【ジェフ千葉】ザスパクサツ群馬戦プレビュー ~今こそ精算すべき群馬戦における「ツケ」をデータでおさらい~
明治安田生命J2リーグ 第32節
ザスパクサツ群馬 - ジェフユナイテッド千葉
2017/09/10(日) 19:00 K.O / 正田醤油スタジアム群馬
【公式】プレビュー:ザスパクサツ群馬vsジェフユナイテッド千葉 明治安田生命J2リーグ 第32節 2017/9/10
6位ヴェルディとのホームゲームは2-2のドロー決着。
先制しながら逆転を許すも、なんとか追いついて敗戦を免れた、そんな一戦でした。
前半劣勢も個人的感想としてゲームを見る限りでは、そこまで悲観する内容でも無かったような。勇人のコメントにもあったように、「やられている感覚は無かった」と感じました。
後半、立て直せた事はポジティブに捉えられますが、2失点目のようなミスは非常に勿体無いと言わざるをえない。ただ、繰り返し申し上げますがサッカーにミスはつきものです。失点に繋がるミスもまた、試合では起きてしまうもの。
ただ、今季のハイライン戦術はそうした失点に直結するミスが起こりやすい(相手の意図するプレーで起こされやすい)構造になっています。
それに対しての有効な手当てが未だされていないようにも見受けられるのが残念で仕方ないかなと。
ジェフの試合を現地観戦されて、試合前のアップのメニューをご覧になっている方はご存知だとは思いますが、GK練習をはじめ、近藤やボムヨンらCBの面々もハイライン裏に蹴られるボールの処理を想定したウォーミングアップをやっています。
普段のトレーニングでも当然そうした対策は盛り込まれているとは思うのですが、やはり本番でそうしたシチュエーションになると、うまくミスを回避できないというのが何ともやりきれないですね...トレーニングなり、連携なりをもっと緻密に詰めるしかないのかなぁ。。
さて、シーズンラスト10を目前にして、直近4試合勝ちがありません。
勝ちに値する今季トップのパフォーマンスを見せながらセットプレーの一発に泣いた湘南戦。
劣勢な展開でも試合をひっくり返す意地を見せながら、あと一歩で勝利を逃した山形戦。
主力を3人同時に欠いたからこそ、選手層の厚さを見せつけるべき試合で下位相手に勝ち星を取りこぼすことになった岐阜戦。
そして、昇格POを争う当事者同士の譲れない試合で痛み分けとなったヴェルディ戦。
確かに、この4試合の結果と12位に沈んでいる現実を振り返れば、J1へ昇格するに値しないチームだと言われても致し方ないのかなと思えてきます。
けれど昇格の道が断たれた訳ではありません。
上位との差は埋まらないままではありますが、まだシーズンは続きますしジェフに限らず他所のチームについても、昇格、残留のについてもまだ何も決まってはいません。
残された11節の戦いをもって、今シーズンの「ツケ」を精算すればよいのです。
さて、今節はアウェイのザスパクサツ群馬戦。
群馬は現在15試合勝ちがなく、順位は最下位に沈んでいます。
とはいえ、ザスパとの第7節での対戦では開幕から6戦全敗ながらフクアリでのゲームでドローに持ち込まれ今シーズン初勝ち点を献上することに。
振り返ると、群馬戦はホーム、アウェイを問わずいつも苦戦している印象が...
というわけで、今回は過去の対ザスパクサツ群馬戦のデータをなぞり己の戒めとすべく、これまで溜まりにたまった「ツケ」を再認識しようと思います。
データはご覧の提供でお送りします。
まず、群馬戦の戦績をJ2降格から今シーズンの第7節まで一気に振り返ってみます。
【表1】ジェフ千葉 対ザスパクサツ群馬戦のH/A対戦成績一覧
表1にホーム、アウェイでの戦績をシーズン毎に整理しました。
データは節、結果、スコアの他に当該対戦前の「勝ち点差」も載っけてみました。
差は、「千葉 - 群馬」の式で算出。
ご覧いただくとおわかりのように、過去対戦すべてで千葉が群馬を勝ち点で上回っているんですね。群馬が上位で千葉が下位の場合は、マイナスになるはずですが表1「勝ち点差」はすべてプラス。
つまり、群馬との対戦はいつも「上位の千葉 vs 下位の群馬」という構図。
それなのに、トータルの対戦成績は6勝3分6敗の五分。
群馬にとったら千葉は、貴重なお得意様。
千葉からしたら厄介極まりない取りこぼし先。
千葉からみたら、ザスパは難攻不落の沼田城なのでは?と思えたり...(群馬県沼田市にある真田丸でも有名になった城です)
そんなザスパ「沼田」(←敬意)群馬とのアウェイでの戦績は引き分けがなく、2015年からの直近3シーズンは、なんと千葉は群馬に未勝利(0勝2分3敗)。
何故、ここまで群馬には勝てないのか?と思いまして、ゲームスタッツを引っ張り出して、それぞれ眺めてみました。
【表2】千葉 vs 群馬 過去3シーズン対戦時ゲームスタッツの比較サマリ
勝てていない15シーズンから今シーズンの17節まで、ホーム、アウェイ含めて都合5試合分のスタッツの基礎統計(最小値、最大値、平均値) を表2にまとめました。
色付き・太字のセルは相手より数値が大きい項目。
