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【ジェフ千葉】横浜FC戦プレビュー ~イバでもヨン・ア・ピンでもカズでもない、データで浮かび上がる横浜FC「影のキーマン」~

2017 明治安田生命J2リーグ 第8節
レノファ山口FC 0 - 1 ジェフユナイテッド市原・千葉

得点者:90+1' ラリベイ

【公式】ハイライト:レノファ山口FCvsジェフユナイテッド千葉 明治安田生命J2リーグ 第8節 2017/4/15

 

 5試合ぶりの勝利に安堵したサポーターの方も多かったのではないでしょうか。

 最終盤に高橋壱晟が得たPKをラリベイが冷静に沈めて来日初ゴールを記録。そのままタイムアップを迎えて、第3節名古屋戦以来の勝利、アウェイで勝ち点3を積み上げました。

 序盤と終盤に決定機を作られるも、試合はほぼ千葉がボールを握って山口ゴールに迫る展開。山口に昨季までの洗練されたパスワークを出させる暇(いとま)を与えない、ジェフの素早いプレッシングとボール回収によって、理想的な内容を維新公園のピッチで披露できたかと。

 清武、アンドリューが足を攣っていたように、全員でハードワークできていたこと、絶対に勝利するという強い思いを感じることができたのではないでしょうか。

 

 戦術、タクティクスの面でも前半途中からサリーナスを右WGに回して4バックに変更するなど、徐々に4バックでプレーする時間が増えてきた印象。

 というのも、相手が執拗にジェフのアンカー・熊谷のポジションをケアしてきたため、ジェフとしては4バックのSBを起点にしたビルドアップで、アンカーを迂回する形が多かったです(組み立てでの熊谷のボールタッチは数えるほどだったかと)。

 4バックに移ってから何度か決定機を作るものの、山口のDFにコースを限定されるなどして、ゴールを陥れられないもどかしい展開が続いていたのですが、ゴールへの意識が今もっともチームで高いのではないかと思われる、イッセーが大きな仕事をやってくれましたね(PKの判定には誤審疑惑がありましたが、相手が腕でイッセーを押した格好にみえましたので妥当かなと)。

 

 これで戦績は3勝3分2敗の勝ち点12で、中位集団をキープ。

 今節は上位も足踏みだったので、今後連勝できれば上位集団へ食い込むこともできそうな気配。内容は松本戦を底としたら、どんどん良くなっている印象なのでこれからも今のスタイルを継続することが大事だと思います。

 

 アウェイ連戦の2戦目は横浜FC戦。

 同じ首都圏で土曜18時のキックオフですから、選手にとっては移動等の負担もあまり無いかなと思えますし、山口戦に続くハードワークで優勢に試合を進めたいところでしょう。

 

 横浜FCといえば、開幕節でのキング・カズの最年長出場記録達成(この日がバースデー)と開幕戦勝利に湧き、その後も昨季から在籍するFWイバを軸にしたシンプルなサッカーが奏功して、勝ち点14の5位につけています。

  昨季はミロシュ・ルス監督指揮の下で開幕した横浜FCでしたが、開幕から3連敗で出遅れ、その後持ち直すも6月にルス監督が病気療養のために辞任。第17節から中田TD(テクニカルディレクター)が監督に就任。今季も引き続き中田監督が指揮しているという状況です。

 オフにその去就が注目されたFWのイバが残留。加えてDFにカルフィン・ヨン・ア・ピンを獲得し、センターラインが昨季以上に強固になった印象。ここまで5失点と守備が安定したことで、前線の強烈な個であるイバが活きている...と、そんな印象だったのですが。。

 

 様々、横浜FCのデータを眺めていると、イバやヨン・ア・ピン、そしてKINGカズにばかり気を取られていては足元をすくわれるのでは...と、思えるポイントに気が付きましたので、本エントリでは横浜FC影のキーマンにスポットを当ててみたいと思います。 

 

 データはご覧の提供でお送りします。

www.football-lab.jp

 

 まずは、ざっと今の横浜FCについて、ジェフ千葉との比較をということで下記の可視化を。

 

【表1】横浜FC ジェフ千葉 ゲームスタッツ比較(第8節終了時点)

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 まずゲームスタッツについて、両チームの比較を。平均値の隣に現時点での各スタッツ、リーグ順位を併記。

 まだ8節を終えたばかりとはいえ、ある程度各々のチームのやり方は固まってきているかなと思えます。

 それを踏まえた上で横浜FCジェフ千葉とのスタッツを並べてみてみると、ボールを保持して攻守に主体性を発揮して試合を進めたい千葉と、手数をかけずローテンポに試合を進めようとしている横浜FCという構図が見えてくるかと。

 顕著なところでは、パス数とクロス数、そして攻撃回数ですかね。

 千葉は、それぞれリーグ2位・1位・1位に対し、横浜FCは同21位・17位・19位。パス数がリーグ下から2番目というのはちょっと驚きではありますが...

