【なでしこジャパン】アルガルベカップの成績とFIFAランクの推移まとめ
アルガルベカップ 2017 5位決定戦
日本 2 - 3 オランダ
高倉麻子監督体制として初めての国際大会となったアルガルベカップ。
初戦スペイン戦で完敗を喫し、その後アイスランド戦、ノルウェー戦を連勝して、オランダとの順位決定戦に臨んだなでしこジャパンでしたが、前半のビハインドが尾を引いてか、後半相手選手が一人少ない状況を活かせず、勝ち越しを許して敗戦。参加12ヶ国中の6位で大会を終えました。
昨年、2016年のリオ五輪出場を逃し退任した佐々木則夫監督の後を引き継いだ高倉監督は、積極的な世代交代と新戦力発掘に着手。
今大会も若い選手が組み込まれ、チームの若返りと国際経験の蓄積という難しいバランスのなか臨んだ大会でもありました。
(なでしこジャパンの世代交代については、過去記事で言及しています)
football-data-visualization.hatenablog.com
なでしこジャパンの特徴であるパスワークとムーヴィングを基軸としたボールポゼッションや、ネガティブ・トランジションからの激しいプレッシングでボールの即時奪回を狙うといった、ボールを繋ぎ攻守の切り替えを素早く行うスタイルを取り入れる国が、2011年のドイツW杯制覇以降次々に現れ始めました。
フィジカル・スペックに劣る日本にとっては、ボールを握り、ボールを動かし続けることで相手を動かし、体力を奪うのと同時に相手陣内でのスペースメイクと守備ブロックの破壊を狙うわけですが、近年はそうした日本の意図を見透かしてか、激しいプレッシングで日本のポゼッションを阻害する対戦国が多くなってきている印象を受けます。
アルガルベカップは、女子サッカーにおける主要国際大会であるワールドカップとオリンピックに次ぐ格付けの大会であり、チームの強化、国際経験を積める場として格好の大会。アジア以外の国とのインターナショナル・マッチを経験できることで、世界のトレンド、各国のレベル、日本対策はどのようなものか、などをそれぞれ経験できるのかな、と。
本エントリでは、2011年以降のアルガルベカップ成績とFIFAランクとの関係を抜粋してみました。
引用元データは下記サイトから...
【図1】なでしこジャパン アルガルベ杯成績とFIFAランクの変遷
2011年から昨夜の2017年まで通算7年・7大会について、大会の順位とその年3月のFIFAランク、同大会優勝国とFIFAランク1位の国についても列記しました。
2011年は、その年の夏にワールドカップを制覇するわけですが、女子サッカー界は今も昔もアメリカとドイツが覇権を握る構図には変わりなく。
日本は一時期米独に継ぐ3位の位置に上り詰めるも、近年はやや下降気味。
アルガルベカップの順位も2014年の準優勝が最高位で、過去同大会で優勝したことは一度もありません。
2016年はリオ五輪予選と日程が被り不参加だったのですが、その前年2015年は9位という振るわない結果となっており、ある意味で翌年のリオ五輪予選敗退を予兆するかのような成績と見ることもできるのかなと勘ぐってしまいます。
高倉監督体制下でも現状では世界のTOP10には居残ってはいますが、今大会も12カ国中6位ですから、FIFAランク上昇とはいかないでしょう。
そんな世界のTOP10の趨勢について、同2011年からの推移を下記に。
【図2】FIFAランクTOP10のランク推移(2016年3月時TOP10ヶ国)
日本は昨年時点で7位。
毎年3月に発表されるランクなので、2017年は間もなく発表でしょうか。
アメリカ、ドイツはが頂上争いをしており、3位〜5位を伺うのがフランス、イングランド、オーストラリア。
オーストラリアは日本と同じAFCアジアサッカー連盟に属しており、ワールドカップやオリンピック予選で対戦する国でもあります。
表1にあるAFC加盟国内での順位で日本は直近2位ですが、1位を奪ったのがこのオーストラリアです。
日本に対してオーストラリアの選手は身長・体重など体格で大きくアドバンテージがあり、単純なスピードやパワー勝負では歯が立たない相手。
加えてプレッシングと奪ってからのショートカウンターを兼備した戦術で日本を苦しめる今もっとも嫌な相手のひとつかと。
翻ってなでしこジャパンそのものに目を向けると、佐々木監督が築いたベースはそのままに、高倉監督は阪口や熊谷、宇津木、鮫島、岩渕ら既存選手と組み合わせる若手の新戦力を見極めている段階に思えます。
長谷川や横山、田中、籾木といった選手らが代表定着に向け今後もなでしこリーグでアピールを続けられるか。
澤・宮間・岩清水らの代から世代がシフトしているなでしこジャパン。
顔ぶれが新しくなり、個人的には今後のなでしこジャパンに興味が深まった大会になった気がします。
黄金期のような輝きはまだ無いかもしれませんが、世界のレベルがどんどん高まっている中、日本も遅れをとることなく如何に這い上がっていけるか、今後も継続的にウォッチしていきます。
では、また!