆しが見えたことで、得点力がそこまででも失点しないことでビハインドを負わないことから、結果を残せているということでしょうか。
もう少しここの可視化をいくつか指標を追加して分解していきます。
【図2 ジェフ千葉 第21節~31節のパス数・攻撃回数・枠内シュート率・ボール支配率の推移】
攻撃のクオリティのKPIを「枠内シュート率」と仮定しまして、その他の指標を重ねました。パス数とボール支配率はほぼ連動した推移にありながら、攻撃回数はそれらとあまり連動していないことがわかります。ボール支配率は相手との兼ね合いもありますが、それとリニアに連動するパス数を腑分けして考えると、崩しのパスもあれば相手守備陣形の外、自陣後方でのアイドリングのパス回しもある。
ここはパス数の増減と攻撃回数の増減とがそこまでリニアに連動しない構造になっているのかなと。そこまで詳しいデータがないので何ともですが、戦績と合わせてみると何となくゲーム展開が見えてきますね(圧倒的にボールを支配しながら負けた21節愛媛戦や熊本戦などが典型)。
枠内シュート率との連動を見ると、関塚ジェフの頃は非連動っぽい動きを見せつつも、長谷部ジェフの直近2試合は支配率とのシンクロが見えていたり。
さらにパス、アタッキングの詳細について深掘りをします。
【図3 ジェフ千葉 第21節~31節の攻撃回数・30m進入回数・枠内シュート率・シュート到達率の推移】
スケールを攻撃回数に併せて描き直すとわずかながら攻撃回数はダウントレンドにあることがわかりますね。相手のあることなので何ともですが…
30mライン進入はシュート到達率とリニアに連動。シュートレンジに送り込めれば、シュートまでは行けているということでしょうか。
長谷部さんになって攻撃回数はやや下降も相手陣内30mライン進入はほぼ横ばい。シュート到達率も同じく。一方枠内に飛ばす精度はやや上向き。これはいかに…
最後にパスについて。。
【図4 ジェフ千葉 第21節~31節の1シュートあたりのパス数・シュート数・枠内シュート率の推移】
先にパスについてのエクスキューズ言っちゃってから出しちゃいましたが、「1シュートあたりのパス数」は言わばシュート1本にかける労力と言い換えられるかと。とはいえ、動いているのは選手ではなくボールなので、ここに選手の走行距離・スプリント回数があればいいのですが、J2にはデータがない…(データスタジアムさん来季お願い…)
この指標と枠内シュート率、そして戦績を重ねて勝ちパターン/負けパターンがある閾値で切れる…など見えれば面白いですがね。何となくジェフの場合はボールは持てどゴールを陥れられず、前のめり過ぎた反動で逆襲を喰らって失点、敗北。。というのがお決まりの負けパターンかなと思ったり(29節の熊本戦がそれに近いデータかと)。
さて、ここまでいろいろデータを羅列してきましたが、枠内シュート率が上向いているように見える一方で他の指標については、そこまで劇的な変化・改善があるわけでもなさそう。。というオチに(> <
そんなオチのおまけとして、直近12試合の選手出場記録をば。
【表1 ジェフ千葉 第20~31節 選手出場記録一覧】
ジェフのゲームをフォローしている方ならばおわかりかと思いますが、長谷部ジェフになり選手起用の面でも変化があります。それはMF菅嶋と左SB比嘉の先発起用。
菅嶋は今季3試合の先発出場がすべて長谷部さん指揮になってから。ともにコンディション良くジェフの勝利に貢献してくれているわけですが、彼らがピッチに立つ時間が増すにつれ呼応するかのようにチームが上向いていることも指摘しておきたく(ターンオーバーで両者欠場になった熊本戦が奇しくも敗戦)。
守備の安定に寄与したという点でいうと、やはりドゥさんこと近藤の復帰とイ・ジュヨンから若狭へのスイッチ。関さんとは異なるCBのユニット、右SB丹羽の補強を挟み、左サイドに比嘉、右SHに菅嶋の起用で組織として守備を機能させることにひとまず成功したのかなと。
攻撃の面では、これは映像で見た印象ですが、前線のエウトン、船山、町田にセントラルの長澤を加えたコンビネーションの成熟。ボールの収まりどころとしてエウトンが機能し、ボールプレーに優れる専大コンビとモビリティで相手のギャップにランニングを怠らない船山によって、クオリティ高い攻撃ができている。
加えて、途中出場でチームに前への推進力をもたらす北爪や、攻撃の切り札的存在となりつつあるオナイウ、控えに回ったことでむしろ怖さを湛えつつある阿部くんらも絡めた起用の選択肢の幅もできつつあるのかなと。
次節の相手レノファ山口は、パス数、ボール支配率、攻撃回数のスタッツで現在リーグトップを記録。前回対戦時は4失点で完敗した相手。しかし、直近のリーグ戦は4試合勝ちがない。バイオリズムは長谷部ジェフの方が間違いなく上昇トレンドにある。
10位から最後6位以内に滑りこむためにも、とりわけ上位との対戦を多く残している状況からも、ジェフとしてはここで負けるわけにはいきません。今後の昇格可能性を大きく占う一戦になるでしょう。
(今季残りホーム試合はチバテレの生放送があるので、フクアリに行けなくてもライブでジェフを応援できます!)
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もちろん、スタジアムへも足を運びましょう!私も行けうる限り、フクアリに赴く…
では、また!
WIN BY ALL !!