千葉側の統計値の方が、各項目で色が付いている事がお分かりいただけるかと。
パス、クロス、ドリブル、シュートといったプレーデータは勿論、攻撃回数(ボール前進頻度)、30mライン進入(相手陣内への進入頻度)、ボール支配率は軒並みジェフが上。
ザスパはというと、クリア数で千葉のそれを上回っており、これ即ちボールを自陣から蹴り出したプレー頻度を表す故、千葉戦がいつも劣勢を強いられている事を物語るものかと。
ただ、要注目なのが、「枠内シュート数」の平均値と最大値、そして「ゴール数」の平均値、最大値でそれぞれ千葉を上回っている事。
おいおいおい...という声が聞こえてきそうですが、まさに「おいおい、、ちょっと待て...」な傾向が透けて見えてきます。
【図1】千葉 vs 群馬 過去3シーズン対戦時 アタッキング指標の比較
枠内シュート、そしてゴール数で千葉を上回る群馬。
どういうことだってばよ?!ということで、もう少し構造を整理するために、アタッキング指標の平均値ををそれぞれ比較したのが図1。
左から、30mライン進入、シュート、枠内シュート、そしてゴールと、相手ゴールを陥れるプロセスから逆算して、上流から眺めてみた可視化になっています。
上流にあたる30mライン進入はというと、およそ1.6倍千葉の方が高頻度という結果に。それだけ、ボールを相手陣内まで運ぶことができているということ。
続くシュート数もおよそ1.4倍ほど群馬より多く撃てている千葉。
問題はそこから先、ゴールに近い下流のプロセス。
これはもう一つの可視化と合せてご覧ください。
【図2】千葉 vs 群馬 過去3シーズン対戦時アタッキング効率指標の比較
図2は図1の指標をそれぞれ直前の指標を母とする歩留りという効率を示す指標に下降してグラフに描いたもの。
攻撃回数が最上流にあたるわけですが、そこからゴールまでのプロセスの効率で表しました。
図1の解説と被りますが、30mライン進入は効率(攻撃あたりどの程度の割合相手陣内奥までボールを運べたか)は、千葉に軍配。
シュート到達率もその差は僅かながら千葉の方が高い(僅か、というところがポイント)。
問題はその先で、「枠内シュート到達率」、「決定率」と下流になると、千葉と群馬の傾向は逆転します。
枠内シュート到達率では、約10%の開き、決定率では倍以上もの開きに。
実数では枠内シュート数は互角も、効率に変換するとザスパの方が高いという事は、即ち少ないチャンスをきっちり活かして枠に飛ばせている、と。
そして、千葉よりもアベレージで多くゴールを陥れることができているという結果に。。
要するに、ザスパの攻撃、そしてゴールを陥れる手立てはカウンター攻撃という事になるのですが、これが千葉相手には尽くハマっている事がデータからも伺えます。
カウンターに弱いのはどのチームもその通りですが、どうもジェフはこの被カウンター時の守備が脆い。冒頭に述べたハイライン裏へ蹴り込まれるボールも、被カウンターくさい形でのものがほとんど。
やはりここの手当てがなされないと、この先も失点は減らないのではないかなと思います。
【図3】予想スターティング・フォーメーション
(色が似ていてスミマセン...)
今節もアンドリューが出停。加えて、主将のドゥーも今節は累積警告で出停になります。
ドゥの不在は即ち守備の質、とりわけハイラインのコントロール、そして正確な後方からのフィードが失われるという事に。
前節ヴェルディ戦の後半、大久保投入後3バックに変更してから、うまく相手を引き込んで後方に人数をかけたビルドアップでプレスをはがせていた印象もあり、今節はスタートから3バックではどうかな~などと思ったり(完全な好み)。
大久保スタメンの可能性も大いにありそうですが、控えとして彼がベンチに控えている方がチームとしても安心感もあるのかなぁ、、と。
前節ベンチ入りした多々良のラインコントロールも個人的には良い印象なので、彼をスタメンで組み込むとなると3バックがベターではないのかな、と。
また、エスナイデル監督がヴェルディ戦後の会見で述べていた、「後ろから攻撃を作りたかった。真希の走る距離を短くしたかった」というコメントが目を引いたこともあって、彼を今節も右のアウトサイドで起用するならば、高く押し上げることの出来るWBの位置が良いのではないかなと思えます。
対するザスパクサツ群馬は、現在15試合勝利のない泥沼にハマっている状態。
カンスイル、マテウスといった外国人FWを補強しており、彼らの単騎での攻撃能力は侮りがたいものがあります。
しかし、最下位にいるのにはそれなりの理由があるわけで、千葉としてはそこを逃さず突いていきたい。何よりも群馬の欠陥は守備の不安定さにあるわけなので、如何に先制点を奪い、展開としても精神的にも早期に優位な立場に立てるかどうかが、勝負の分かれ目になりそうな予感がします。
千葉も群馬も見据える目標は違えど、もう後が無い状況。
千葉にとっては、これまで群馬に払い続けてきた「勝ち点」を精算する機会。
一括返済とはいきませんが、しっかりと3ポイント回収してきてほしいと思います。
では、また!