 こうしたスタッツの分布を見るに、松本山雅や福岡と似てきているなという印象でして、イバという強烈な個を擁するが故に、横浜FCも「J2仕様」なチームにシフトしているのかな、と。 

 

 続いて、ボールプレー(ボールを保持した時のスタッツ)に着目し、下記に構造化した可視化を。

 

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【図1】横浜FC ジェフ千葉 ボールプレー指標の比較(第8節終了時点)

 

  プレー効率を表す「歩留り」とは異なりますが、ちょっと似た意味合いでグラフに表してみました。

 すなわち、パス成功率はボール支配率を下支えするスタッツですし、30Mライン進入、さらにシュート到達やゴールというアクションにはそれぞれ、ひとつ前のプレーが前提になってくる。

 グラフの左から右に移るに連れ、相手陣内でのプレー状況を示すスタッツになっているという構造です。

 横浜FC、千葉とを重ねてみると、シュート~ゴール(決定率)という部分はさほど開きは無いですが、その前段のパス~ボール保持~30Mライン進入までのプレーでは、全て千葉が上回るかたちに。

 ここはチームで志向するスタイルが表れる部分ですから、良い悪いという比較では無いという事をエクスキューズとして述べておきます(このスタッツの高低が、勝敗や優劣を保証するものではないという意)。

 

 さて、本エントリの本題である「影のキーマン」について、データで言及したく、下記表をまずはご覧ください。

 

【表2】横浜FC パス交換選手の組み合わせランキング・シーズン比較(16-17)

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  上記表は、パス交換選手の組み合わせを本数順にランキングしたもので、右が昨季の累計、左が今季第8節までのもの。

 横浜FC、チーム全体では先程見てきたように、手数を掛けずにゴールを目指すような「J2仕様」なスタイルに転換しつつあり、パス数そのものも昨季より減少に転じていることが前提にあります。

 そんな中、パスの出し手として存在感を発揮しつつあるのが、主将も務める8番の佐藤謙介選手です。

 昨季は38試合に出場し、中盤の主力としてチームに貢献。

 浦和のユース出身で、プロになってからは横浜FC一筋。ボールスキルに優れ、視野の広さと正確なキックで起点となる選手ですが、昨季はパス交換のデータでは上位にくるということは無かったです。

 しかし今季、まだ8節終えた段階ではありますが、パス交換選手のランキングで上位に浮上。1位の中里→佐藤もボランチ間のパス交換でして、昨季DF同士の組み合わせが上位を占めていた事と比較すると、後方からのビルドアップに手数を掛けなくなり全体のパス数が減った分、より決定的なパスを供給できる佐藤謙介選手が担う起点としての役割がより重くなってきたと言えそうです。

 そのあたりを捕捉する可視化として別の表を下記に。

 

【表3】横浜FC パス・プレーCBPランキング・シーズン比較(16-17)

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 上記表は、データスタジアムさんが定義する「CBP」のパス部門におけるチーム内ランキングでして、CBPという変換指標の上では昨季も佐藤選手がチームTOP。

 今季も同様にチームTOPなのですが、注目すべきは「ラストパス数」の多さ

 昨季は累計で33本ですが、今季はまだ8節終えた段階で既に「10本」ものラストパスを送っている

 手数を削っているからこそ、少ないチャンスを活かすべく彼の正確なパスさばきに掛かる責任も重くなっていると言えそうです。

 

 参考までに佐藤選手個人のパラメータのページを載せておきます。

彼と指標が近い選手にアランダが...

www.football-lab.jp 

 

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【図2】横浜FC戦 予想スターティング・フォーメーション

 

 今回はスタートから4バックの4-3-3でいくのではないかなと思います。

 山口戦は前半の途中から変えましたが、今回も4バック4-4-2の横浜FCが相手。

 千葉の最終ラインは4対2(または3対2)にして、SBを起点にビルドアップをしていくことになるかと。

 横浜FCは千葉のハイラインの裏を当然狙ってくるでしょうから、スピードに特徴のある津田を使ってくるかもしれない。

 軸となるであろうイバを抑えるという意味では、近藤、若狭のコンビではちょっと高さが足りないのが気掛かりなので、西野くんが戻ってくるのかも気になります。

 

 注目のキーマン、佐藤謙介と中里の相手ボランチは、噛み合わせ的に千葉のインサイドハーフが監視する形になるでしょうから、山口戦と同様ハイプレスの出足で上回り、相手のパス供給を封じられるかが鍵に。

 横浜FCはSBが攻撃参加して速いクロスからイバに合わせるシンプルな形が攻撃のセオリー。前線の両WGが相手の両SBを牽制して後方に釘付けにできれば、一方的に相手陣内でボールを保持することができるでしょう。

  

 序盤から多少人が入れ替わり、並びも4バックに変わりそうな第9節ですが、チームの競争を活性化すべく各ポジションに2人以上の戦力を補強して臨んでいるシーズンですから、前節に菅嶋が初出場したように新しい選手がスタメンに名を連ねてもおかしくはないと思います。

 

 攻守の要であるアランダが長らくベンチからも姿を消していて、その去就を不安がるサポーターも見受けられますが、そこはプロの世界。様々な理由が考えられるも、再びアランダのちからが必要な局面は必ず訪れる。

 それまで代わりに出場する選手、ベンチに入っている選手は、プレーでアランダ以上の質を証明し続ければ良いだけのこと。

 当然、勝利という結果を伴ってそうした競争が活性化されることをサポーターも望んでいるはずです。

 

 22日土曜日は雨模様の予報ながら、貴重な首都圏アウェイということで私も現地観戦しようかな、と。。

 

 それでは、皆さんニッパツのゴール裏で会いましょう!

 では、また!

 WIN BY ALL!!

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